本当の自分が分かる「自論リポート」
さて、ここからが肝心。新聞の読み比べを続けていると、おのずと自分の関心が明らかになってくる。とあるIT企業の動向が妙に気になったり、百貨店業界が伸び悩む原因を考えたり、経済を知れば知るほど自分なりの考え、つまり「自論」が頭のなかに湧いてくるはず。
そこで今度は、蓄えた情報をアウトプットする番。生まれた幾つもの自論をリポートにまとめると、より経済を理解できるようになる。これを「自論リポート」と呼ぶ。
自論リポートは特にルールがなく、自分が気になるテーマを選び、自由に書くだけでいい。とあるベンチャー企業に興味を持ったなら、その企業の未来像を予想したリポートを書いてみる。あるいは「この戦略はおかしい」と思う企業があれば、同業他社の失敗事例を引用して分析したり、新しい戦略を自分なりに考えてみる。
小学生が夏休みにやる自由研究のようなイメージで、どんどん自論リポートを作成する。1つの企業を深く追求した長文リポートでもいいし、短い業界リポートをたくさん作ってもいい。要は、自分のスタイル次第。
自論リポートのポイントは、作れば作っただけ「自分の関心」が見えてくること。リポートがIT企業に偏っていれば、その業界に関心がある証拠。戦略を立案するような内容ばかりなら、シンクタンクやマーケティングなど、企画系の仕事に興味が向いていると推測できる。自論リポートの傾向を眺めれば、そこには“素の自分”がいるではないか。これこそが、本来の「自己分析」と呼ぶに相応しい手法だろう。
自論リポート作りは同時に文章力を鍛えるため、ES(エントリーシート)の作成ですら簡単に思えるようになる。また、文章を考えるとは、自分の考えを正確に言語化すること。相手を納得させる論理的思考が身に付き、コミュニケーション力を伸ばすことにもつながる。
正しく情報をインプットし、自分なりにアウトプットする。そのためには半年間、新聞を読み比べてリポートを作成する。確かに手間はかかるが、ここまでやらなければ「本当の自分」など分かりやしないということなのだ。