警視総監は警察官僚の格付けでは警察庁長官に次ぐナンバー2の官僚である。
官界全体では警察庁長官は事務次官、警視総監は事務次官級。
どちらも官僚トップに位置付けられる。
しかし警察本部長は警視総監よりも格下の位置付けとなる。
資料によっては警視総監より1ランク下というものもあるが、実際には2ランクも3ランクも下がる。
警視総監は警視庁のトップであり、東京との警察機関を統括する警察官であると同時に日本の警察階級のなかでもトップに位置する。
対して警察本部長は警視長〜警視監の階級にある警察官で、警視総監よりも階級が下位である。
警視庁も道府県警察本部も自治体警察という観点でみれば同格であるはずだが、日本の警察機構は完全に自治体警察ではなく、最終的には国家警察である警察庁が統べ纏める国家警察と自治体警察の二本立て構造となっている。
日本の自治体警察にあたる警視庁と道府県警察本部を直接管理するのが警察庁である。
しかし警視庁は道府県警察本部と異なり別格扱いされており、首都警察という特別な地位を与えられている。
つまり国家警察的な役割を持たせつつ自治体警察としての機能も併せ持っているのだ。
管理系統も警視庁は警察庁直轄である。
広大な面積を持つ北海道は警察本部と管区警察局の機能を併せ持っているのでこれも警察庁の直轄となる。
他は管区警察局経由。
従ってその長も、警視庁は警視総監で警察庁長官に次ぐナンバー2、警察本部長はそれよりも格下となる。
これをさらに詳しくとりあげるとこうなる。
警視総監と警察本部長のあいだには2ランク以上の開きがあり、府県警察本部長は、管区警察局長(警視監)よりも格下となる。
府県警察本部長の階級が警視監であっても管区警察局長より格下。
これは管区警察局が府県警察本部を監督する立場である為。
警察本部長のなかで北海道警察本部長(警視監)のみは管区警察局の監督を受けないので管区警察局長(警視監)と同格とされている。
だがさらに内実を細かくすると、人員・組織・予算・管轄地域等を含めた規模というものも絡んでくる。
警視庁以外の道府県警において、その点で特出しているのが大阪府警である。
大阪府警は人員・組織において警視庁に次ぐ規模を持つ。
この点を鑑みて大阪府警本部長を北海道警本部長と並ぶ警察本部長中のトップクラスとしているのである。
ただ大阪府警本部長は北海道警本部長と異なり、近畿管区警察局長の監督を受けるので指揮系統上は警察庁直轄ではない。
このように警察本部長のなかでも序列というものが存在している。
この序列は警察本部の規模、すなわち人員、管轄地域の事情、組織の規模、予算によって決定される。
これらが一番多いのは警視庁である。
大阪府警は二番目に多いとされる。
だが警視総監と大阪府警本部長のあいだにも2ランク以上の壁がある。
警察本部長は大小全てをみても、管区警察局長と同格もしくはそれより下と位置付けられている。
そして管区警察局長は警察庁内部部局の長、つまり官房長、刑事局長、警備局長、交通局長、生安局長より格下の位置付けとなっている。(情報通信局長も内部部局の長だが、情報通信局長は技官であって警察官ではないので警察官の序列には含まれない。)
この点はいかにも国家警察>自治体警察の図式を如実にあらわしているといえる。
つまり警察庁中枢のポストは自治体警察トップの本部長より高位なのだ。
これは給与面からみても明らか。
日本警察はあくまでアメリカ警察のような自治体警察主体ではないということである。
そして警視監は警視総監に次ぐ二番目の階級であるが、同じ警視監でも序列がある。
警視監の階級にある警察官のなかでもっとも高位のポストは警察庁次長である。
この警察庁次長はその名の通り警察庁ナンバー2で長官の補佐役である。
官界全体での地位は中央省庁の外局の長、すなわち海上保安庁や消防庁の長官と同格ということ。
次長なのに外局の長官と同じ地位なのである。
これは警察庁の位置付けが海上保安庁や消防庁のように省の外局とは異なることに由縁する。
警察庁は国家組織の中で特別な位置づけにあり、国家公安委員会に置かれる特別の機関となっている。
上下関係としては警察庁は海上保安庁や消防庁等よりランクが上なのだ。
その為、高官ポストも繰り上がり海上保安庁や消防庁等の長官と警察庁次長は同格となる。
だが警察庁次長のすぐ上が警察庁長官というわけではない。
二者のあいだには警視総監がいるのだ。
警視総監は警察庁長官よりは下だが警察庁次長よりは上なのである。
ただし警視総監は警察庁の役職ではないので長官を直接補佐することはなく次長の直属上司というわけでもない。
しかし階級上はあくまで警察庁次長より上である。
つまり警視総監の地位は海上保安庁長官や消防庁長官よりも上なのである。
これは俸給を見ても明らかなことで、警視総監の俸給は海上保安庁長官や消防庁長官よりも高い。
警視総監と消防総監の上下関係において警視総監が上ということも、階級準則により消防庁長官より下位に位置付けられている消防総監と、消防庁長官よりも上位に位置する警視総監の違いで確定的。
ちなみに警察庁次長の俸給は海上保安庁長官、消防庁長官等と同額である。
警察内部の上下関係に絞ると警視監中でもっとも上位のポストは警察庁次長。
それに次ぐ第二位の警視監が警察庁官房長及び局長。
警察庁中枢の準高官クラスと大阪府警本部長はそれに次ぐ第三位。
管区警察局長も準高官クラスだが官界では地方機関ポストは本庁内部ポストよりも格下という扱いが常態なので管区警察局長はやや微妙。
他に警視監より下位の警視長の警察本部長もいる。
警視長の警察本部長は小規模警察本部の長である。
ポストとしては警察庁の課長クラスと同格にまで下がり、警視総監と比較すると3ランクも4ランクも下である。
この点をみても日本では各自治体警察は同格とはならず、警視庁が筆頭、大阪府警、北海道警はそれに次ぎ、小規模警察本部の長は警察庁課長と同格になるなどかなり格下の扱いとなっている。
その自治体の住民数や政令指定都市の有無、重要施設(原発、国際空港等)の有無が決定的に影響してくるのだ。
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