かみかみ神谷の凸凹にゃんにゃん

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　本記事はクドを攻略しただけの方は読まないでください。
　一度完全にクリアした上でないと、本筋におけるネタバレが多量に含まれているため、爆死すること必定であります。これを読む最低条件としては一度完全にクリアしていること。さらに付け足すのなら、クリア後にもう一度クドをクリアしていることを条件とさせていただきます。

小さい頃　聞いた話を　いま思い出してた
　スプートニクのライカ犬　名前は何ていったのかな
　　　　　　　　　　　　　　　アルバム「降るプラチナ」の「スプートニク」より

　
　１９５７年１１月３日。ソ連のバルコヌーイ宇宙基地からライカ犬であるクドリャフカを乗せ、スプートニク２号が打ち上げられたわけですが、ご存知のようにクドリャフカは打ち上げ成功数日が経った後、餌に毒を盛られて安楽死をします（この辺は大気圏突入とともに死んでいたとか諸説あり）。
　「リトルバスターズ！」発表時からクドリャフカという名前に興味を持ち、彼女をはじめに攻略しようと管理人が考えた理由は、“クドがマスコットだから”というだけではなく、上記に書いたように名前から強烈な『死』を連想したから。つまりは麻枝氏特有のシナリオにある伝統的な『もの』を内包している可能性が極めて高く、一番の醍醐味を味わえると思ったからでふ。
　ただ、その後公開されたCGから背中の文様、蝙蝠の髪留め等、クォーターという点から、むしろクド＝『吸血鬼』の可能性に管理人脳がシフトチェンジしてしまい、一時はどんなストーリーになるのか全然わからなくなってしまった管理人ですが、いざクリアしてみると本筋の根幹部分とも絡んでいる為、後半の彼女の心象と背景が非常にわかり難い構成になっており、初回クリア時は一応の流れは了解したものの、その多くの部分に「？」がついてしまったのは来ヶ谷同様といえましょう（来ヶ谷は次々回に考察と感想を書く予定）。
クドをクリアしても頭に疑問符が多量に残り続ける理由は、結局のところ下チャートの情報を初回プレイヤーが得ていないからなんですよね。
　

　 修　学　旅　行　の　事　故
　　 　　　 ↓
　 世　界　の　始　ま　り
　 　 　　　 ↓
　 　　　繰 り 返 す 世 界
↓　　　 　　　　　　 ↓ 繰り返しのひとつ
別の繰り返し　　　　　クドのシナリオ

　そうせざるを得なかったのは構成上仕方がないのでしょうが、一度クリアしただけで満足するタイプの人間にとってはクド、来ヶ谷シナリオは、不満の残る出来として扱われるだろうなぁ・・・・もったいない。
管理人も一度目は「なんじゃこれは？」と思いましたが、クリア後に再プレイすると、伏線とも気づかずに見過ごしてきた諸々の文章と、錯乱して意味不明なことを吐き出しているようにしか見えなかったクドの独白が、まったく違って見えることに良い意味でショックを受けました。



・クドが忘れていた事実と独白の意味

再プレイしる。そうすれば分かる―――

　とでも書けば、この件に関してはまったく書く必要性はまるでないんでしょうが、個人的な整理のため少しだけ。
繰り返しの世界が始まる以前の段階で

①クドの母親が修学旅行の少し前に事故死（独白では事故死、もしくは単に死んだとなっていますが、バッドエンドに向かうと母親は公開処刑されている）

②それを知りながら、クドはテヴアに向かわずに修学旅行に来て事故に巻き込まれる

③クドシナリオに入るまで、クドはこの世界の仕組みを理解していなかった

　①、②はクドシナリオの終盤に自分で告白。
　③に関してはTVでの母親のインタビュー前後で「何かを忘れているような・・・」と強烈な不安に陥っており、後の告白＆独白で“母親が死ぬことが予定調和であること”を忘れていたと述べています。
　ただ錯乱しているようにしか聞こえなかったのに、やり返してみるとこれだもんなぁ（褒）



・理樹がクドに手渡した焼け焦げた「個人認識票」は誰のものか　

　これは本当に分からなかったorz
　というか初回でこれが分かるはずがない（汗
　クド一回目で考えられる可能性は、まったく登場しない父親としか考えられなかったんですよね。祖父or母親の軍属時代の友人ヴァーニャ、クローカが消息不明になったという回想文から、この二人の可能性があったんですが、仮にこの二人のどちらかのものであるならば、鎖に繋がれた場面での懺悔でそれを語らないのはあまりにも不自然。そしてこれをそれほどまでにクドが大切にしている理由がない。
　なら、クドの言葉から察することが出来る唯一の人物は、父親その人以外に考えられないじゃないかと。
　母親のものでは絶対にない。なぜなら、宇宙飛行士を目指したかつての残骸（ダンボール）が封をしたままであり、理樹によって開封されている事からして、少なくとも引越し以前の物であるはずだ・・・・と考えざるを得ないんですよ。常識的に考えると。
　ただし、この世界は『修学旅行中の、母親が死んだ後の世界であること』という事実がわかった途端、一気にそれが覆るんですよ。

　結論からいうと「個人認識票」は母親のものとしか考えられない

　ヒントは結構ありますよ。
　まずは個人認識票に羅列されていた頭文字が“C”。母親の名前が『C・イワノヴナ・ストルガツカヤ』であること。これで彼女が可能性のひとつに浮上します。　
　そして『“後から手に入れた”落ちたロケットの残骸である』という鎖に繋がれたクドの告白から、それが修学旅行前に母親の死を知らされたときに手渡された『ロケットの残骸』であると仮定が出来ます。
　繰り返しの世界が、かなり不完全であり、人の意思によってある程度の改変が可能な世界でもあることから、この世界が始まる前に手に入れた『それ』を、引っ越しのダンボールの中に入れておくのは至極当然のことのように思えるんですよ。
　言葉を変えて　もう一度いいましょうか？

『ロケット墜落の残骸』を『クドが憧景してやまない人（母親）と繋がるための物』の中に入れているんです。

　母親と縁のある品物でないはずがないじゃないか、と。
　そうして見るとかなり腑に落ちるんですよね。
　クドに絡まった鎖。まぁ現実にその鎖がどういう理由で括られているとかは実際問題、ここではどうでもいいんですよ。

・修学旅行に行く直前に母親が事故を起こしたことを知る
・けれど帰らなかった・・・（帰らなかった理由は理樹がいたから）
・だから「今度は」かえって罪滅ぼしをした
　　　　　　　　本編のクドの告白　要約

　その三段論法の中でクドを縛っているものの正体は、隠喩としては母親の元へ向かわなかったことへの後悔と取れます。その呪縛である『楔』を打ち砕く触媒たり得るのは『母親の象徴』以外はダメだというのは当たり前といえば当たり前ですよね。
　クドと理樹の間で『それ』の受け渡しをする『奇跡』は、上でも述べたように繰り返しの世界自体かなり不完全であり、人の意思によってある程度の改変が可能な世界でもあるということから説明可能ですが、ここは単純に奇跡で良いんですよ。
　あそこで語られているのは、クドの贖罪と解放。母親との和解と離別。解釈はいろいろあるでしょうが、全クリしたときのクドの描写を読んでいても、恐らく修学旅行時にあったクドの後悔の意識は『あの世界』の中で胡散霧消して、再び母親との繋がりを取り戻しています。
　文章としては書いていなかったですが、『クドが憧景してやまない人（母親）と繋がるための物』＝ダンボールを開けたことからも、きっとクドは将来、宇宙飛行士を目指すことでしょう。


・クドリャフカという名を母親が付けた理由は何なのか

「なぜスプートニク（旅人）なのかね？」
「お前はライカになりたいのか？」
「ライカはいるわよ、ここに。ねえクーニャ？」

　クドの回想で祖父と母親が対話するシーンの一部切り抜きです。
　始めに語ったように『ライカ（犬）』、『クドリャフカ』、『スプートニク』は宇宙飛行士の母親にとっては死の象徴でしかないはず。それにもかかわらず自らのロケットに「スプートニク」の名を冠して、娘には『クドリャフカ』。祖父が危惧するのも当然でしょう。
　作中にこういうネタ振りが出てこなければ、管理人も晴子さんと一緒に心穏やかに過ごせた筈なんですが、名前の由来らしきものを母親が語っている時点で何かしらの意味を込めたものであると推察できるから困ったものです。
　クドの周りはそういう意味でネタの宝庫ともいえます。
　1960年9月18日にスプートニク5号に搭乗し、無事生還を果たした二匹の犬。『ベルカ』と『ストレルカ』がそのままクドの犬の名前に使用されており、どういう比喩なんだと小一時間（ｒｙ
　生還した犬の名はペットに付け、帰還しなかった犬の名を何故娘に？
　いろいろ悩みましたが、これは日本人としての視点で見ると一生わかんないでしょうね。必要になってくるのは多分、クド、そして母親がロシアの血を受け継いでいるということ。

『スプートニク・ショック』
　
　冷戦時代のアメリカとソ連がロケットの打ち上げに注力していた当時、自国の技術力が世界最高と思っていたアメリカの鼻っ柱をへし曲げ、ソ連の祖国高揚に著しい寄与をしたひとつの事件として歴史的に名を残しています。作中でクドは自己のアイデンティティ（自己同一性）で苦悩しておりましたが、じゃあ、その母親はどうだったのか？
　クドは日本に寄る辺を求めましたが、宇宙飛行士の母親はかつての世界最高の技術立国ソ連、そして今のロシアに寄る辺を求め、そこに帰結したとするならなんとなくその辺が分かってきませんか？
　純潔人よりも、混血の人の方が帰属意識が強いことが知られていますが、クドの母親も作中の印象を見る限りでは相当頭の固い人なんだろうなぁ・・・というのがなんとなく分かりますし、血に拘っているのなら人類初の有人飛行士ガガーリンに先駆け、生物として宇宙を旅した、名誉あるライカ犬（雌）の名をとり『クドリャフカ』と名づけたのも頷けます。
　ちなみにこの『クドリャフカ』。
　ロシアの国産犬・ライカであると巷では云われていますが、実際はサドモエ系の雑種だったというのが専らの説です。写真なんかも残っているそうで、顔立ちからしてライカではないことが分かっているようですが、クドの母親がそれを知った上で、混血の娘に混血の犬の名を与えたのなら・・・・。


　以上が管理人的なクドの感想とその上での考察です。
　不備が多々あるような気がしないでもないですが、何か新しく気がついたら、また追記していく予定です。

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