ここ数十年、韓日両国の通貨は「ウォン安円高」の流れが続いてきた。これは輸出で韓国が日本に対して有利な立場に立つことを意味するもので、韓国経済発展の原動力となってきた。
ところが10月に入るとこの流れが変わり始めた。ウォン高が進む一方で円安が進行しているのだ。25日に年初来高値を更新したばかりのウォンは、26日のソウル外国為替市場でも前日より1.2ウォン高い1ドル=1097ウォンを記録。わずか1日で年初来高値を再び更新して取引を終えた。この結果、9月30日の時点で1ドル=1111ウォンだったドル-ウォンのレートは、わずか1カ月で14ウォンも高くなった。この期間、逆にウォンが安くなったのはわずか4日。一方の円は9月末時点で1ドル=78.0円だったのが、26日には79.9円と2円ほど安くなった。
為替の変動を見詰める韓日両国の表情は対照的だ。韓国の財界はただでさえ海外市場の不振が続いている中、為替までウォン高に触れてきていることで、新たなマイナス要因にならないか焦る一方、日本ではこれまで経済不振の大きな原因だった円高が一息ついたことで、景気回復への期待が高まっている。ソウル商工会議所は17日、孫京植(ソン・ギョンシク)会長(CJグループ会長)を中心に主要グループの関係者による会議を開催し、その中で現代自動車の金億兆(キム・オクチョ)副会長やLG化学の金磐石(キム・バンソク)副会長などは「最近になってウォン高が急速に進み、輸出企業にとって見過ごせない状況となっている。1ドル=1100ウォンのラインは絶対に守らねばならない」との点で意見が一致したが、結局25日にはこのラインを突破した。日本経済新聞は25日付で「円高が一服した一方でウォン高が進み、日本企業にとって大きなチャンスになるかもしれない」としながらも「韓国の通貨当局はいつでも外国為替市場に介入できるため、決して楽観はできない」としている。
韓国の通貨当局は26日、取引時間中にウォンが一時1ドル=1094.9ウォンの年初来高値を更新すると、昨年10月以来の口先介入を行った。通貨当局の関係者は「外国為替市場で行きすぎた偏りが出始めている。市場の期待がウォン高という一つの方向に偏るのは望ましくない」とする警告のメッセージを発した。市場ではこの日、通貨当局が小幅のドル買い介入も行ったとみている。企画財政部(省に相当)のある幹部は「ウォン安円高というこれまでの流れが反対方向に転じたとみるのはまだ早い。円の動向についても鋭意注視している」とコメントした。