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日本は「一流国家」であり続けるのか、それとも「二流国家」に甘んじるのか
米国が突きつける質問〜アーミテージ・ナイ報告を読む
2012年8月29日(水) 日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120827/236020/?top_updt
リチャード・アーミテージ元米国務副長官とジョセフ・ナイ ハーバード大学特別功労教授らアメリカの超党派有識者グループが、日米関係に関する報告書を発表した。「日米同盟:アジアの安定をつなぎ止める」と題するその報告書は、東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故を踏まえて、
1)日米のエネルギー分野及び経済・貿易分野での協力強化と、
2)韓国・中国など隣国との関係のあり方、及び
3)日米の新たな安全保障戦略について提言している。
アーミテージ氏とナイ氏は、2009年に日本で民主党政権が誕生して以来、日米関係が漂流し、世界で最も重要な同盟の基盤が揺らいでいるという危機意識からこの報告書を執筆した。
今回の報告書は、日本が「一流国家」であり続けるのか、それとも「二流国家」に甘んじるのかという問いかけで始まる。ここでいう「一流国家」とは、経済力、軍事力、グローバルな視野、そして国際社会における指導力に裏づけられた国家の力のことだ。
世界第3位の経済大国である日本が「一流国家」であり続けることは十分可能だ、と報告書は指摘する。なぜなら、日本の消費セクターは中国の2倍の大きさがあり、女性労働力の拡大などの改革と競争を進めることで、その潜在力をまだまだ生かすことができるからだ。同報告書はこう続ける。日本は国際社会から尊敬を集めるソフトパワー大国でもある。東日本大震災の救援活動を通じて日本で最も信頼される組織となった自衛隊は、集団的自衛権行使の禁止など時代遅れの制約を取り払えば、より大きな役割を果たすことができる。
両氏は、本報告書のまとめとして、日本への提言、日米同盟への提言、そしてアメリカへの提言を列挙している。「一流国家」に留まるのか、「二流国家」に甘んじるか――それは日本自身が決めることである。「一流国家」に留まることをきめるならば、日本は難しい決断を下していかなくてはならない。報告書の提言は、このための大変難しい決断を伴うものを含んでいる。
日米で核の共同研究を
ここでは特に重要な提言について内容を精査してみたい。
この報告書を読んだ読者の間で最も論争を引き起こす提言は、原子力に関するものだろう。報告書は野田政権が関西電力大飯原子力発電所を慎重に再稼働させたことを評価している。日本経済が潜在力を発揮し、「一流国家」であり続けるためには、これからも原子力発電を継続することが望ましいということだ。その上で、福島事故の経験を踏まえて、日米が原子力の研究開発を強化することを日米両政府に提言している。
日本国内の雰囲気は、この提言を受け入れるものではない。2030年を見越した中長期のエネルギー依存度に関する意見聴取会で、7割以上が「原子力発電への依存度をゼロにすべき」と回答した。日本国民の多くが「原発に依存しない社会」を目指すことを支持している。この世論に同調する現役閣僚もいる。日本政府は「クリーンエネルギー」として原子力を推進してきたが、原子力を「クリーン」と考える風潮は消え去ってしまった。
報告書は、原発の慎重な再開継続が日本経済の潜在力を生かすことにつながると指摘している。筆者もこれと同意見だ。「原発に依存しない社会」を目指す日本国民の気持ちはわかる。だが、節電に苦しむ産業界の現状や、温室効果ガス削減の必要性、既存の原発の維持・管理、福島原発の廃炉、ベトナムなど海外への原発輸出を考えれば、原子力発電の再開と維持、管理能力の維持を選択肢として捨て去るのは無責任である。
原発依存への風当たりが強まっているのは日本だけではない。アメリカの原子力規制委員会(NRC)は8月7日、使用済み核燃料を処理する仕組みができるまで、原発の新規建設を認可する手続きを停止すると発表した。使用済み核燃料の最終処理場を建設できないでいることに加え、「シェールガス革命」と安価な天然ガスの存在によって、アメリカでも原子力発電の拡大は大きな課題に直面している。
「脱原発」という趨勢の中で、報告書が日米による原子力の研究開発を提言したことは意義深い。「日本の国内事情を考えると、実行するのは非現実的」と一蹴することなく、現実を直視した提言と受け止めるべきだ。
同報告書は共同研究と併せて、以下の提案をしている。
1)アメリカから日本への天然ガス輸出の早期解禁。
2)アメリカのガスインフラに対する日本からの投資。
3)長期的観点から、メタンハイドレートや代替エネルギーの共同開発。
日本の成長戦略の一環として、これらの提言も真剣に検討すべきだろう。
日韓の歴史問題に米国が関与すべき
もう一つ論争の的となりそうなのが、日米韓、3カ国による協力強化に関する提言だ。報告書は、北朝鮮の核問題や中国の「再興」(同報告書は中国は19世紀と20世紀を除いて常に地域大国だったためこのように表現している)に対応するには、日米韓3カ国の同盟関係が不可欠と指摘している。
日韓の歴史問題にも触れ、日韓は民族主義的感情を内政上の目的に利用するのをやめるべきだと主張。さらに、日本は、韓国との関係を複雑にし続ける歴史問題にしっかり向き合うことが不可欠だ、とも主張している。また、日韓の緊張緩和のため、アメリカは外交上の努力を尽くさなければならないとし、民間レベルを含めて3カ国で歴史問題への対応を話し合うことを提案している。
アーミテージ、ナイ両氏は、韓国との関係を敢えて取り上げたのは、それがいかに難しいかを理解しているからだという。だが、この日米韓に関するこの提言は、李明博大統領の竹島訪問と天皇に対する一方的な謝罪要求の後では虚しく響く。他の提言と比べて、実現性が低いと言わざるを得ない。
北朝鮮が2010年3月、韓国の軍艦「天安」を撃沈した。その直後の世論調査で、韓国人の実に6割以上が北朝鮮への「報復」よりも「和解」を求めていた。この傾向は、若い世代でより顕著だった。そして、この数字は、同年11月に延坪島が砲撃された後も大きくは変化しなかった。つまり、韓国人にとって日本との協力強化は、北朝鮮との「和解」を阻害する要因でしかないのだ。
そうであれば、「日米韓は対北朝鮮問題で共通の利害を持っている」という前提そのものが間違いだと言える。もちろん、日韓関係の改善を諦めてはならないが、それに過度に期待することは当面できない。現時点では、日米韓の枠組みよりも、インドやオーストラリア、ベトナムとの協力を強化する方がより現実的である。
ホルムズ海峡が封鎖された場合、日本の貢献に期待
他に注目すべき提言は、イランが核問題にからめてホルムズ海峡を封鎖する場合、日本が単独でも掃海艇を派遣すべきというものだ。過去2回の報告書は、中東問題に関してほとん言及していない。今回、中東からのエネルギー輸送路の安全確保とホルムズ海峡への掃海艇派遣に言及しているのは、イランをめぐる情勢が極めて深刻な証である。日本が化石燃料への依存を一時的に高めている現状を鑑みても、ホルムズ海峡の封鎖は死活問題だ。
だが、日本の海上自衛隊は現在、自衛隊法99条により、「遺棄された」機雷しか取り除くことができない。このため、ホルムズ海峡が封鎖された場合に掃海艇を派遣することは事実上不可能だ。仮に法改正して掃海艇を派遣しても、武力紛争の最中に掃海活動を行えば、イランから攻撃を受ける可能性が高い。実際には、イランが山岳地帯に配備している地対艦ミサイルをアメリカ軍が無力化するまで、海上自衛隊が掃海を行うことはできないだろう。ソマリア沖アデン湾の海賊対処活動ですでに行っているように、護衛艦を派遣して商船の安全に貢献する方がより現実的な対処と言える。
日米間で協力できることはいくらもある
同報告書は新たな同盟戦略に関して、日米の任務・役割・能力の見直しの必要性を強調している。日米は近年、同盟の役割分担について十分議論してこなかった。首脳会談においてさえ、普天間基地移設のような技術的な問題にのみ多くの時間を割いている。中国の軍事力の増強に適切に対処するためにも、報告書は、自衛隊とアメリカ軍のさらに深化した協同態勢の構築を提言している。
提言にある、陸上自衛隊とアメリカ海兵隊の連携強化による、水陸両用作戦能力の強化は、中国が海洋進出を強める南西諸島の防衛に資するだろう。また、日米で南シナ海の監視活動を行うという提言も、中国が戦略ミサイル原子力潜水艦を配備するために南シナ海における外国軍の監視活動を排除しようとしている中で、大きな意味を持つ。
報告書は他にも、TPPや、日本とNAFTA加盟国間との包括的な自由貿易協定の締結、防衛産業間の協力、サイバー防衛での協力など、経済上も軍事上も重要な提言を列挙している。アメリカ人がこのような提言をするのは、「強い日本」がアメリカにとって国益だからだ。
だが、「強い日本」は、何よりも日本にとって国益だ。日本が「二流国家」に転落して経済力やグローバルな視野を失えば、アジアの安定を支えてきた日米同盟は重要性を失い、アジアは混乱に陥る。韓国や中国で領土ナショナリズムが高まり、日本との緊張関係が高まっているのは、両国が日本の国力低下に便乗しようとしていることが一因である。アジアの安定は日本の国益であり、日本はアメリカとともにその安定を維持するために「一流国家」であり続けなければならない。
報告書の発表の席で、アーミテージ氏は「日本人が二流国家でいいというなら、報告書を閉じてもらいたい。読む必要はない」と述べた。この報告書は日米同盟のあり方を示す最終報告書ではない。あくまで青写真だ。同氏は、これに基づいてさらなる議論が起こることを期待している。日本が目指すのはどのような国家なのか?その中で、日米同盟をどのように位置づけるのか?長期的なビジョンを含めて、日本人の間で真剣な議論をしなければならない。
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今回の「アーミテージ・ナイ報告書」は、2000年と07年に続く3回目。アメリカ大統領選後の対日政策に反映させることが狙いの一つだ。最初の報告書は、クリントン政権下での「日本軽視」の風潮の中で、日米同盟重視を打ち出した。ブッシュ政権入りしたアーミテージ国務副長官以下、共和党系の執筆者が、提言内容の多くを実際の政策に生かした。
2回目の報告書は、2020 年までのアジア情勢を見据えたものだった。中国とインドが同時に台頭する中で、日米同盟がいかに地域に肯定的な影響をもたらすか、に焦点を当てた。その提言は、アジア重視政策をとるオバマ政権において、カート・キャンベル国務次官補ら――超党派グループの民主党系メンバー――が推進している。
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シリア穏健反体制派幹部「戦闘で勝っても民主化訪れぬ」
2012年8月30日03時26分 朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/0830/TKY201208300002.html
シリアの穏健反体制派「全国調整委員会」のアブドルアジズ・カイエル外交委員長
内戦状態に陥っているシリアの穏健反体制派「全国調整委員会」のアブドルアジズ・カイエル外交委員長が、「反体制派が平和的な闘争に転じなければ、国は破壊される」との考えを示した。ダマスカスで27日、朝日新聞のインタビューに応じた。
カイエル氏は「政権軍、反体制派のどちらが戦闘に勝っても民主化は訪れない」とし、イスラム過激派勢力が反体制派に加勢していることを危惧した。
また、武装反体制派「自由シリア軍」について、「強大な独裁に立ち向かう英雄のように欧米が扱うのはプロパガンダだ。実際は完全な誤りだ」と指摘。「独裁政権は残虐に市民を殺害しているが、反体制派も同じ罪を犯している」とも語った。「シリアが弱体化することで優位に立つのはイスラエルでしかない」とみているという。
カイエル氏は、民主化を訴えたことが問題視され、過去に14年間の投獄を経験している。政権と反体制派の双方に停戦と政治的解決を促しているが度々、拒絶されているという。「リスクはある。だが100回でも訴え続ける。我々の主張は大多数の市民が望んでいることだ。このままでは市民が死に続け、将来も民主化や、自由と尊厳の確保はなされない」とした。(ダマスカス=杉山正)
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維新の会、中川秀直氏に合流打診 新党で、政策幹部を想定
2012/08/30 02:00 【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012082901002164.html
橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が、自民党の中川秀直元幹事長(比例中国)に対し、9月中旬にも立ち上げる新党で政策立案の中心的な役割を果たす幹部として合流を打診していたことが29日、分かった。
自民党の谷畑孝衆院議員(比例近畿)も新党への合流を検討していることが判明。次期衆院選に向け、維新の会との合流や連携に向けた動きが活発化しており、今後も流れは続きそうだ。
新党構想をめぐっては、民主党の松野頼久元官房副長官(熊本1区)や自民党の松浪健太衆院議員(比例近畿)ら民主、自民、みんな各党の衆参両院議員5人が離党し、新党に合流する見通し。
当方注)
あれこれの自民党重量級幹部に接触しているようだが、みんな断られているようだ。
この点では、橋下構想が、挫折しつつあることを示しているといえよう。
このままでは、すべて失敗し、自ら、市長辞任に追い込まれるであろう。
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