【コラム】天国に一番近い島

 地球上の全ての国が、経済的に豊かで精神的にも満たされた幸福な国になることを夢見ている。しかしこの二つを同時に満たす国はそれほど多くはない。経済的に豊かな先進国では社会の病理や競争によるストレスで国民は苦しんでいるし、バングラデシュのような「貧しさの中の幸福」を真の幸福というのもどこかふに落ちない。しかし、意外なところに理想に近い国があった。

 南太平洋に浮かぶニューカレドニアは人口23万人の小さな島だ。先週、首都ヌメアに出張に出掛けたが、現地で目にした英字紙の1面トップ記事が印象に残っている。それは、高校生が飲酒運転し、事故を起こして死亡したというものだった。さまざまな凶悪犯罪が毎日のように発生する韓国では、この程度の事故はニュースのネタにもならないだろう。つまりニューカレドニアはこの事故に驚いて新聞の1面を飾るほど、平和で静かな島だということだ。

 国際社会であまり存在感のないこの島について知らないとしても、決しておかしいことではない。ただ何かヒントでも与えられれば「ああ、あそこか」と思い出す人なら結構いるだろう。ドラマ『花より男子』で、主役のク・ジュンピョとクム・チャンディのカップルが愛を語り合ったあの幻想的な南国が、ニューカレドニアだ。美しいだけでなく、その澄んだ海の色に驚いたある日本の作家は「天国に一番近い島」と賞賛した。その言葉には記者も心から共感する。

 この島をうらやましく感じるのは、単に自然の景観だけが理由ではない。観光だけに頼るという貧困国のイメージは、到着と同時になくなった。ニューカレドニアの1人当たり国民所得は3万5000ドル(約277万円)に達する。これは韓国(2万3000ドル=約182万円)の1.5倍だ。サムスン電子や現代自動車のような企業があるわけでもなく、韓国のように激しい競争社会というわけでもないのに、韓国よりも豊かな暮らしをしているのだ。物質面だけではない。システムや制度は先進国にも劣らないし、市民の意識は韓国をはるかに上回っている。

朴正薫(パク・チョンフン)副局長兼社会部長
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