<朝鮮出兵がネック>
3週連続で1ケタ台の視聴率にあえいでいるNHK大河「平清盛」。21日の放送は関西地区で7.5%(ビデオリサーチ調べ)を記録し、またまた過去最低を更新。最終回(12月23日)まできっちり放送するというが、クライマックスの源平合戦を待たずして“討ち死に”状態である。
早くも話題の中心は次の大河に移っていて、13年は綾瀬はるか(27)主演の「八重の桜」、14年は岡田准一(31)主演の「軍師官兵衛」と先日発表になったが「本当は『島津義弘』が当確だったが、二転三転し、黒田官兵衛になった」というのはNHK関係者だ。
14年大河を巡っては、発表の1カ月前にも一部スポーツ紙が「明智光秀が有力」と報じている。しかし、フタを開けたら「官兵衛」になっていた。舞台裏で何があったのか――。
島津義弘は、織田信長や豊臣秀吉と同世代に活躍した薩摩の戦国大名。島津家中興の祖といわれた第15代当主・貴久の次男で、兄の義久を助けた島津家最強部隊の将だ。
関ケ原の合戦では300足らずの兵で敵中突破したことで有名。他にも、文禄の役と慶長の役で朝鮮へ出兵し、明の大軍相手に勇敢な戦闘力を発揮したことで知られる。
「その豪快なエピソードがネックになった。朝鮮出兵は義弘公の見せ場のひとつ。“鬼島津”と恐れられたという資料も残っている。絶対に外せないシーンだし、申し分ない“山場”です。が、8月に勃発した竹島の領土問題で日韓が揉めている中で、局内から難色を示す声が出た。物議を醸すような事態を避けたわけです」(NHK関係者=前出)
義弘公の地元・鹿児島は県を挙げて大河の誘致活動に積極的だった。数年前には鹿児島にゆかりのある人物でプッシュしようと署名活動までし、09年には「観光かごしま大キャンペーン推進協議会」を発足させ、昨年10月にNHKへ要望書を提出していた。
大河の舞台となった地元への経済効果は絶大で、08年の「篤姫」は鹿児島県内に262億円をもたらした。
コトなかれ主義で弱腰なNHKと野田外交に振り回されては、義弘公もいい迷惑である。
(日刊ゲンダイ2012年10月26日掲載)