韓国企業、相次ぎ投資先送り

 背景には国内外の景気の先行き不透明感がある。今年下半期にかけ景気低迷が深刻化すると、支出を抑え、投資計画を撤回するなど、企業は混沌(こんとん)の中に追い込まれた。

 天安・牙山地域に集中している半導体設備関連の下請け企業は、今年下半期に入り、大企業の発注が大きく減少したため苦しい状況だ。現地の製造業経営者は「今年上半期まではこれまで同様に発注を行ったが、下半期に投資を急に凍結した。こうしたムードは来年まで続くと懸念している」と語った。

 情報技術(IT)・自動車関連が大企業が海外に投資を集中させたため、韓国での投資が不振に陥っているとの指摘もある。現代・起亜自動車は今年、工場の新設・拡張に充てた2兆ウォン(約1450億円)の3分の2を海外工場に投じた。同社の生産担当役員は「韓国国内の工場を増やしたくても、強硬な労組と生産効率という面で到底無理だ」と話した。

■企業投資に関心を

 企業の投資低迷は韓国だけで起きているわけではない。投資銀行のJPモルガンは「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500指数を構成する企業の手持ち現金は今年第3四半期現在で1兆5000億ドル(約119兆円)に迫り、過去最高に達している」と指摘した。しかし、景気の先行きが不透明になり、企業は現金の留保に動いている。

 しかし、韓国と米国の経済状況は異なる。韓国は米国とは異なり、内需の基盤が弱いため、企業の投資が減ると経済全体が危うくなる。

 全国経済人連合会(全経連)のペ・サングン経済本部長は「韓国社会はこれまで経済民主化などという政治スローガンばかりに神経を使い、経済の根幹を成す企業投資を軽視してきた。韓国が成長するためには、企業投資を活発化するしかないが、投資低迷が最悪の状況となれば、韓国経済の危機論がいよいよ高まることになる」と警告した。

扈景業(ホ・ギョンオプ)記者
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