(大人…か)
 理沙子は帰ってからも素直にその事を考え続けていた。
 大人になるってどういうことだろう。
 確かに自分はもうすぐ19歳になる。ということは来年の今ごろにはもう二十歳。社会的にも成人したとみなされる年齢になってしまう。なんだか信じられないけども確実にそれはやってくる。
 大人の女――ふと、きのうの恋の顔が浮かんできた。同い年の元同級生、仲のいい友達の"大人"の顔をいきなり見てしまった。自分もいずれあんな風になるんだろうか…。
 もちろん大人の男女の関係――子供がどうやってできるかは、知識としては知っていた。ただ、自分が将来そんなことをするだなんて、今でもなんだか信じられない。正直な話、他の人はみんなほんとにそんなことしてるんだろうか…という気すらしていた。例えば、自分の両親がそんなことをしてるだなんて…どうしても想像できない。けど、ちょっと考えればしていないわけない事は明らかだった。なぜなら――。
(だから、わたしがいるんだもんね…)
 理沙子は、なぜだか自分が母親の胎内に宿った時のことなんて想像してしまった。かーっと顔に血が昇っていく…。
 最近、とみにドキドキしやすくなった気がする。こうして部屋にひとりでいるときでも、ちょっとした事ですぐ赤くなってしまうのだ。
(――あ、だめ。また…)
 ブラジャーの中で、またみしみしと胸があふれそうになってくる。苦しくなって、あわてて手を背中にまわしてホックをはずした。ふぅっ、と大きく息をつく。支えを失ったブラが服の中でわさわさするので、ブラウスのボタンをいくつかはずしてブラを引き抜いた。
 こんなことを何度繰り返したろう。いつからか、一人でいる時にはノーブラの時のほうが多くなってしまった。そのまま秋山くんの家に行っちゃって冷や汗かいたことも1度ではない。くびきから開放されたバストはさらにひとまわり大きくなったように見えた。
 乳房が直接布地に触れる。引き伸ばされたブラウスの生地がくすぐったいような刺激を胸に与えた。
――これからもますます、際限なく大きくなってっちゃうわよ…
 不意に、先生の一言が頭に蘇る。理沙子は自分の胸にそっと手を伸ばしてみた。いつのまにか、目一杯腕を伸ばさなければ抱えきれないほどに大きくなってしまっている。これがさらに成長してったら…。
 両腕に、ずしりとした重さを感じた。ちょっと腕を揺さぶってみただけで、腕の中で、抱え上げられた乳房がたぷんたぷんと波打っている。胸の先に当たっている所がなんかこそばゆい。いつしか理沙子は、その部分に神経を集中させて、手のひらでさらにさすってみた。
(あ…)
 こそばゆさが、手の中で少しづつ拡がっていく。不思議な感覚が、徐々に大きな胸の奥のほうに染み込んでいくようだった。なんだろう…。やめなきゃ、と頭の片隅で警告が発せられるのを聞きながらも、手の動きはどうにも止まらない。いや、むしろだんだんに動かす指に力が入っていくのが分かった。それにつれて、さらに脳の奥がしびれるような悦びが湧き上がっていく…。
(だめ、やめて…)
 頭の片隅で盛んに危険信号を発しているのを感じる。でも、胸の奥でむずがゆいような感覚がどんどん広がっていき、手の動きは自分の意思と関係なくますます激しくなっていった。身体全体が、今知ったばかりの新たな刺激を飽く事がなく求め続けてやまない。
(どうしちゃったの、わたし…)
 自分の体の奥で、今まで知らなかった衝動が怒涛のように渦巻いて、今にもあふれ出しそうになっていく。だめ…。いくら止めようとしても、内側でぱんぱんにふくらみきった欲望が今にも破裂しそうだ。
 不意にまた、弟に盛んにおっぱいをもみしだかれていた恋の表情が浮かんできた。恋ちゃん、気持ちよさそうだったなぁ。わたしも今、あんな風に胸を触られたら、どんな気持ちがするんだろう…。
 この手が秋山くんのものだったら――。途端に、自分の中のヴォルテージが一気に急上昇するのを感じた。もうなんだか分からない。まるで自分の体が真っ赤に熱くなったような気がして、快感がどこまでも、どこまでも高く駆け上っていった。
(秋山くん、だめ、さわっちゃ――でも…やだ、やめないで。わたしのおっぱい、めちゃくちゃにして――)

 ふっ、と後ろに誰かがいるような気がしてはっとした。
 誰?
 理沙子はあわてて手を胸から離して振り向いた。間髪いれずドアがノックされる。「理沙子、大丈夫?」ドアが開いて母親が顔を出した。
「あ、うん。大丈夫。病院でも、大したことないって」
「そう。もうすぐご飯だけど、食べられる?」
「あ、はぁい、今行きます」
 母親が階下に下りていく音を聞きながら、理沙子はすっと気が抜けていくのを感じた。しかし、あの熱い感覚は今も体中に生々しく残っており、今ちょっと刺激を加えただけで再び燃え上がりそうだった。
(わたし――どうしちゃったの…)
 部屋はいつの間にかすっかり暗くなっていた。理沙子は机の明かりを点けると、大きく前に突き出した自分の胸をじっと見つめた。本当に自分でも信じられないほど大きくなってしまっている。これが、先生が言うように自分の体が発している叫び声だとしたら…。わたし――いつの間に、こんなにいやらしい子になっちゃったんだろう…。
(なんだか、秋山くんがいないとわたし、どんどんエッチになっちゃいそう――助けて…)

「ごちそうさま」
 夕飯をほとんど押し込むように食べると、理沙子はまた部屋に籠もった。机に向かったまま何をする気にもならない。ちょっと手を動かしただけで机の上を占領している胸に当たってしまいそうだし、考えるとまたいやらしい妄想が勝手に噴き出してくる。がんじがらめだった。
 何もするでもなく、ただぼーっと掛けられたカレンダーを見つめていた。今日は――何日だっけ? と呆けたようにしているうちにハッとした。
(秋山くん――そうよ、そういえば今晩、秋山くんが帰ってくるんじゃない!!)
 秋山くんが帰ってくる…。ほんとは明日行く予定だったけど、思い出した途端居ても立ってもいられなくなった。理沙子はそのまま玄関へ駆け出していく。「おい、どこへ行くんだ」後ろから父親の声が聞こえる。いつにない娘の様子にとまどっているようだった。しかしそれすらも理沙子の足を一瞬たりとも止めはしない。時間はもう10時をまわっている。こんな遅い時間に家を出てるだなんて、いったいいつ以来だろう。
 玄関を出た途端、冷たい風が理沙子の体を覆った。寒い。思った以上に冷え込んでいる。もう冬が近づいてくるのを実感した。しかも――さっき部屋でブラジャーを外したままだった。走るたびにぽよんぽよんと盛大に胸が揺れる。しかしそんなことぐらいで理沙子の足は止まらなかった。
 玄関に立つ。3日ぶりなのになんだか懐かしい感じがした。しかし――家の明かりはまだどこもついてない。真っ暗だ。中にも人の気配はない。
「まだなの…」
 その途端、冷たい風が体中を突き抜けた。
(寒い…)
 理沙子は体を縮こまらせた。見も心も、一気にしぼんでいくようだ。
 その時、近くまで車が走ってきて止まる。助手席のドアが開いて男がひとり降り立った。
「藤掛…。どうしてここに?」
「秋山くん…」
 ちょうど今着いたらしい。その顔を見た途端、なんだか今まで張りつめてたものがほっとほどけていって、足が勝手にそちらに駆け出していた。
 そのままほとんどぶつからんばかりの勢いで駆け寄り、両手でしっかりとつかまえた。
(おっとぉ) 信一は受け止めるのが精一杯だった。腰がふらつきそうになるのを、野球で鍛えた強靭な足でなんとか食い止める。
「おかえりなさい!」
 ぎゅーっと精一杯の力で抱きしめてくる。そうなると2人の間には、その特大のおっぱいがぎゅむぎゅむと圧しつけられてきて、生きているかのように蠢いた。
(こいつ…ちょっと見ない間にまた大きくなったみたいな…。それに、ノーブ…)
 信一はとまどいを隠せなかった。なんかいつもの藤掛と違う――。そう、今までつきあっていて、2人でそばにいても、なんだか藤掛のまわりにはちょっとそれ以上近寄る事を寄せつけないような空気があって――まるで見えないよろいを身にまとっているような感じが常にあった。過去に2度、そのよろいを無理矢理破ってその体に触れ、後でひどい後悔をしたことがあった。そんな時彼女が見せる、まるで「どうしてそんなことをするの?」とでも言いたげな顔は信一の脳裏にこびりついて離れない。だから、最近は我を忘れないよう、自分自身を警戒していたのだが…。今の藤掛にその空気はない。まるで自らその殻を破ったかのように無防備に信一に触れまわっていた。
(なんだか積極的に自分から胸を押しつけてるみたいな…)
 いったい何があったんだ?とその変化に却って警戒してしまった。それに、なんだか彼女の胸の間からほの甘い香りが立ち上っていくような気がして、思わずまた理性がしびれてきそうな予感があった。しかし藤掛の表情に屈託はない。まるで自分と会えたのが、触れられたのが嬉しくてたまらないかのようだった。信一は自分でもそれに応えてやりたくて、ひとつ静かに深呼吸をすると、自分でも思いっきり手を拡げて、藤掛の肩を包み込むようにしっかり抱きしめた。
「ただいま」
 それ以上何も言わなかった。合わせた胸と胸の間に体温が交流して暖かい。それだけで今は充分だった。

 車から一足遅く飛び出した姉のみゆきが、いきなり抱き合った弟たちを見て一瞬「へ〜」と驚いた顔をした。
(よかったじゃん信一。でも彼女なんかあったのかな、ひと皮むけたみたいね)
 言葉をかけようもなく、ただにやにやとしたまま、いつまでも2人を見つめ続けていた。
SS提供:ジグラットさん


委員長のSS第三話を頂きました。
今回の物語は前作から更に数ヵ月後、秋のお話です。掲載は真冬になってしまいましたが(遅れてスミマセン:汗
前二作は秋山くん視点で展開されておりましたが、本作では初めて委員長の視点がメインとなりました。
委員長が普段どんなことを考えて生活しているのかが分かる、貴重な一本ですw

しかし今回は秋だけに「一日千秋」なお話ですねw
離れてみて初めてわかることというのは何にでもあるものです。絵がスランプになったときとか(苦笑

そして、今回は委員長の精神にも大きな変化がありましたね。
ただでさえ例えようのない感情が渦巻き始めていたところに大塚姉弟の情事を目撃してしまったのが運の尽き、
彼女にとっていろんな意味で刺激的な三日間だったのではないでしょうかw

彼女もようやく、何故過去に秋山くんがあんなに豹変して飛びかかってきたのか解かってくれたようですね(笑

今回で第三話目となる委員長シリーズですが、今回は起承転結の「転」の部分ですね。
事によると最終話、完結編となるお話も書いていただけるかもしれないとのことなので、そちらにも期待です。

第一話を頂いてから、はや一年が過ぎようとしております。思えばこの物語の第一話が人様から頂いた最初のSSでした。ジグラットさん、ありがとうございますm(__)m
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