新元素:日本発見の「113番」確定…年内にも命名権
毎日新聞 2012年09月27日 00時03分(最終更新 09月27日 03時21分)
理化学研究所(埼玉県和光市)は、森田浩介・准主任研究員らのチームが2004年に見つけた新元素(原子番号113)について、その発見を確定的に裏付ける成果が得られたとする論文を、27日発行の日本物理学会の英文誌に発表した。国際純正・応用化学連合(IUPAC)などで作る作業部会が「発見」と認めれば命名権が与えられ、初の「日本生まれの元素」として、世界で使われている元素周期表に掲載される。
チームは、亜鉛原子を光速の1割程度に加速してビスマス原子に衝突させる実験を03年から繰り返し、極めてまれに起きる核融合反応で113番元素ができることを見つけた。04年と05年に1個ずつ成功したがその後難航。今年8月、3個目に成功した。人工的に作る不安定な元素のため、平均2ミリ秒(500分の1秒)で崩壊、別の元素に変わる。3個目の今回は04、05年と異なる元素に変わった。理論上予測される113番元素の崩壊パターンのすべてを確認した。
理研によると、作業部会の結論は年内に出る見通し。113番元素はロシアと米国のグループが別の方法で見つけ、発見を申請しているが、理研は「新元素の崩壊先まで日本だけが確認しており、確度は高い」としている。【野田武】
◇元素とは
宇宙のあらゆる物質の基本的な成分。原子核の陽子の数で原子番号が決まる。原子番号1の水素が最も軽く、92のウランまでが自然界に存在する。それ以上重い元素は各国が人工的に作り出す研究で競い合っている。