行田市の忍(おし)城を舞台とした歴史小説「のぼうの城」の映画化に伴い、12人で結成された「忍城おもてなし甲冑(かっちゅう)隊」。本年度限りの予定だったが、市は「予想以上の人気で観光客増加に貢献している」として、来年度も存続する方針を固めた。歴史好きの女性、「歴女」たちの熱い支持があるといい、市は「運営の基金がなくなっても経費を予算化する」と意気込んでいる。 (宮本隆康) 甲冑隊の発足は二〇〇九年七月。リーマン・ショック後の緊急雇用対策基金を活用し、ハローワークなどを通じて募集した。 メンバーは元保育士や元旅行会社員で、女性も一人いる。小説に登場する戦国武将や足軽にふんし、週末に忍城跡で剣舞を披露したり、観光客との記念撮影に応じたりしている。県外のイベントにも行き、市内の名所を紹介するブログ(インターネットの日記風サイト)も運営している。 忍城跡の観光客は、〇七年の小説発表や甲冑隊の活動で増加。敷地内の市郷土博物館の入館者は、〇七年までは年間四万人前後だったが、昨年は約五万三千人になった。アンケートに答えた約三割が甲冑隊を来場の理由に挙げ、このうち多くが歴史好きの女性だったという。 甲冑隊の予算は昨年度は五千五百万円、本年度は七千万円。国の交付金による県の基金でまかなう。交付金の期限は本年度の予定だったが、東日本大震災などを受けて来年度まで延長。だが、被災地に重点配分されるとの見方もあり、行田市に交付される見通しは立っていない。 観光PRの武将隊は、名古屋市をモデルに約二十自治体が発足させたが、関東では行田市が唯一。震災で延期されていた映画「のぼうの城」の公開は来秋の予定で、工藤正司市長は「映画の上映前になくすのはおかしい。甲冑隊は行田のアピールに十分成功している」と言っている。
[記事全文] 【東京新聞】
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