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野生キノコの出荷停止指示…山梨
山梨県富士吉田市と富士河口湖町、鳴沢村の野生キノコから食品衛生法の基準値を超える放射性セシウムが検出された問題で、政府は26日、原子力災害対策特別措置法に基づき、3市町村で採取された野生キノコの出荷停止を県に指示した。
県産品に対し、同法の出荷停止指示が出るのは初めて。県は同日、3市町村などに対する出荷停止要請を始めた。
この問題を受け、県林業振興課は3市町村に隣接する7市町村でも野生キノコの検査に着手した。29日までにサンプルを集め、30日に県衛生環境研究所(甲府市)で検査する。
26日には、富士五湖地方などでとれた野菜や魚の検査が行われ、本栖湖のヒメマスから基準値以下の1キロ・グラム当たり19ベクレルの放射性セシウムを検出。野菜、養殖魚は不検出だった。
富士吉田市では同日午後、市農林課職員が林道の入り口などを巡回し、キノコ狩りを当面自粛するよう求める看板を設置した。
■専門家「驚くほど高い数値でない」
30年以上キノコを研究している独立行政法人「森林総合研究所」(茨城県つくば市)の根田仁・きのこ研究室長は「驚くほど高い数値が出たわけではない。影響は長期化するかもしれないが、冷静な対応が必要だ」と指摘している。
根田室長によると、キノコは植物と比べて放射性セシウムを吸収しやすい性質がある。放射性セシウム濃度の低下のためには、地表近くの放射性セシウムが雨で洗い流されるか、自然に減衰するのを待つしかないとされ、根田室長は「1986年のチェルノブイリ原発事故を参考にすると、影響が10~20年に及ぶ可能性もある」と予想する。
キノコは「菌糸」と呼ばれる細長い細胞を木や地中に伸ばし、養分を吸収する。養分を取り込む際にセシウムを蓄積するため、同じ山林に生えたキノコでも、樹木から養分を吸収する品種と、地中から養分を吸収する品種では放射性セシウム濃度が大きく異なるという。根田室長は「基準値を上回ったキノコは、浅い地中から養分を吸収する品種が大半だ」と話している。
(2012年10月27日 読売新聞)
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