2012年09月26日

子会社解散の親会社の団体交渉応諾義務 JUKI事件都労委勝利命令勝ち取りました

昨日、JUKI事件の都労委命令が交付されました。読売新聞に記事が出ましたので、ご覧下さい。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120925-OYT1T00801.htm

平成20年6月に申立した事件ですので、かれこれ4年以上も命令が出なかった、とっても待たされた事件でした。
でも、とにかく勝利命令。
早く勝利命令がでる事は、不当労働行為を防ぐためにはとても必要ですが、本件は解雇事件。そして当該は、粘る性格。待たされましたが、勝てた事が何よりでした。

しかも、しかも、です。今回のこのJUKI事件、会社分割法により不採算部門を子会社に分割した後に、経営不審を理由に会社解散し、希望退職に応じなかった当該1名を解雇したという事件です。今回の事件のJUKIの場合の、不採算部門とは家庭用ミシンの訪問販売部門でした。世の中の変遷で、売れなくなる商品や、受け入れなくなる販売方法というものはそれはどこでもあります。そんな世の中の動きを見ながら、労働者を大切にしつつ舵切りをするのが経営であると思うのですが、外資が参入しているJUKIは、要らなくなった部門を労働者毎別会社にし、使い捨て、そのあげく、子会社は別会社だから雇用責任も無いし、団体交渉応諾義務もないと主張して、自らの株価を上げてきました。

この手法は、会社分割法が出来る時に危惧していたやり方でした。
簡単に会社が分割出来ると、こんな事が起きてしまうのではないかと。
JUKIでも、会社分割法の定める通り、労働者の同意をとって分割はしました。けれども、会社を信用し尽くしている労働者は、まさか解雇につながる「同意」だとは思わず同意してしまった事から、今日に至ります。

そこで今回の労働委員会の判断です。
まず、一般論としての理屈です。
「労働組合法第7条の使用者とは、労働組合法が助成しようとする団体交渉を中心とする集団的労使関係の一方当事者としての使用者を意味し、労働契約上の雇用主が基本的にはこれに該当するものの、雇用主以外の事業主であっても、親会社として、その株式所有、役員の派遣、受注関係等を通じて子会社の経営を支配し、子会社の労働者の基本的な労働条件について、単なる株主としての地位を超えて、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配力を及ぼしている場合には、子会社と並んで当該親会社も労働組合法上の使用者に当たると解すべきである。」という事に今回のJUKIの親会社と子会社がどのように該当するかです。

労働委員会では「家庭製品社は、JUKIとは別個の経営体として自主的な管理運営をしていたというよりも、JUKIと人的、物的及び資本的に一体となり、JUKIの一事業部門と同視できるような態様でJUKIから全面的に経営上の支配を受けていたとみるのが相当である」と認定され、「JUKIは、会社分割前から訪問販売事業からの撤退を図っていたものとみられる」「家庭製品事業部は会社分割前に多額の赤字を抱えていた事、家庭製品社は会社分割後わずか10ヶ月で営業活動を停止し従業員に対し希望退職におうずるよう勧告がなされた事、家庭製品社の役員や管理職らはJUKIからの出向者であり解散後にJUKIに復帰した事に鑑みると、会社分割は、収益力及び今日労色の強化を企図して行われたというよりも、むしろ、JUKIが、使用者として責任を負うことなく、家庭製品事業部の従業員との雇用関係を解消しようとしておこなわらたものとの疑いを払拭できない」「会社分割自体が、使用者としての責任を負うことなく家庭製品事業部の従業員の雇用関係を解消する目的でおこなわれたものとの疑いを払拭できない」と認定され「JUKIは労働組合法第7条の使用者に当たり、組合の求める大宮の雇用保障を議題とする団体交渉に応ずべき立場にある」と判断され、救済命令が出されました。

会社を分割して不採算となった部門を一掃するような乱暴な労務政策に対して、そのことを考え実行した親会社に責任を追求する大きな意味のある命令となりました。

この命令を受けて、早速、団体交渉申入れを行います。IMG_1211.jpg



posted by REI at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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