暴力団員と共謀して知人の女性から現金を脅し取ろうとしたとして、県警捜査四課と沼津署などは十九日、恐喝未遂の疑いで、富士宮市消防本部から県消防防災航空隊に出向している同隊主査の坂井聖(ひじり)容疑者(37)=静岡市葵区瀬名川三=ら五人を逮捕した。
ほかに逮捕されたのは富士宮市万野原新田、暴力団員村井和弘(32)、富士市松岡、会社員小泉直也(29)、同市森島、建設業高橋義将(29)、富士宮市山宮、風俗店員菅井拓海(30)の四容疑者で、いずれも容疑を否認。坂井容疑者の認否は同日夜に調べるという。
逮捕容疑では十月上旬の深夜、共謀して県東部の飲食店駐車場で、県東部在住の二十代女性を「おまえから落とし前を取る」「ソープに沈める」などと脅し、千数百万円を要求したとされる。
同署などによると、坂井容疑者は県東部の派遣型風俗店(デリバリーヘルス)を実質的に経営。女性の内縁の夫で同店店長を務めていた秋山龍太容疑者(28)=児童福祉法違反容疑で逮捕=に売上金を上納させていたが、秋山容疑者が九月下旬に行方不明となり、女性に肩代わりを要求した。
県警は同日、富士宮市役所や坂井容疑者らの自宅などを家宅捜索。今後、同店への暴力団の関与や資金の流れを調べる。
富士宮市消防本部消防総務課によると、坂井容疑者は一九九四年に採用。中央消防署などでの勤務約二十年間の半分を救助畑で過ごし、富士山での遭難者を助ける山岳救助隊にも所属。隊長の補佐役だった。十九日も富山県での登山訓練に参加し、下山したところを捜査員に逮捕された。
同市の須藤秀忠市長は十九日、市役所で本紙などの取材に応じ、「市民に申し訳ない」と陳謝。「市の最高責任者として責任の重大性を感じている。さらに綱紀の粛正を図る」と話した。
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