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被災バルーン、佐賀の空に 名取市から出場 | ||
31日に開幕する佐賀インターナショナルバルーンフェスタに、東日本大震災の津波被害を受け、修復された宮城県名取市の「いろは」号が出場する。がれきの中から見つけ、全国のバルーン仲間の助けを得て復活した。初めて佐賀の大会に参加する「名取バルーンチーム 風船小僧」代表の自営業吉野浩清さん(48)は「復興はまだ道半ば。バルーン会場で空を見上げ、被災地に心を寄せてもらえたら」と話す。 「いろは」号は佐賀市の気球販売店を通じて購入、名取市小塚原地区のチームメンバーの倉庫に保管していた。震災ではメンバー12人は無事だったが、バルーンは津波で倉庫ごと流された。 「バルーンがどうなっているかという発想すらなかった」と振り返る吉野さん。水道管の工事で被災地を駆け回っていたところ、がれきに埋まったゴンドラの一部が目に飛び込んできた。「このままではブルドーザーに持って行かれる」。仕事の合間を見つけては、バルーンの部品を一つ一つ引っ張り出した。 桜が咲いたことにも気付かないような緊張した毎日だった。そんな中で、塩水と泥にまみれた球皮を洗い、保管してくれたのは宮城県内のバルーンチーム。ゴンドラの編み目は泥などで詰まり、持ち手もない。大変な作業だったが、おくびにも出さず、使える状態にして戻してくれた。傷んだバーナーは、東京の取扱店がメンテナンスを引き受けてくれた。「名取は大変な状況と聞きます。どこかの空を飛ぶ姿を見たい」-。バーナーには、温かな手紙も添えられていた。 数十人の友人を亡くしたメンバー、自宅を失ったメンバーもいる。まだまだ復興したと言える状況ではないが、東北も九州も、空でつながっていることを実感した1年7カ月。吉野さんは「バルーンを見上げながら、東北に暮らす人のこと、絆の確かさなど、何かを感じてほしい」と話している。 |
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2012年10月26日更新 |