自営業者への融資が急増

 地方の公団に勤め、昨年定年退職したAさん(56)は、近ごろフランチャイズビジネスの説明会に足を運んでいる。あちこちからかき集めた9000万ウォン(約620万円)ほどの資産と銀行からの融資1億ウォン(約700万円)で、コーヒーショップか飲食店を始める計画だ。Aさんのようなベビーブーム世代(1955-63年生まれ)による起業が増え、銀行の融資も急増している。

 金融業界によると、国民、新韓、ウリ、ハナ、農協の市中銀行5行による自営業者への融資残高は、6月末現在109兆3000億ウォン(約7兆6000億円)と、昨年末に比べ5兆9000億ウォン(約4000億円、5.7%)増加した。同期間の新規融資のうち、84%が自営業者に対するものだった。

 韓国銀行の個人金融調査によると、昨年の自営業者の平均年間所得は5048万ウォン(約350万円)だが、融資の元利金返済額が1082万ウォン(約75万円)に達した。所得の21%を借金の返済に充てたことになる。前年はこの比率が16%だったことを考えると、状況は大きく悪化したといえる。自営業者1人当たりの負債が1年間で19%急増したことが原因だ。

 借金を返済できないケースも増えている。今年5月末現在、自営業者の融資返済滞納率は1.17%で、昨年末の0.8%から大幅に上昇した。

金正薫(キム・ジョンフン)記者
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