ライフ【今、学校で いじめ絶つには】(3)冷淡な司法「教育現場の隠蔽助長」+(3/3ページ)(2012.10.23 14:50

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【今、学校で いじめ絶つには】
(3)冷淡な司法「教育現場の隠蔽助長」

2012.10.23 14:50 (3/3ページ)

 児玉弁護士は判決について「佑美さんの苦しみへの共感は全くなく、憤りを抑えられなかった」と話し、こう続けた。「裁判所のいじめ問題への無理解が教育現場の隠(いん)蔽(ぺい)に力を与え、期せずしていじめを助長する構図ができあがっている」

社会問題化が追い風

 判決が出た2日後の7月11日、大津市の中2男子の自殺問題で警察が学校や市教委を家宅捜索する事態に発展し、いじめが社会問題化した。児玉弁護士は「高まった関心は司法を変える追い風となる」と話す。

 社会問題化する風潮が司法判断を変えた例がある。大手広告代理店「電通」の男性社員が過労で自殺した「電通事件」だ。12年に和解が成立したが、地裁、高裁、最高裁のいずれも、判例では慎重だった長時間労働と自殺の因果関係を認めた。背景には長時間労働が鬱病を引き起こした結果の自殺件数が急増し、社会問題化した経緯があった。

 中井佑美さんの裁判は23日、東京高裁で控訴審が始まる。児玉弁護士は訴える。「いじめ問題で教育現場の隠蔽体質を変えられるかどうかは司法の良識にかかっている」

【中井佑美さん事件】

 平成17年10月11日、埼玉県北本市の中学1年、中井佑美さん=当時(12)=がマンションから飛び降り自殺。同級生の証言などから日常的にいじめがあったことが判明した。遺書の最後は「これから楽しい事もあるけど、つらい、いやな事は何億倍もあるから。いそがしい時にごめんなさい。私、お母さん大好きなのにね」と結ばれていた。

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