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【今、学校で いじめ絶つには】(3)冷淡な司法「教育現場の隠蔽助長」
2012.10.23 14:50
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裁判は「遺族に不利」
「学校はひとつの『密室』だ」。いじめで子供を失った遺族の多くがこうした失望感にとらわれる。子供は心配をかけたくないと、親に被害を明かさないケースも少なくない。遺族は学校の調査に頼るほかないが、いじめで自殺した子供の遺族らでつくるNPO「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)理事の武田さち子さん(54)は「責任を問われる学校は平気で事実を隠蔽する。裁判に備え恣(し)意(い)的でおざなりな調査をしていると思わざるを得ないケースもある」と話す。
ある遺族は子供の自殺直後、校長から「ところで裁判されますか」と聞かれた。「今は考えていない」と答えると校長は安(あん)堵(ど)の表情を浮かべたという。
裁判になった場合、遺族は情報量で圧倒的に不利だが、いじめが自殺の原因になったと立証する責任は遺族側に課されている。20年間の裁判官経験がある多田元(はじめ)弁護士(68)は「裁判の構造が遺族に不利な形となっていることは否めない」と語る。
判決は独立の原則がある個々の裁判官によって左右される。「突き詰めると、裁判官が社会で起こっている事実に共感できるかどうかだ。共感能力が低いと、公のやることに間違いはないと学校や役所の立場に軸足を置き、遺書の文言など目に見える直接的な証拠にこだわる傾向がある」
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