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【今、学校で いじめ絶つには】(1)加害者たち 罪悪感なく「面白い」
祥晴さんは手紙のやり取りを通じ、「あの子たちに罪悪感は絶対なかった」と確信している。「だからこそ、あんなにひどいいじめができた。そういう物事の善悪を教えてやれない学校教育とは何なのか」。時がたつにつれ、その思いは一層強まる。
「かわいそうな子」
横浜市に住む小森美登里(みどり)さん(55)も平成10年、高1の長女、香澄(かすみ)さん=当時(15)=を自殺で失った。香澄さんは同級生から言葉や態度によるいじめを受けていた。学校には10回以上足を運び、メンタルクリニックにも通わせていた。
ある夜、美登里さんは引きこもっていた香澄さんを散歩に連れ出した。美登里さんは励まそうと、加害者側の女子生徒のことを口汚くののしった。
すると、香澄さんは冷静につぶやいた。「お母さん、優しい心が一番大切だよ。その心を持っていない、あの子たちがかわいそうなんだよ」。香澄さんはその4日後、自宅で首をつった。
まな娘の言葉「優しい心」にちなんで「ジェントルハートプロジェクト」を立ち上げ、10年以上、いじめ防止のNPO活動を続けてきた美登里さんは「いじめは加害者の心の問題なんです」と言い切る。
「加害者がやめない限り解決しないから」。この瞬間も、絶望のふちに立たされている子供たちがたくさんいる。
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いじめを受けていた大津市の中学2年の男子生徒の自殺で、学校や教育委員会の不手際が指摘されてから3カ月余り。いじめがまた社会問題化している。自殺に追い込まれる児童・生徒は各地で後を絶たない。悲劇を防ぐためには何が必要なのかを考えてみたい。
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【用語解説】大河内清輝君事件
平成6年11月27日、愛知県西尾市の中学2年、大河内清輝君=当時(13)=が同級生4人から川に沈められたり、計100万円以上を取られたりするいじめを苦に自殺。遺書には「どんどんいじめがハードになり(略)もう、たまりません」などと記されていた。4人は恐喝容疑で書類送検され、うち3人は初等少年院、1人は教護院に送致された。その後4人は反省を深め、うち3人は今も清輝君の命日に焼香に訪れる。
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