資金的に困窮していたA氏が、危うい企業に関係したこともある過去や、B氏がかつて経営していた企業の役員に「振り込め詐欺犯」がいたという事実は、確かに「コンプライアンス上の問題」を追及されても仕方がないかも知れない。
だが、今回、指摘したいのは、あまりに虫がいいフジテレビの姿勢である。
「前捌き」は業者に任せ、うまく行けば話に乗る
「ツタンカーメン展」に限らず、公共財産である電波を使って自在に宣伝ができるテレビ局には、数多くの企画が寄せられる。フジテレビにとって、当初、「ツタンカーメン展」は幾多の企画のひとつであり、イベント関係者によると「乗り気」はなさそうだったという。
開催までには、エジプト政府関係者や今回、総合監修を務めたザヒ・ハウス博士との交渉、根回し、そして現実に開催権を持つNPO法人と密な関係を築くなど、たいへんな手間暇がかかる。初期費用も相当、必要なことがネックとなったのである。
現に、A、Bの両氏は、開催に先立ち、エジプトを訪問、エジプト政府考古最高評議会議長の肩書を持つザヒ・ハウス氏と面会、1億7000万円の「寄付金」を渡している。2011年1月のこと。2ヵ月後の「3.11」の大震災で、展覧会は1年以上の遅延を余儀なくされるなど、ビッグイベントには予期せぬ出費、天変地異、カントリーリスクなどがつきものだ。
今回、フジテレビは、そのリスクをA、B両氏に委ねたかたちになる。「前捌き」を業者に任せ、うまく行けば話に乗り、ダメなら下りて話はなかったことにする。いかにも大企業の論理だ。それでも受けたのは、2人に「当てれば大きい」という確信があったためだろう。
「関係ありません」で済ますことができるのか
ともあれ、A氏の企画は、氏の人脈とB氏の金融会社の資金で軌道に乗り、開催に漕ぎ着けた。だが、フジテレビは、開催権を持つNPO法人と直接契約、フジ・サンケイグループとして他のチケット会社などとともに主催、協賛、協力、後援企業などを他につのった。A、B両氏がそこから外されたのは前述の通りだ。
週刊ポストによれば、フジテレビは取材に対して、「契約しているのは、あくまでもA氏の会社」であり、「A氏の会社はツタンカーメン展実行委員会のメンバーとして主催に名前を連ねている」と主張し、疑惑を否定している。
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