(文:結城)
【事例1】第三者の署名でも真正とした判例(同様な判例多数)
2000年5月(鈴木健太裁判官)は、三菱銀行と契約した融資保証書の連帯保証人の筆跡が、明らかに第三者であっても、印鑑が押されていることだけで、連帯保証を認めました。
[100万人を破滅させた大銀行の犯罪、椎名麻紗枝著]
【事例2】署名偽造でも真正とした判例
署名を偽造した人物まではっきりわかっているのに、実印が押されていることだけで、保証人に五億円の連帯保証責任を負わせられた。裁判官は連帯保証人欄に署名された本人が、連帯保証には同意していないにもかかわらず、印鑑が押してあるので連帯保証を認めた。なお、保証人は東京三菱銀行から自宅を仮差押されて、初めて保証書を見たのだった。
[100万人を破滅させた大銀行の犯罪、椎名麻紗枝著]
【事例3】返済額を勝手に変えたケース
契約書上では、毎月の返済額が当初50万円であったのに、いつの間にか70万円に増額されていた。あとから条件変更を書き入れたのは明白です。しかし、捨印が先だったのか、条件変更が先だったのか、証明する手段はありません。
「捨印を押した時点では、なにも書いていなかった」と裁判所で訴えても、捨印があるかぎり、条件変更は有効です。
[銀行の手口と戦い方教えます、村本 観著]
【事例4】銀行員が顧客の印鑑を盗用したケース
銀行員が「すみません、ちょっとご印をお借りします」といって、捨印を押すような格好でペタペタいくつかの判を押していた。後で定期預金を下ろしに行ったところ、「この定期預金は担保に入れていただいていますから、下ろすことはできません」といわれ、覚えが無いのでビックリ。担保差し入れ書を出させたところ、そこに記入されている文字は自分の文字とまったく違っていた。
こういった事件は、日本の銀行が契約証書を差し入れ方式にしてコピーさえ渡さないということや、かってに捨て印を押す、などとあってはいけないことがまかり通っていることによるものです。
[どんとこい銀行、岩井義照著]
【事例5】署名以外は他人の筆跡でも契約は真正となるケース
古屋さんは甲府信用金庫から、いきなり4250万円の借金があると伝えられた。でも、現金を受け取っていないし、金庫の担当者とも会ったことがないので、そのような借金の意識はなかった。事実として4250万円は古屋さんの知人に迂回融資されていた。古屋さんが融資申込書をみたところ、署名押印は自分のものであるが、その他の部分は全て他人の筆跡だった
裁判で争った結果は、敗訴。倉知裁判官は「契約関係書類自体に不備はない」、すなわち「署名押印がある」から融資契約は有効と結論づけている。
[その印鑑押してはいけない、北 健一著]
【事例6】夫の借金の連帯保証に妻が知らないうちになるケース
妻の連帯保証署名を他人が無断で書いたとしても、夫が認めれば妻は連帯保証人になる。裁判官は署名が偽造されたものと認定した上で、「妻は夫の債務について連帯保証する必要がある場合には、夫にその手続きを委任していたと見ることができる。」と判示している。結果として、妻は六億円もの連帯保証を知らないうちにさせられ、支払いを命じられた。
[その印鑑押してはいけない、北 健一著]
【事例7】子が親名義で融資を受けたケース
親が知らないうちに、子が親の実印、印鑑登録証を持ち出し、子が勝手に書類作成し書名押印していた。何億円もの融資に対しても現あさひ銀行は親の承諾を得たと裁判で主張し認められた。ただし、親には承諾した覚えが無い。
[金融被害者の怒りの手記第3集、銀行の貸し手責任を問う会]
【事例8】銀行員に騙されて押印しても契約は真正となるケース
40年以上取引していたあさひ銀行から「迷惑はかけない、名前だけ貸してください」、と第三者へ迂回融資するための、借入者として白紙書類に印鑑を押した。通帳は銀行が保管していたことも、融資額が23億円であることも裁判が始まるまで知りませんでした。しかしながら、裁判官は押印を根拠として借入者本人への融資であると断定した。
[金融被害者の怒りの手記第4集、銀行の貸し手責任を問う会]
【事例9】いつの間にか包括根保証人になっていたケース
平成14年4月銀行から郵送されてきた通知催告書みてビックリ、まったく記憶の無い連帯保証人になっていた。契約書は私が署名したものではなく、妻の筆跡だった。妻は保証人の意味も知らずに、実妹夫妻の持ってきた契約書に、署名押印をしていた。催告書が来るまでは、銀行から一度として、契約書の説明など受けた事はなかった。そして、裁判で敗訴。
[金融被害者の怒りの手記第4集、銀行の貸し手責任を問う会]