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答え |
なぜ奥行きの圧縮感を入れ込まないと自然にみえないのか? ↓ |
そう、我々が普段認識している絵は、すでに奥行きが圧縮されている絵なのである。
これは何が言いたいのか??というと、
「すでに手前の絵から、奥行きは圧縮されているのである!」ということ。
「すでに手前の絵から側面は薄く、地面
の影は横長なのである!」ということ。
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「すでに手前の絵から、奥行きは圧縮されているのである!」
実はこれがとっても重要な要素なのだ。
それは、わらわれが認識している視界が、見えてる視界のうちのほんの一部であり、望遠レンズ的に、そのフレームだけを認識するシステムなのだ。ゆえに、 視界全体をカバーする広角レンズの画面 を見せられると異様さを感じ、反対にそれがどんなに長玉 のレンズでも、望遠レンズで撮られた画面だとなぜか自然に受け入れてしまうのだろう。
人間の視野は、拡大しない望遠レンズである!の説明を少々
人間の視野に一番近いといわれているのが35ミリレンズ 。幾つかネットから拝借(苦笑)してきたのでみてほしい。
‥‥若干の広角感を感じてしまう。 たしかに見えてる範囲はこのくらいなのだろうが、人が認識している範囲はこれらの視界の中央部60%くらいだろう。ゆえに見え方が一番自然といわれるのは実は50ミリレンズだと言われる。35ミリレンズが一番肉眼の見た目にちかいとはいえ、本来見えていても認識してない部分まで絵にしてしまうので、違和感を感じてしまうのだ。‥‥たとえば下段中央の絵。
カメラを持つ人が注目しているのは、この範囲くらいかもしれない。我々の目にカメラのレンズのようなズーム機能はないが、意識してる範囲はズームで切り取られた範囲だけなのだ。そしてそこではすでに奥行きは圧縮されている。
そしてこれは肉眼だけではない。
我々が日常にみるテレビ、映画の画面 はすでにレンズを通して撮られ、ズームで切り取られたえなのである。そこには当然奥行きの圧縮がなされている。
ニュースキャスターを捕らえるカメラは彼等から10メートル以上は離れ、そこからズームで彼等のアップを撮っているのである。『・・金八先生』のクラスではこちらの壁は取り払われ、やはり10〜20メートル(映画の場合はもっと)離れた位 置から撮られているのである。
可能な限り自然な画面をもとめた小津安二郎は50ミリレンズを 多用した。というか50ミリでしか撮らなかった(一度80ミリを試したが「やっぱり50ミリがいいわ」ともどってきたらしい)。この50ミリというレンズは、人間の視野(35ミリ)から認識しない部分を切り捨てた、一番自然に見えるレンズだと言われている。しかし、それでもズームしてある以上奥行きの圧縮は見てとれる。
※厳密にいうと小津安二郎氏が映画で利用していた50ミリレンズは、35ミリのスチルカメラに換算すると72ミリレンズにあたるらしい。
『ガンダムエ−ス』のマンガのなかで、何故安彦さんのマンガだけがその中に空気を感じる絵で、他の漫画家の絵はまるで紙に描いた絵みたいに見えるのか? それは安彦さんの絵が<すでに手前の絵から奥行きの圧縮がなされてる絵>だからだ。安彦さんの絵は実に、万能レンズといわれる50ミリレンズの絵なのである。
そして、多かれ少なかれ、その世界の空気を描くために<奥行きの圧縮>が必要なのである。
11/05/2005
『サザエさん』とか『クレヨンしんちゃん』のような紙の上に絵を描いてそれを動かすアニメはべつとして、『母をたずねて三千里』のようなリアルな時空のなかでドラマを展開する場合、そのほとんどの画面 では奥行きの圧縮を加味された画面で絵を構成する必要があるのだ。 そしてアニメーターはそれが描けなければならない。
ジブリ作品などでは奥行きの圧縮は描けて当たり前になっているようだが、ほとんどのテレビシリーズでアニメーターにこれを望むのは難しいのが現実である。
というわけで、レンズ選択による画面 の違いを次のページで紹介する。まず知ること。