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最終更新:2012年10月22日(月) 19時45分

再生エネ普及のドイツ、電気代が高騰

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 国内最大級の洋上風力発電施設が22日、初めて公開されました。原発事故以降、特に注目されている再生可能エネルギーですが、急速に普及を進めるドイツでは、建設コストなどが電気料金に上乗せされ、市民生活を圧迫する事態となっています。

 22日に公開された国内最大級の洋上風力発電施設。実証研究の施設として今年度中に発電を始める予定です。

 洋上風力発電は陸上に比べて強い風を安定的に受けることができ、騒音の影響も多くありません。環境省は2030年には現在の270倍近いおよそ800万キロワットの発電量を目指していますが、問題はその建設コストです。この風車の建設費も総額およそ35億円。陸上に建てる場合の2倍もかかります。

 「建設費も海の中に建てるということでどうしても高くなります。民間事業ベースでは出ていくのは難しい」(日本風力発電協会 永田哲朗代表理事)

 一方、再生可能エネルギーの導入で日本の先を行くドイツ。風力発電を中心に普及を進め、発電量全体に占める割合は今年上半期で25%を超えています。しかし、ここにきて、ドイツ政府は風力発電の新規建設を抑制するため再生可能エネルギー法の改正に動き出しました。背景にあるのは電気代の高騰です。

 「電気代はとても高いよ。これは今の政府の大失策じゃないのか」
 「電気代を払えるかどうかわからない。大学生には厳しすぎま$9!W!J%I%$%D$N?M!K

 今、ドイツでは、3人家族の一般的な世帯で見ますと、電気料金が2000年と比べて1.9倍になっています。来年はさらに上がって、2000年の倍を超える見通しです。

 実は、ドイツの再生可能エネルギー法では、風力などで発電した電気を割高な固定価格で買い上げ、その分が電気料金に上乗せされます。つまり、再生可能エネルギーによる発電量が増えると料金が大幅に上がってしまうのです。

 法律改正の動きに業界団体は反発を強めています。再生可能エネルギーの普及に水を差しかねないからです。

 「政府が間違ったシグナルを出すとエネルギーの転換は失敗します。そして風力発電企業から失業者を出すことになります。太陽光発電業界も支援を減らされ、多くの会社が破綻したでしょう」(ドイツ風力エネルギー連盟 ハーマン・アルバース会長)

 今年、ドイツ政府が太陽光発電の買取価格を下げたことで、多くのドイツ企業が破綻に追い込まれました。そんな中、安値攻勢で太陽光発電の市場を席巻しているのが中国企業です。ドイツでは新しく設置された太陽光パネルの7割が中国製というデータもあります。風力発電の方はヨーロッパの企業がまだ技術・シェアともに先行していますが、ここでも中国企業が追い上げを図っています。見本市ではヨーロッパ企業の半値以下の価格を提示する中国企業もありました。

 「私たちの会社には国が出資しています。これが深刻な競争を勝ち抜く秘けつです」(中国企業の幹部)

 再生可能エネルギーが爆発的な伸びを示す中で、企業の生き残りはし烈さを増しています。今後、エネルギー転換を目指す日本にとっても他人事ではありません。(22日17:52)

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