「知事は今回、オリンピック招致を公約に掲げて立候補しましたが、それに失敗した際はどうするのですか?」
それに対して、石原さんが答えたのは「そりゃ、男らしく責任は取りますよ」というものだった。
既得権益を手放さない世代を
毛嫌いしてきた石原氏
石原語を翻訳するのには長年の経験を必要とする。
多くのメディアが陥りがちな、彼の表層的な言葉尻だけを捉えてしまうと完全に本質を見失ってしまう。それはある意味、文学的でもあり、政治的でもあり、なによりいつも通りに、硬直した日本社会への挑戦的な価値紊乱のビーンボールでもあるのだ。
石原さんがコペンハーゲンの空港でその後に続けて発したのは次のような言葉だった。
「おい、上杉君。責任を取るっていうのは辞めることだけではなくて、やり続けることもまたそうなんだよ。なんで老兵の俺がやらなきゃならないんだよ。だいたい君たちの世代がやればいいんだよ。本当にしっかりしてくれよ。日本ももっと老人をいたわってくれよ」
日本の不甲斐なさ。とくに団塊世代の意思決定の弱さに対して、石原さんはずっとイラつきを隠してこなかった。
1995年、国会議員だった石原さんは永年勤続25年の本会議スピーチの最中、突如、議員辞職を表明した。その際、野次の中で述べたワンフレーズがいまだに私の頭に残っている。