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〈軍事独裁の闇 – 今なお引き継がれる負の遺産 2〉不正腐敗まみれの体質

多額の「献金」、醜悪な政治工作

権力とカネの癒着

朴正熙は執権全期間、財閥から莫大な政治資金を受け取る代価として、親財閥政策を実施した。

米日をはじめとする外国資本の直接投資を誘致するため、労働争議禁止、税制の減免、金融支援などあらゆる植民地的特恵を与えた。そうした奇型的な植民地経済構造の中心で、朴正熙政権は財閥の資本育成に躍起になった。

朴正熙は、金融機関に対し、財閥に資金を優先的に貸出することを制度化した。1966~1975年の期間に、企業支援投資額のうち98・2%が財閥に入り、中小企業に回されたのはわずかに1・8%だけだった。また、為替相場の操作で莫大な利潤を与え、海外からの借金で企業を拡張し、その返済を銀行が担う財閥優待政策を実施した。

財閥が肥大化して権力との癒着関係が深化していく中、あらゆる不正腐敗が横行した。

財閥が小麦粉、砂糖、セメントの価格操作と脱税によって暴利を得るようにし、それを黙認する見返りとして数千万㌦を政治資金として受け取った3粉暴利事件(1963年)、財閥の密輸に目をつぶって莫大な金を儲けたサッカリン密輸事件(1966年)、米国産剰余農産物を引き入れる代価として巨額を得た事件などはその一端である。

このような不正資金をもって、朴正熙は自らの歪んだ政治目的を果たすため、さらなる謀略を企てる。

1976年までの約6年間にわたって、中央情報部(KCIA)、工作員、また大使館などを通じ、ホワイトハウスと米議会をはじめ米国の政財界、軍部など各界の要人たちへの工作資金として、年間50万㌦ないし100万㌦を、贈り物、選挙資金という形で配り続けた。自らに対する米国の支持を仰ぎ、危機に瀕した政権の延命をはかろうという目的のもと行われたこの陰謀は、世界を驚愕させた。

「盗品」の売却騒動

南朝鮮では現在、朴正熙政権から引き継いだ遺産である財団法人・正修奨学会をめぐる問題が加熱している。正修奨学会が今月8日、財産を売却し、その資金をセヌリ党の朴槿恵大統領候補の政治資金とする方向で協議を行ったとして、社会的物議を醸している。

南朝鮮のメディアと学界、政界に莫大な影響力を行使している正修奨学会は、5・16軍事クーデター後、権力を掌握した朴正熙が、民間の奨学会(釜日奨学会、1958年設立)を強制的に献納させて1962年に設立した、いわば盗品である。

朴候補も理事長として10年間在籍し、毎年1億~2億5千万㌆の報酬を受け取ってきた。理事長辞任後も癒着が指摘されている。

また、朴候補の側近らによる数々の不正腐敗も次々と明るみに出ており、朴候補はその責任を大きく問われている。

セヌリ党内の大統領候補を決める予備選で朴候補の選対委員長を務めた洪思徳元議員が、4月の総選挙前に違法な政治資金を受け取った容疑で検察の捜査を受けており、南の報道によると今月13日、容疑を一部認めたとされる。

また、朴候補の側近でセヌリ党の公職候補者推薦委員だった玄伎煥議員が同党の玄永姫議員から公認献金を受け取った容疑で捜査を受けた。2人とも、8月に除名処分となったが、選挙の総責任者を務めていた朴候補は、一切の責任を取らなかった。

朴正熙軍事独裁政権と同様に、不正腐敗まみれの体質は、朴候補と、朴候補ひきいるセヌリ党にそのまま引き継がれている。

(金里映)

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