理由は2つあります。1つは資源の確保。2つ目は軍事戦略上のものです。東シナ海から南シナ海にかけて、大陸間弾道弾(ICBM)を装備した潜水艦を潜らせたいんです。SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)と言いますが、中国はこれが決定的に遅れているんです。アメリカとはまったく比べものにならない。
中国にとっては、東シナ海から南シナ海までの広い海を聖域、サンクチュアリにすると、アメリカと覇を競えるほどの軍事大国になれます。
中国人民はそんなことを望んでいないし、中国政府も望んでいるかどうか疑わしいけれども、人民解放軍のプロパーの目標ではそういうことでしょうね。30年かけてここまでの軍事大国にのし上がってきたんだから、あと30年かければできないことはないと。
彼らにすれば尖閣は別に焦る必要はない。これからも執拗にしつこくネチネチときますよ。正義とか不正義というのは彼らには関係のないことです。
中国共産党の権力闘争は単なる利権の奪い合い
現在、中国共産党内で激しい権力闘争が行われています。それをイデオロギー対立だとか、党の路線の解釈の違いだとか難しいことを言う人が多いんですが、簡単に言うと利権の奪い合いです。すごい利権ですからね。
例えば、数億人が利用する携帯電話やインターネットの通信費は、チャイナモバイルなど2~3社に入る。これらの会社の利権を持っているのはすべて上海派です。証券会社の為替取引や国際金融などの利権も上海派に行き着く。
一方、胡錦濤(中国国家主席)さんは共産主義青年団出身、いわゆる団派です。この人は共産主義イデオロギーの中で教育されて、人類平等という理想を抱いている。
だから利権ばかり狙って、平等どころか貧乏人は飢えて死ねというような態度の人たち、つまり上海派とは合わないんです。水と油です。
ただそうはいっても、団派もカネが要りますからね。それでほかの利権を狙うことになる。1つはレアアース。これは内蒙古自治区にしかないので、ここを押さえました。
次に繁栄している地域を押さえていく。上海、広東、福建、遼寧、山東などのボスをどんどん押さえていく。広東省には胡錦濤の右腕のような人が派遣されている。また、北京の書記はこれまで団派が取ったことがないんですが、とうとう押さえた。
実際にどうやってポストを押さえるかというと、簡単に言えばカネです。あるポストを取りたいと思えば、その人におカネを持っていく。
例えば、全人代(全国人民代表大会)の委員のポストの相場は日本円で1000万円くらいです。しかし、1000万円以上の価値がある。何せハンコをもらうためにみんな賄賂を持ってくるわけですから。つまり非常に簡単な仕組みなんです。
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