■石森章太郎


石森章太郎 まんが研究会

「まんが研究会」

小学館マンガくんコミックス’79年7月5日刊) 

石森章太郎先生の「マンガ家入門」は有名ですが、この本は、マンガの基本的な描き方を、読者の質問に答える形で、マンガとしてかかれた一冊で、古書店でもなかなか見つかりません。この本の中のヒトコマに009のカットがでてきます。丁度そのころでしょうか?009を強烈に意識するようになったのは…
石森先生にマンガの描き方を教えてもらうキャラクターは「デカ」と「チビ」。実は石森先生が作っていた「東日本漫画研究会」の肉筆回覧誌「墨汁一滴」に登場する、「デカチビ日記(1955年9月)」のキャラクターの再登場です。
なかまを集めて「墨汁10滴」という会誌を作ります。 

(実際にCOMなどに紹介されている会誌には「墨汁三滴」などが存在していた) 

実は、この「まんが研究会」から石森先生を意識するようになり、その後、古書店で「マンガ家入門」を買うことになります。そして、サイボーグ009をはじめとする石森作品を読みふける事になりました。
「まんが研究会」と「マンガ家入門」で、ペンの使い方を知り、ネームの描き方を知り、わらばんしに千枚通しで穴をあけて、コマの位置を決めてコマ割りする事などをやっていましが、いまや、マンガ用の原稿用紙が画材店にある時代なんですね。
ケント紙を自分で切って、原稿を描いていた古き時代をなつかしく思い出します。 

「マンガ家入門」は、’98年10月秋田書店より文庫として発売され、手に入れやすくなっていると思います。
あとがきは、島本和彦氏。 

墨汁一滴の「デカチビ日記」は、メディアファクトリー社の「遊びをせんとや生まれけむ」で、読むことができます。マンガジャパンからも箱入り上製本がでており、こちらには、ジョー(009)のイラストが、額入りでついています。(限定本) 

「まんが研究会」も再刊されないものでしょうか?
「レッドビッキーズ」のできるまでを石森先生がかかれているのも魅力的なのですが…


U・マイア くらやみの天使

「くらやみの天使−星はかなしく」

Grand COM ics 3 翠楊社’78年6月10日刊)
U・マイア(水野英子・石森章太郎・赤塚不二夫各先生の共同ペンネーム) 

U・MIAとも表記します。 

M−水野英子
I−石森章太郎
A−赤塚不二夫 

これにUがついて、「ウマイア」とも引っかけてある訳ですね。
「くらやみの天使」では、「なぞの事件を描くなぞの作者U・マイアとは?となっていて、仮面をつけた女性の「U・マイア先生」が登場し、「わかる?」と…
実は最近手にいれた本なのですが、かつて見たことのあるコマの部分をちゃんとマンガとして読めたことがなによりも感動的でした。「星はかなしく」の部分などはよく紹介されていますね。 

あとがき−石森先生「U・マイアの頃」によると… 

ネームは石森先生、ヒロインは水野英子先生が、その他大勢やバックは赤塚不二夫先生が担当したといっても、本当はそれほどはっきりした分け方ではなかったとあります。 

■単行本収録作品 

「くらやみの天使」
(少女クラブ ’58年10月号〜’59年3月号掲載)
「星はかなしく」
(少女クラブ ’58年8月号掲載)


石森章太郎 青い月の夜

「青い月の夜」

朝日ソノラマ サンコミックス’76年4月20日刊)
表題作の、「青い月の夜」は、まずその扉絵の、部屋を真上から見下ろした構図に目をひかれます。
「お月様が青くなると、お部屋の人形は動き出す。話したり、唄ったり、お人形達も年に一度のパーティーだ。ひとりぼっちのアコちゃんはもうさびしくない…。石森メルヘンは君たちの心を洗い清める。」(カバー折り返しコメントより) 

「石ノ森萬画館」などの原画展では、この作品の原画が展示されていました。もう色が変わってしまった紙。当時の作品にはスクリントーンがありません。網指定もないようです。ハーフトーンはすべてペンで描かれています。
まさか、この作品の原画を見ることができるとはと感動しましたが、未読の方も多いのではないでしょうか? 

手塚治虫先生の、雑誌「少女」に掲載された作品をあつめた
「手塚治虫の少女まんが傑作選」
(’97年8月10日刊 光文社コミックス) 

をみたとき、石森先生の少女クラブでの作品の傑作選が欲しいと思ったものです。
単行本「青い月の夜」は、ぜひ再刊して欲しい一冊です。
これは、石森先生の「少女クラブ」での短編作品の選集ともいえる一冊だからです。 

■単行本収録作品 

「青い月の夜」
(’60年少女クラブ2月号)
「みどりの目」
(’57年少女クラブ夏休み増刊号)
「氷の花」
(’59年少女クラブ夏休み増刊号)
「雪の日に」
(’60年少女クラブお正月増刊号)
「かげろう」
(’60年少女クラブ夏休み増刊号) 

「青い月の夜」は石森先生が22歳の時の作品です。


石森章太郎 ミュータントサブ

「ミュータント・サブ(コダマプレス)」

ダマプレス刊のDAIAMOND COMICS版ミュータント・サブです。 

ミュータント・サブVOL.1(コダマプレス)
(’66年7月10日刊)

ミュータント・サブVOL.2(コダマプレス)
(’67年5月10日刊) 

DAIAMOND COMICSについて… 

現在のコミックの単行本のサイズの多くは「新書版」サイズですが、コダマプレスのDAIAMOND COMICSは、始めてこのサイズで刊行されたマンガの単行本のシリーズであり、現在のマンガの単行本の元祖ともいえます。
その後、秋田書店のサンデーコミックスがこのサイズを採用し、サンデーコミックスのはじめての単行本がサイボーグ009(全1巻/当時)でした。 

手元にあるコダマプレス社のミュータント・サブは第1巻にVOL.1の文字がありません。全1巻として発売され、その後VOL.2がでたのではないかと思われます。
石森先生にとっても、約4冊目の単行本であり、単行本に前書きがはいっていたり、福島正美さんや小松左京さんの解説が入っていたりしています。 

DAIAMOND COMICSが、はじめて、成人をターゲットにしたマンガの単行本だったという話を聞いた事がありますが、この編集のありかたをみると納得できます。 

また、内容はその後の朝日ソノラマのサンコミクスとは異なる部分があります。 

「地球人サブ」

これは、父親をうたれた少女が、あやまって、サブを銃で撃ってしまう話です。
この少女の名前もマリとなっています。火星人がでてきて、ミュータント、地球人がそん
なに進化しているはずが… 

という話です。
ところが、朝日ソノラマのミュータント・サブにはこの話がありません。 

「X指令」
(’66年別冊冒険王お正月増刊号)
という作品があるのですが、それをコダマプレス版ミュータント・サブに収録する際に、サブシリーズに描き直したもののようです。 

サブシリーズは連載も多岐にわたっているためか、少女版ミュータントサブなどもあり、サイドストーリーが多いのが特徴ですね。 

ミュータント・サブ(コダマプレス版)
収録内容

VOL.1 

ミュータントサブのこと/石森章太郎(前書き) 

ミュータントサブ
設計図X
シークレット・エージェント
幽霊
白い少年 

SF解説 ミュータントは実在するか 超能力
SF用語辞典 福島正美
解説 小松左京 

VOL.2 

編集の楽しさ/石森章太郎(前書き) 

地球人サブ
原始少年サブ
12人のサンタクロースとサブ
獣の町のサブ
スイッチピッチャー・サブ
スパイハンター・サブ
エッちゃんとサブ 

少女版ミュータント・サブは、 

石森章太郎作品集(1)
(サンリオ’78年3月1日刊)
に収録されています。

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