脳の本 紹介・書評

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■脳の本読んでも役立たず-1

 タイトルに「脳」と付いている本が多すぎる

数え切れないほど出回っている脳の本。売れていても、内容的に胡散臭い本がたくさんあります。本の宣伝につられて、自己啓発のためにと思いまた1冊購入。しかし脳の本読んでもあなたの脳は・・・何も変わらない。意識の変化も見られない。

あなたがビジネスマンなら、脳の本や、脳のタイトルが付いた自己啓発の本を何冊か読んでいることでしょう。

スキルアップのためにと読んだそれらの本。役に立ちそうだと思いながら何冊も読んでいるのに、自分のなかで向上していると思われるものは何もない。あなたの頭は俗説脳科学の知識で膨れ上がり、求めているものも得られず、描いていたイメージとのギャップで意気消沈することになる。

最新脳科学の知識を活用し、自己啓発はもちろん、職場で、ビジネスで、恋愛に、そして婚活に就活に役立てようと思っていたのに・・・こんな経験ってありませんか? 

脳の本らしきもの、それもハウツウ的な内容の本には、いかにも役に立ちそうなタイトルが付けられています。「○○すれば脳が劇的に変わる」とか「1日5分でデキル脳をつくる」など、その活用や効用などを強調した言葉の数々。目次にも似たような言葉が並んでいる。自己啓発関係の本にもこのような傾向が多く見られますね。

どれもこれもインパクトがありそうなタイトルだらけ。そう簡単には信じませんよね。でも宣伝されているし面白そうだし、少しは役に立つかもしれないと思い本を購入。読み終わった後で物足りなさを感じる。やっぱりたいしたことはなかった、あまり役にたちそうもないと失望することになる。

あなたはこういう経験ありませんでしたか? そしてスキルアップに熱心な人ほど、また別の本を買ったりする。

タイトルに「脳」が付いている本を調べてみました。ビジネスや自己啓発関連の分野です。2006年以降に出版されたものをリストアップしてみましたが、何と多いことでしょう。掲載した以外にもまだまだ多数あると思います。過熱する脳ブームの影響からか、ここ数年このようなジャンルにもタイトルに「脳」の文字を入れるのが普通になってきています。

 多くの脳の本の記述内容は信用できるのだろうか?

本年1月23日のYOMIURI ONLINEには、タイトルに「脳」の付く書籍は、この5年間に3000冊以上も出版されたという記事が載っています。スゴイ数ですね。

タイトルに「脳」や「脳科学」が付いていた方が売れるということなのでしょう。ビジネスや自己啓発分野はもちろん、受験、英語学習そしてダイエット、不動産業や宅建などの本にも脳が付いていますね。いまや、脳、脳、脳!のオンパレード。一種の社会現象になっているようです。

「○○をしなさい」、「○○をやりなさい」といった命令口調や、「一瞬で」とか「1日10分で・・・」という即効性をうたったタイトルが付けられています。命令口調的な言葉はインパクトがありそう。一瞬と付ければ努力などいらないという印象を与えます。「一瞬で金持ちになれる脳のつくり方」なんて本が出てベストセラーになったりしたら不気味ですね。

このような傾向はいつ頃からなのでしょうか。出版社も売れるタイトルを考えているようですが、内容が充実していないのに、次から次へと似たようなタイトルの本を出しても、やがて飽きられるのではないでしょうか。

十数冊ほど読んでみました。脳についての説明がほんの少ししか出てないものがあり、脳のタイトルが付いていても関係のない内容だったり、脳科学的に正しくない解説もあります。たとえばある本には、すべての記憶は脳の海馬に蓄えられると書かれてあります。海馬は、一時的に記憶情報をストックしておく場所で唯一の保存場所ではないのに。

また右脳に関する誤り。相変わらず、右脳を鍛えることで脳全体が活性化するというような類の誤った記述。右脳に関してはオカルトまがいの説明をしているものもあります。脳の90パーセントは使われていないという説についても間違った解釈の仕方がされています。古い知識がそのまま出ているものもあります。

内容に間違いがないにせよ、出回っている脳の本を読んで感じるのは、脳科学で常識となっている知見がただ利用されているだけで、あっちの本にもこっちの本にも同じような内容のことが出ているということです。

脳科学的に当たり前のことを、視点を変え表現の仕方を工夫し、読者の関心をそそるような書き方で、さも脳活性の切り札のごとく強調している。読むものにとっては、それが目新しいものに映り、魅力的な脳活性法と思えるのでしょうか。これらの脳の本の数々、脳科学知識のすり替えマジック本と言ったところでしょうか。

あなたも脳科学の本を何冊も読めば、脳のタイトルの付いた自己啓発本が書けるようになるかもしれません。"自称脳科学者"という肩書きで。

私から見れば何も得ることのないそんな本でも、ブックレビューには、よかったとか、役に立った、などという感想が載っています。ま、当然そうなるでしょう。最初から読み手をそのように誘導するよう書かれているのですから。

科学的データの誤用や記述の間違いは仕方がないとしても、問題は、ウソっぽい本をを書いて読者を高額な脳活性セミナーへ導くための工夫をされているものもあります。脳力開発プログラムCDを売ろうとするものもある。

こういう本、じつは本の方は金儲けのためのエサなんですね。脳科学の根拠に基づいているかのように見せかけた脳科学商法丸出し本は、新聞広告にも載ってPRされています。ベストセラーにもなっています。


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