2011-01-04 12:04:07
神奈川県教委生涯学習課からの「自動加入」のPTAにおける違法性をめぐる回答書
テーマ:PTA
のびのびになってしまっていましたが、神奈川県教委からの回答書(12月3日付、12月8日到着)をご紹介いたします。
以下の過去記事の続報ということになります。
<神奈川県教委:「PTAの自動加入は違法ではない(が、任意加入が望ましい)」2010.11.12>
<神奈川県教委の担当者氏と再び話す ― 「自動加入」は「強制加入」とは違う!?>
まずは、ご紹介のみさせていただきます。
********************
日ごろから、神奈川県の教育行政にご理解とご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。
このたびのご質問につきましては、神奈川県教育委員会教育局生涯学習部生涯学習課から、次のとおりお答えいたします。
1 人権上の「自動加入」の違法性について
PTAは、法律上、「権利能力なき社団」であると考えられ、これを一般的に規律する法律はありません。
(1) 規約に「自動加入」と定めた場合
PTAが、規約において加入方法をいわゆる「自動加入」と定めた場合の人権上の違法性について、本県では、主に以下の理由から、人権侵害の有無を考慮する民法第90条の公序良俗の規定に反するとは考えておりません。
・平成21年度文部科学省委託事業である「PTAを活性化するための調査報告書」(平成22年3月)から、現時点では、6割以上の人がPTAは必要であると考えており、子どもの通う学校のPTAに参加することは、多くの親の意思と考えられる。
・脱退については、任意の退会を認めない旨を定めることはできず、会員はいつでもPTAに対する一方的な意思表示で脱退できるので、意に反して会員でなければならないという事態は容易に解消できる。
(2) 規約に加入方法を定めていない場合
PTAの規約に加入方法についての定めがなく、事実上、自動加入が慣習として行われている場合でも、保護者が明らかに加入しないとの意思表示をしていない場合は、慣習に従う意思を有するものと推定される。当該慣習は、上記と同様、公序良俗に当たらないと考えられる。したがって、慣習として自動加入が行われていても、違法ではない。
2 消費者契約法上の「自動加入」の違法性について
消費者救済のために、不当な契約の内容の一部又は全部を無効等にするための法律である消費者契約法において「自動加入」は、以下の理由から、違法であるとは考えておりません。
・PTAの「自動加入」においては、契約そのものを行っていないので、消費者契約法とは、問題の所在が異なる。
・PTAと保護者との間に、消費者契約法で問題とされている「事業者」と「消費者」との間に存在する「情報力・交渉力」の格差は認められない。
なお、今回、回答につきましては、社会教育グループ(***-***-***(直通))が担当しておりますことを申し添えます。
平成22年12月3日
加藤薫様
神奈川県教育委員会教育局
生涯学習部生涯学習課長 福寿 庸(右寄せ)
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以下の過去記事の続報ということになります。
<神奈川県教委:「PTAの自動加入は違法ではない(が、任意加入が望ましい)」2010.11.12>
<神奈川県教委の担当者氏と再び話す ― 「自動加入」は「強制加入」とは違う!?>
まずは、ご紹介のみさせていただきます。
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日ごろから、神奈川県の教育行政にご理解とご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。
このたびのご質問につきましては、神奈川県教育委員会教育局生涯学習部生涯学習課から、次のとおりお答えいたします。
1 人権上の「自動加入」の違法性について
PTAは、法律上、「権利能力なき社団」であると考えられ、これを一般的に規律する法律はありません。
(1) 規約に「自動加入」と定めた場合
PTAが、規約において加入方法をいわゆる「自動加入」と定めた場合の人権上の違法性について、本県では、主に以下の理由から、人権侵害の有無を考慮する民法第90条の公序良俗の規定に反するとは考えておりません。
・平成21年度文部科学省委託事業である「PTAを活性化するための調査報告書」(平成22年3月)から、現時点では、6割以上の人がPTAは必要であると考えており、子どもの通う学校のPTAに参加することは、多くの親の意思と考えられる。
・脱退については、任意の退会を認めない旨を定めることはできず、会員はいつでもPTAに対する一方的な意思表示で脱退できるので、意に反して会員でなければならないという事態は容易に解消できる。
(2) 規約に加入方法を定めていない場合
PTAの規約に加入方法についての定めがなく、事実上、自動加入が慣習として行われている場合でも、保護者が明らかに加入しないとの意思表示をしていない場合は、慣習に従う意思を有するものと推定される。当該慣習は、上記と同様、公序良俗に当たらないと考えられる。したがって、慣習として自動加入が行われていても、違法ではない。
2 消費者契約法上の「自動加入」の違法性について
消費者救済のために、不当な契約の内容の一部又は全部を無効等にするための法律である消費者契約法において「自動加入」は、以下の理由から、違法であるとは考えておりません。
・PTAの「自動加入」においては、契約そのものを行っていないので、消費者契約法とは、問題の所在が異なる。
・PTAと保護者との間に、消費者契約法で問題とされている「事業者」と「消費者」との間に存在する「情報力・交渉力」の格差は認められない。
なお、今回、回答につきましては、社会教育グループ(***-***-***(直通))が担当しておりますことを申し添えます。
平成22年12月3日
加藤薫様
神奈川県教育委員会教育局
生涯学習部生涯学習課長 福寿 庸(右寄せ)
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1 ■格差は有ると思ってます!?
まるおさん、貴重な情報ありがとうございます。
さ~っと読ませていただいて、2点ほど、引っかかりを感じました。
1.“6割以上が必要と感じている”は、全員参加を是とするには、余りにも少ないですよね。まるおさんもどこかで仰っていたと思いますが、“PTAは必要だけど何らかの改革もするべき”という統計もある訳で、今のあり方でOKとしている人が6割以上居るわけではありません。また、“PTAは必要でない”と思う人が少なくとも3割近くに達する訳で、私も、1人でも反対者が居たら全員参加はダメだと、常々思っています。結局、入会するかしないかの意思確認は必要ということですが…。
2.「情報力・交渉力」の格差は、確実に有ると思います。何せ、小学校新入生の母親は、我が子が学校に馴染めるかどうか、ドキドキしつつ最初の懇談会に臨んでいる訳です。そこに、ベテランの先生が、「子供が小さいうちに委員や役員やっておくと楽ですよ」なんて仰るもので、ついうっかり、全員参加なんだと思い込んでしまったんです(経験談)。というか、下手をすると、その、担任の先生も入退会自由を知らなかった可能性も有るんじゃないかと。人を信じすぎますかしら??
申し送れましたが、今年も、よろしくお願いしますm(__)m