とはいえ、過去10年以上の間に、他社との差は確実に縮まってきた。それを象徴するのが、図(3)である。
1990年代後半から2000年までのセブン-イレブンの平均日販は67万~68万円。ローソンとファミリーマートは46万~49万円で、約20万円もの差があった。
ところが、その後はセブン-イレブンの下げが目立ち、他社との差はかつての半分に縮小した。
その理由の一つ目は、出店拡大に伴い、従来のような好立地の店舗を探すのが難しくなったこと。そして二つ目は、競合他社の商品開発力などが向上したことにある。コンビニというビジネスモデルの創出を牽引し続けたセブン-イレブンだが、「過去10年間はイノベーションが止まってしまった」(業界関係者)。
しかし、「この数年で強さが復活してきた」(正田雅史・野村証券グローバルリサーチ本部マネージングディレクター)。
今期の平均日販を見ると、各社共に大幅に上昇している。その最大の理由は、10年10月からのタバコの値上げという特殊要因である。
ではタバコの押し上げ効果を除くとどうなるか。図(4)のとおり、増収を達成しているのはセブン-イレブンただ1社である。
好調な理由の一つは、惣菜やデザートなどの商品力にある。東日本大震災で女性や高齢者のコンビニ利用が増えるなか、手頃な価格のプライベートブランド「セブンプレミアム」が伸び、すでに売上高の7%超を占めている。
さらに今期末までにデザート専用の冷蔵什器を8000店に導入する。すでに導入した店の平均日販が前年同期比で約2万円も上昇していることから「来期の平均日販は70万円弱に達する可能性がある」(津田和徳・大和証券キャピタル・マーケッツ チーフアナリスト)と見られ、過去最高額(68万2000円)を上回る勢いだ。