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米司法省、必須標準特許濫用の疑いでサムスンを調査 - アップルが言及

2012.10.25

米司法省(DoJ)が、サムスン(Samsung)の保有する「必須標準特許」の取り扱いについて、独占禁止法違反の疑いがあるとして、同社の調査を進めていることが明らかになった。

これは米国時間22日にアップル(Apple)が米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:以下、ITC)に提出した文書から明らかになったもので、それによると、米司法省ではサムスンが3G関連の必須標準特許権を濫用して競争相手に害を与えている可能性があるとして、同社に対する調査を行っているという。

これに対し、サムスンの広報は、同社には当局からの正式な通知は届いていないとコメントしているとPC Magazineでは伝えている。

アップルとサムスンとは、それぞれが保有している特許権の侵害を理由に互いを相手取った訴訟を起こしているが、そのうちサムスンが訴えの根拠としている特許権には、業界標準に準拠するために必要とされ、FRAND(公平、妥当、非差別的)という原則にのっとったライセンス提供が求められる「必須標準特許」が含まれている。

今年8月にカリフォルニア州の連邦地裁で行われた両社間の裁判では、アップルによる特許権侵害を訴えたサムスンの主張は退けられたが、複数の国で行われている一連の裁判ではアップルによる特許権侵害が認められたケースもある。これらに関し、アップルはサムスンによる必須標準特許の扱いがFRAND原則に準拠していないと主張。いっぽう、サムスンは、該当の特許権をライセンス提供する努力はしたものの、合意に至らなかったと主張していた。

なお、今年1月にはEUも、サムスンが他社に対して起こしている訴訟が必須標準特許の濫用にあたる可能性があるとして、同社に対して同様の調査を開始していた。


【参照情報】
Apple: Justice Department Investigating Samsung's Use of Patents - WSJ
DOJ Probing Samsung Over Patent Abuse, Apple Says - PC Magazine
Apple says the Department of Justice is investigating Samsung over patent abuse - The Verge
アップル対サムスン特許訴訟 - オランダ法廷、サムスンの3G関連技術の訴えを却下
欧州委員会、サムスンを本格調査へ - 「FRAND」特許濫用の疑いで


平松波央、三国大洋 (スタッフライター)

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