心情には反するものの…アバター画像の二次利用に関する法的ご説明
先日カスタマーサービススタッフブログに質問を投げかけました。
このことについて「おとなしくしてくれればいいのに」「せっかく黙認してくれているのに」と
お思いになった方も大勢いらっしゃることと存じます。
お前の自己満足ではないかと言われるのを覚悟で敢えて正攻法で質問いたしました。
何らかの説明を引き出すことは後々のことを考えて無意味ではないと考えたためです。
しかし回答は相変わらず曖昧なまま…。
それは已むを得ません。相手は企業ですから。
ところで皆様、再度以下のページをお読みになってみてください。
↑いずれ消えるページですがいまのうちに。
そこに何と書いてあるか?
アバターアイテムの著作権・商品化権、その他の知的財産権は、Yahoo! JAPANまたは提携会社に帰属します。お客様がコーディネートしたアバターであっても、複製、転載をしたり、第三者への譲渡、貸与または利用許諾をしないよう、お願いいたします。
「Yahoo!JAPANまたは提携会社に帰属する」と書かれていることにお気付きでしょうか。
提携会社として「花咲けピクチャーズ株式会社」の存在を我々ユーザーは知っています。
この企業がアイテムの制作に携わっている(た)のはHPを見れば明らかです。
しかし規約には上のように明文化されています。
従って、実質的な制作会社がどこであれ、著作権は守られることになります。
10月25日14時30分追記(以下の黒い字でない部分です)
カスタマーサービススタッフブログでの回答に「コラボアイテム」を例に挙げる回答が
なされています。
例えばディズニーやサンリオは原著作者であり、制作会社は二次的著作物を創作したことに
なります。原著作者は二次的著作物にも著作権を有します。(著作権法28条)
アバターアイテムは両者の共同著作物と解されます。
創作されたアイテムの著作権者である制作会社はアバターユーザーに一定の範囲での
利用を許諾する契約をするというのが一般的な流れです。
サンリオと制作会社の契約がどうなろうと一切関係ありません。
問題となるのはあくまでも制作会社とユーザーとの間に厳然として立ちはだかる
利用規約ということになります。
この点でカスタマーサービススタッフブログでの回答は正確なものではないと
言わざるを得ません。
利用規約がどうであるかを論点にすべきという意味です。
結論から言うと残念ながらこの規約自体は著作権法上有効と言わざるを得ません…。
まず著作権とは何かを知る上で役立つページをご紹介いたします。
アニメに関するものでボリュームもありますが、比較的判り易い内容です。
著作権法そのものをお読みになる場合は以下を。
では何故このような規約が著作権法上有効であるかを簡単にご説明いたします。
著作者の有する権利には大別しますと「著作権」と「著作者人格権」があります。
著作権法17条1項に規定されていますが、その内容は18条以降に書かれています。
著作権は譲渡可能(同法61条1項)なのですが、
著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができません(同法59条)。
以上を頭の片隅に置いてください。
次に、著作権(二次的著作物に関するもの)が原始的に利用者に発生していると
仮定してみます。
規約を見るとYahoo!JAPANが譲渡と同一のものと見做していることが判ります。
つまり著作権はYahoo!JAPAN(または提携会社)に帰属するということになるのです。
では著作者人格権についてはどうでしょうか。
具体的には、①公表権(同法18条)②氏名表示権(同法19条)③同一性保持権(同法20条)の
侵害に当たるかどうかを考えることになります。 上で書きましたように、著作者人格権は譲渡できません。
しかしその不行使特約は、一般的には有効と解されているそうです。 (有効と解されているということについて弁護士さんに教えていただきました)
※この不行使特約について追記します。 具体的に不行使特約とは以下のようなものを指します。
「甲(著作権を譲渡する著作者)は、乙(著作権を譲り受ける者)及び乙から適法に
本著作物の譲渡又は利用許諾を受けた第三者に対して、著作者人格権を一切行使しない」
Yahoo!JAPANの利用規約にも明記されています。
以下は利用規約第一章総則の10.の抜粋です。
著作権の譲渡の件と併せてご覧ください。
「また、電子掲示板など、不特定または多数のお客様がアクセスできるサービスに対してお客様が投稿などをしたコンテンツについては、お客様または当該コンテンツの著作権者に著作権が帰属します。当該コンテンツについて、お客様は当社に対して、日本の国内外で無償かつ非独占的に利用(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、譲渡、貸与、翻訳、翻案、出版を含みます)する権利を期限の定めなく許諾(サブライセンス権を含みます)したものとみなします。なお、お客様は著作者人格権を行使しないものとします。」
このように、どこから攻めても利用規約の無効を問題化するのは極めて困難です…。
問題化するとすれば規約が消費者契約法10条に該当するかどうかにかかってきます。
消費者契約法10条とは以下のようなものです。
民法、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項が、
民法や商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合と比べて、
信義則に反し消費者の利益を一方的に害する場合には契約が無効になるという内容です。
つまり他の関係法令との比較をしなければなりません。
となると…著作権法をもとに考えてみた場合に「極めて困難」となる訳ですから、
この条文に該当すると考えるのもまた困難となります…。
コンプライアンス(法令遵守)という概念だけではなく、
一般常識や社会通念といったものがもっと活かされてしかるべき案件だと個人的には
思っております。
しかし法的にはなかなか難しいことばかり。
「二次利用はお控えいただきますようお願いします」という回答が虚しく響きます。
以上で法律的な話はオシマイです。
ここから先、アバター画像を公の場で二次利用されるかどうかは各自のご判断に
お任せいたします。
私個人でできる範囲のことは全てやり尽くしました…。
二次利用の件では(も)皆様のお役に何も立てず、心よりお詫び申し上げます。 |