特集ワイド:なんか違う?最近の石原都知事発言「東京は薄情」「ちまちました我欲」「やせた民族」 「壊れた心」最後の叫び
毎日新聞 2012年06月13日 東京夕刊
◇「都政に関心はない」−−40年来の友人、佐々淳行さん
「やせた民族」「東京は薄っぺらで薄情な街」−−石原慎太郎・東京都知事(79)がいら立っている。都が招致する8年後の夏季五輪への支持低迷が直接の理由だが、自らを選んだ都民や日本人そのものに矛先を向けた今回の「放言」は、かつて年配女性や外国人らを傷つけた見境なき暴言とは少し趣が違うようだ。【藤原章生】
東京都は20年夏季五輪の1次選考を通ったものの、競争相手のマドリード、イスタンブールに比べ都民の五輪支持が47%と低い。5月25日の記者会見でそこを突かれた石原氏は言った。「一体、日本人は何を望んで、何を実現したら胸がときめくのか。ちまちました自分の我欲の充実で、非常にやせた民族になった」。東京について「薄情な街」発言があったのもこの場だ。同29日には日本外国特派員協会で、外国人記者らを前に都民をこう断じた。「ぜいたくで、何があっても当たり前。うぬぼれてるし、自分のことしか考えなくなり、他の日本人と違う人種になりましたな。(五輪が)実現したら都民は来なくていい」
思い通りにならないものには歯に衣(きぬ)着せぬのが石原流だ。イタリアのベルルスコーニ政権末期ではないが、人々には「また言ってら」という諦観が漂う。
「まじめに相手する気も起きませんね。何でも自分が導いてやっているよ、という感覚。都民に選ばれて知事になったのに、その都民の代表という意識がとにかく希薄ですから」(国立情報学研究所の高野明彦教授)
「32万を超す都民が署名した、原発稼働の是非を問う住民投票要求すらまともに読まず、ひたすら五輪ですか。浮世離れとはこのことです」(住民投票を呼びかけたジャーナリスト、今井一さん)
しかし、都民や日本人全体に対し、こうもはっきりといら立ちの言葉をぶつけるのは珍しい。ここは、身近な人にじっくり話を聞いた方が良さそうだ。
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