特集ワイド:なんか違う?最近の石原都知事発言「東京は薄情」「ちまちました我欲」「やせた民族」 「壊れた心」最後の叫び
毎日新聞 2012年06月13日 東京夕刊
40年来の友人、元警察幹部で著述家の佐々淳行さん(81)を訪ねた。07年の知事選で石原氏に3選をもたらした選対本部長。ちょうど人間ドックから出てきたばかりだ。「慎太郎の心境の変化? 僕もよくわかるんだけど、老境に達したということでしょう。安らかに余生を過ごす人じゃない。闘い続けるから、しった激励してもついてこない連中、政治、社会にイラついているんですよ」
しかし、周りがついてこないのは今に始まったことではない。「年齢から来る焦燥感ですね。79歳でしょ。今年80ですよ。僕は昭和5(1930)年で慎太郎は7年。昭和ひとケタは皆いらついてるわけ。渡部昇一、竹村健一、岡崎久彦も同じで、互いによくわかる。慎太郎の日本人批評もわかる。でも普通は我慢しているじゃない。彼は言ってしまうから敵をつくる」
「一緒にしないでくれ」という昭和ひとケタも多かろうが、話を先に進める。
「去年、78歳のときから、自分でも『俺、老化してきたよ』って言いだしました。『階段を駆け上がれなくなった』って。『エレベーター乗れば』と言ったんです。『俺たちはもう、より速く、より強くじゃだめだよ、よりずるくだよ』ってね。3期目の選挙の時(07年春、74歳)には老化とは言ってなかった」
精神面も変わったようだ。「この前、僕、講演で地方に行ったの。僕がだいぶ弱ってるって聞いたんだろうね。『佐々はどうした』って事務所に電話してきて、秘書が『地方です』と答えても、信用しないの。僕の家や、あちこちかけまくって。ひょいと会いに行ったら『佐々さん、大丈夫か』と。パニックとは言わないけど、講演だと言ってるのに、そのしつっこさが……」。老境の表れ、というわけだ。