福井市中央一丁目の駅前電車通りに乗り入れている福井鉄道駅前線(通称ヒゲ線)について、市はJR福井駅西口広場まで約百五十メートル延伸させる二つのルート案をまとめた。市は交通シミュレーションで、延伸による交通渋滞の影響は「わずか」と結論付けた。十一月末までに最終案を決定する。
ヒゲ線延伸は電車、バス、タクシーなど公共交通を一カ所に集め利便性を高めるのが狙い。延伸方法は、スクランブル交差点を左折して西口広場に乗り入れる「左折案」と、再開発ビル北側に隣接する屋根付き広場に沿って入る「直進案」がある。整備費は四億円を見込む。
左折案は屋根付き広場とバスやタクシーの乗降所がある交通広場とが分断されないという利点があるが、カーブするため電車の車両に負担がかかる。直進案は屋根付き広場が利用しやすくなるが、広場のレイアウト変更が必要になるなど、一長一短があるという。
延伸をめぐっては、道路の渋滞発生を懸念する地元商店街が反対しているのを受けて、市は外部業者に交通シミュレーションを委託し、延伸の影響を試算していた。
関係者によると、周辺の交通には路線バスが西口広場へ乗り入れる影響の方が大きく、ヒゲ線延伸の影響はわずかとの結果が出た。市は、周辺交差点の混雑は増すが「交通処理は十分可能」と結論付けたという。
二案とも、延伸のためヒゲ線が横切るスクランブル交差点のすぐ西側の丁字路にも信号機を新設、電車の通過時間を四十秒と設定する計画。スクランブル交差点は廃止する。
市は、識者らでつくる「福井駅西口全体空間デザイン専門家会議」などの意見を踏まえ、十一月中に延伸計画を決める。
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