「貧困のブラックホール」自営業720万人時代

414万人は月収入100万ウォン未満
「ハイリスク・低収益の罠」
半数は3年以内に廃業…50代自営業者は30%に急増

 統計庁の経済活動人口調査に基づき推算したところ、2007年から11年までの間に20-40代の自営業者数は減ったが、50代は年平均2.5%ずつ増加していることが分かった。50代の自営業数は186万人から206万人に増えている。09年は起業した人の約4分の1がその1-2年前に会社を退職した人だった。

 だが、成功する確率は極めて低い。零細自営業者の廃業が多いため「もうかるのは看板屋ばかり」と言われるほどだ。事実、04年から09年までの統計庁資料を分析した結果、自営業者が多い飲食・宿泊業は年平均12万4000店が新規で事業を始める一方、12万7000店が廃業していることが分かった。

■借金して起業、借金の泥沼にはまる

 「起業さえしていなければ…」

 イさん(53)は07年に会社を退職してすぐに印刷会社を設立した。資金は退職金2億ウォン(約1400万円)をはたいた。コンピューター関連会社に勤めていた経歴を生かし、コンピューターグラフィックスでチラシ・名刺・カタログを製作・納品した。知人が協力してくれたおかげで起業当初は収入も良かったが、6カ月後に危機が訪れた。紙・インクなどの原材料費は値上がりする一方、印刷物の値段は逆に下がった。印刷会社同士で値引き合戦が起きたからだ。名刺100枚当たり3万ウォン(約2100円)だったのが、500枚で1万5000ウォン(約1050円)にまで下がった。イさんの会社は赤字が出始め、負債は雪だるま式に膨れ上がっていった。結局、自己破産したイさんは借金の一部が帳消しになったが、残りの借金は重機を運転する仕事をしながら返済している。イさんは「起業ではなく、再就職のための教育を受けるなどして別の仕事を探すべきだった」と後悔している。

 自営業者が経済的に苦しいのは、多額の借金をして起業することにも原因がある。統計庁によると、自営業者の昨年の平均個人負債額は8500万ウォン(約590万円)で、一般社員の5100万ウォン(約350万円)に比べ3400万ウォン(約240万円)多い。これは、開店時に必要な費用が平均6570万ウォン(約460万円)にも達するためだとみられる。

キム・ヨンジン記者
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