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「非不胎化介入」は幻想だ
こういうとき、よくあるのは「日銀が外債を買って円を市場に供給すると、国内の金融緩和になる」という話だ。通常は、こういう副作用をなくすため日銀が円資金を回収する不胎化を行うが、資金を回収しない非不胎化介入を行うべきだ、と一部のエコノミストが主張している。
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これは一般論としては間違っていない。右の図は吉田恒氏が日米のベースマネー(中央銀行の発行する通貨量)の比率と為替レートを比較した「ソロス・チャート」だが、2000年頃までは両者はかなりパラレルに動いている。
しかし2002年以降、日銀が大幅な量的緩和を行った結果、日本のベースマネーはアメリカの1.5倍になったが、円は逆に高くなった。2008年の金融危機以降は、逆にFRB(連邦準備制度理事会)が激しく金融緩和したため、ベースマネー比率は半分以下になったが、為替レートはそれほど上がらなかった。
この原因は、日本の金利がゼロに貼りつく流動性の罠に陥ったからだ。政策金利もずっとゼロのままなので、日銀がそれ以上ベースマネーを出しても、市中に流通するマネーストックは変わらない。つまり流動性の罠に陥ったときは、為替介入はすべて不胎化介入だから、金融緩和の効果は期待できないのだ。
与党も野党も「万年野党」になった政治
他方、安倍内閣の官房長官を務めた自民党の塩崎恭久氏は、現代ビジネスで「政府と日銀は政策協調して一刻も早いデフレ脱却を! 日銀はモードを変え、『非伝統的』政策をも含め、あらゆる政策を総動員すべきだ」と書いている。
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