攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG #13, #14 (7)
#13 MAKE UP
#14 POKER FACE
今回は、「個別の十一人」が自決したところから始まる。そしてただ一人生き残った男、クゼ。
だが、今回の主役はパズとサイトーだ。ちょっと寄り道だけど、なかなか渋くて個人的には好きかな。こないだの#12『草迷宮』はちょっと此岸と彼岸のインターフェイスに少しだけ違和感を感じたけど、あれも好きだったな。でも、独立系の話でやっぱりいちばんよかったのは、1stの「タチコマの家出」かもしれないな。
でも、攻殻の音楽ってほんといいね。菅野さんのセンスって素晴らしい。サントラ欲しい。
以下ネタバレ。
#13 MAKE UP
クゼの顔を解析してみると、口がほとんど動いていないことが分かった。顔は非常によくできているのに、表情を動かすメカニズムが動作していないということらしい。そして、それだけ優れたオリジナルな顔を作ることのできる造顔作家は日本にはふたりしかいないという。そのうちのひとりをバトーとトグサが訪ねたときにはすでに造顔師は殺されていた。そしてビデオ映像に映っていたのも、指紋も、すべてパズのものと一致していた。だがもちろん状況からパズが犯人のはずがない。
パズはどうしてそういうことになったのか心当たりがないという。草薙は何か思い出すまでパズに自重を命じる。
パズがひとりでバーで飲んでいると、造顔作家殺人事件担当の刑事がやってきて、パズが犯人だとは思っていないが、絶対に何か関係があるはずだからしばらく張らせてもらうと告げて出ていった。
そこへバーのママがやってきて、いつもひとりか毎回違う女連れなのに珍しいわねといわれる。
ここでバーのママが最近知り合ったという造顔作家(そう、殺された造顔作家だ)が、傷ついた兵司の顔を作っていて、顔の傷の深さと心の傷の深さが同じであることに気付いたというのだった。
また、彼女自身も、造顔作家に新しい顔を作ってもらおうとして、「ゴーストは」脳殻じゃなく顔の表面に宿るということに気付いたという。
(ここで想起されるのは、もちろんゴーダだ。)
その後パズを張っていた刑事が「パズ」に殺された。もちろん本物のパズではない。ビデオに映っていたパズ。
それからパズは、ある可能性に気付いて、どこか街のはずれの、誰も住んでいない集合住宅へと向かう。それは、パズが昔ある女――あの、バーのママ――と住んでいた場所に違いなかった。バトーはタチコマと共に密かにパズを見張る。
パズがそこに行くと、女はそこで待っていた。「俺は同じ翌ニ二度寝ることはない」しかしパズは女と一緒に住むようになった。そしてある日、パズは女を捨てた……
それはパズの愛の形だったのかもしれないが、女がそれを理解するはずもないし、できるはずもない。
女はパズの愛の深さを知ったという。そして今は……パズの義体を手に入れていた。女はパズのゴーストを手に入れた今、本物のパズはもういらない、死んで欲しいという。パズは、お前に殺されるなら本望だという。ベタだけど格好良すぎ!
そして二人はナイフで死闘を演じ(傍目にはどっちがどっちだか分からない)、女の方が殺される……
しかし、草薙がスカウトしたときも「俺は同じ女と二度寝ない主義だ」と言ったパズっていったい……?
女が造顔作家を殺したのは口封じのためだろうし、刑事を殺したのも、自分が関与していることがばれるのが時間の問題だと思ったからなのだろう。この、パズの個人的な事情と関わる造顔作家殺人事件によって、9課はクゼの重大な手がかりをひとつ失ったことになる。追いつめられる9課。追いつめる監督と脚本家。やっぱり20話前後で大きく動くことになるのかな。
#14 POKER FACE
今度はサイトーが主人公。9課の主要メンバーではない連中とポーカーをやっているのだが、ほとんどひとり勝ちの状態。サイトーは、本当の意味での命の駆け引きをしたときから誰が何を考えているかを身につけたという。サイトー自身はポーカーフェイスを身につけた。
その命を掛けた駆け引きとは――腹の底から震えが来るほどのスナイピング。
タチコマたちのお願いもあって、サイトーはそのときの体験を語り始めた。
それはメキシコでのことだった。メキシコ義勇軍に参加していたときのことだった。米帝(なのかな? なんか、最近のアメリカを思い起こさせるね)が送り込んだ英日で編成された国連軍を南米に派兵、かなり乱暴な手段で暫定政権の掃討作戦に打って出た。
サイトーの味方は全滅、投降の機会をねらっていた。そこへ戦術核を持ち込んだ特殊部隊が潜入。神の視線からの恐怖を味あわせてやろうと思いつく。
その特殊部隊に居合わせたのが、草薙、バトー、石川だった。
サイトーはおとりを使って攪乱し、ひとり、ひとり、殺していくが、草薙の冷静な判断によって居場所を突き止められる。
そして、破壊された廃墟で草薙と対峙することになった。サイトーは瞬間的に草薙が全身義体のサイボーグであることを見抜いた。何度シミュレートしても、草薙に負ける。しかし、最初に草薙がジャミング装置を破壊したことを見抜いた。ということは、中距離スナイピングに必要なソフトをダウンロードしている最中かもしれない。その可能性に打って出たサイトー。
しかし、サイトーは草薙のポーカーフェイスに填められていたのだ。サイトーの銃弾は草薙の頬を掠め、草薙の銃弾はサイトーの左目に命中した。そしてサイトーは駆け寄ってきた草薙に取り押さえられ、いい腕をしているな、私の部下になれ、と言われる。サイトーに答えの余地は残されていなかった。
それがサイトーと草薙との出会いでもあった。
ポーカーの方は、有金全部賭けて勝負に出て、サイトーはその場を立ち去る。誰もがサイトーの負けだと思っていたが、タチコマが最後の簡をめくってみると、サイトーの勝ちだった……
この回には、まだ日本には自衛隊に当たるものがあり、憲法九条が生きていることが設定としてさりげなく出されている(草薙たちは国連のPKF活動に参加中なのか?実際には自衛軍は軍隊として運用されているようだ)。しかも日本は軍事大国。ほかにも興味深い設定がいろいろ出てくるのだが、本編を見ているだけじゃ、よく分からない部分も多い。
今後、そういった部分がどう関わってくるのかも興味深い。
Comments
ふふっ
6年前のブログにコメントかくのはどうかと思いますが、
いまちょーどこうかくみてたので・・・
パズの件ですが、一緒に住んでいたのはバーのママその人ではなく、
バーノママの脳殻をのっとった昔の女です。
ばーママの脳殻を捨てるシーンもありますしね
Posted by: aoi | 2010.08.08 at 04:31 PM