若松孝二監督とちょっとだけ話したことがあった。その訃報はあまりに突然で、朝5時から目がすっかり覚めてしまった。「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」で仙台にいらっしゃった際、もう既に中上健次の「千年の愉楽」の撮影も済んでいて、「また来年来ます」と、相変わらずのにっこり顔で劇場を後にしたのが今年の8月だった。また来ますって言ったのにね。
若松監督に初めてお会いしたのは「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の制作に入られる前くらいだったと思う。仙台のPFFかメディアテークでの上映かで来仙したとき、映画祭スタッフの何人かと、食事の席にご一緒させていただいた。とにかく話が面白くて、若松監督の武勇伝とも言うべきか、拘置所に拘禁された話とか、いろいろな場所に行っては無茶をした話とか、とにかく食事どころではなく話を聞いているのがとても楽しかった。
若松監督に初めてお会いしたのは「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の制作に入られる前くらいだったと思う。仙台のPFFかメディアテークでの上映かで来仙したとき、映画祭スタッフの何人かと、食事の席にご一緒させていただいた。とにかく話が面白くて、若松監督の武勇伝とも言うべきか、拘置所に拘禁された話とか、いろいろな場所に行っては無茶をした話とか、とにかく食事どころではなく話を聞いているのがとても楽しかった。
「実録・連合赤軍」を控えてか、やはりこの映画に対してはとても熱く語っていたように思う。「突入せよ!あさま山荘事件」での権力側からの一方的な描き方に対する怒りが「実録・連合赤軍」を撮る気持ちを強くさせたことや、その事件で総括という名のリンチで亡くなった遠山美枝子さん(映画では坂井真紀さんが演じていた。遠山さんは「赤軍PFLP-世界戦争宣言」の上映を手伝ってくれていたというつながりがあったことも話してくれた)のことを救えなかった悔しさなど、初対面の私たちに何一つ押しつけるでもなく、ましてや上からでもなく本当にたくさんの話をしてくれた。そして最後にはまたあの笑顔だった。
私はこのとき、若松監督が映画を武器に社会に向かっていく姿勢を知らされ、もうこの人(この世代というべきかも)にはかなわないなあと思い、こういった人が自分の上にいてくれることがうれしかった。群れない、所属しない、信念を持って自分の出来る「映画」というもので社会に立ち向かっている。
2年前、メディアテークで「壁の中の秘事」「性の放浪」「17歳の風景 少年は何を見たのか」など過去の作品にも触れることができ、そのあとは本当に「キャタピラー」「海燕ホテル・ブルー」「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」と間髪入れずに次々に作品をつくるそのバイタリティーを見せられるたび、本当に100歳まで映画を撮っているのではないかなと思った。本当にそうであってほしかった。
ニュースでは、次は原発の映画をと言っていたが、浅沼事件の山口二矢のことも撮りたいと言っていたし、とにかくもう撮りたいものが次から次に本当にたくさんあったのだと思うと、とても残念でならない。何より監督自身が本当に残念でならなかったと思う。
若松監督は宮城県涌谷町の出身である。映画館でもいいし有志でもいい、少したったらでいいから若松監督の映画をまとめて上映してほしい。個人的には「狂走情死考」「処女ゲバゲバ」とか、プロデュースした「荒野のダッチワイフ」(大和屋竺監督)や「びんばりハイスクール」(鈴木則文監督)などタイトルだけでちょっとうれしくなる特集を、あの人懐っこい笑顔を思い浮かべながら見てみたい。
(仙台市・仙台短編映画祭事務局 菅原睦子)
私はこのとき、若松監督が映画を武器に社会に向かっていく姿勢を知らされ、もうこの人(この世代というべきかも)にはかなわないなあと思い、こういった人が自分の上にいてくれることがうれしかった。群れない、所属しない、信念を持って自分の出来る「映画」というもので社会に立ち向かっている。
2年前、メディアテークで「壁の中の秘事」「性の放浪」「17歳の風景 少年は何を見たのか」など過去の作品にも触れることができ、そのあとは本当に「キャタピラー」「海燕ホテル・ブルー」「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」と間髪入れずに次々に作品をつくるそのバイタリティーを見せられるたび、本当に100歳まで映画を撮っているのではないかなと思った。本当にそうであってほしかった。
ニュースでは、次は原発の映画をと言っていたが、浅沼事件の山口二矢のことも撮りたいと言っていたし、とにかくもう撮りたいものが次から次に本当にたくさんあったのだと思うと、とても残念でならない。何より監督自身が本当に残念でならなかったと思う。
若松監督は宮城県涌谷町の出身である。映画館でもいいし有志でもいい、少したったらでいいから若松監督の映画をまとめて上映してほしい。個人的には「狂走情死考」「処女ゲバゲバ」とか、プロデュースした「荒野のダッチワイフ」(大和屋竺監督)や「びんばりハイスクール」(鈴木則文監督)などタイトルだけでちょっとうれしくなる特集を、あの人懐っこい笑顔を思い浮かべながら見てみたい。
(仙台市・仙台短編映画祭事務局 菅原睦子)