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被災ホテル 侵入の跡 陸前高田市

2012年10月24日

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本格的な解体作業が始まるキャピタルホテル1000=23日、陸前高田市

 震災で被災した陸前高田市のキャピタルホテル1000で、津波の浸水を免れた客室に人が立ち入り、備品が盗まれたり、宿泊した形跡があったりしたことが分かった。市は被災した複数の建物を保存する方向だが、人の侵入を防ぐなど管理面での課題が改めて浮かび上がった。

 ホテルは4階まで津波で浸水したが、5、6階の客室、レストランなどがあった7階は浸水を免れた。

 ホテル関係者によると、数カ月前に客室などを見回った際、テレビがなくなっていたりトイレに使用の痕跡があったりした。宿泊した可能性もあるとみられる。たばこの吸い殻も落ちていたという。

 ホテルは、震災から比較的間もない時期に自衛隊が捜索。その後、立ち入り禁止の表示を出していたが、管理する人もおらず事実上放置された状態だった。

 ホテル関係者は「震災後の混乱の中で他でもこうした被害があったと聞く。心ない人がいたということだと思う」と話した。

 戸羽太市長も23日の定例会見で、解体前の20日に開かれたお別れ式の際にこうした状況を自ら確認したことを明かし、「部屋がある施設の管理が難しいことを改めて感じた」と話す。

 市は道の駅・高田松原(タピック45)や奇跡の一本松の近くにある被災したユースホステルを保存する方針だ。新たに雇用促進住宅の保存も検討している。

 戸羽市長は「施設で事件があったり、人が住み着いてしまうなど、いろいろなことが心配される。しかし、24時間人を置いて監視することは難しく、警備会社に依頼するのも変な気がする」と述べた。
(杉村和将)

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