[キャリア] 裁量の大きい/小さい仕事、難易度の高い/低い仕事

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2012/10/24


ざっくり言うと…
・仕事には裁量の大小、難易度の高低がある
・裁量も難易度も低い仕事ばかりやっていては、成長できない
・「雑用だって捉え方次第では楽しくなる!」というのは一面的な捉え方
・なるべく裁量も難易度も高い仕事を手に取ろう


偏差値50の仕事はしない」という記事を書いたら、「考え方次第ではどんな仕事もクリエイティブになるじゃん」みたいなメッセージ頂いたので、考えてみます。


裁量と難易度で考える

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こんなマッピングで考えてみます。

以下は僕が大企業に入社した当時の状況。入社してすぐの仕事といえば、書類整理や議事録作成が主で、あとは掃除とか挨拶も大切な仕事の一環だ、と教えられました。

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書類整理や議事録はそれほど難しい仕事ではありません。専門的スキルがなくても、十分な仕事はこなせるでしょう。

ただ、これらの仕事は既に「フォーマット」が存在し、工夫の余地は小さいです。ちょっとでもフォーマットや書類の格納場所を変えようものなら「今までのやり方を踏襲してくれ」と上司に言われる類いのものです。裁量が低いわけですね。

さて、さすがに入社して半年以上こんな仕事ばかりしていると、働くのが虚しくなってきます。言われたことを淡々とこなせば給料が貰えるのは素晴らしいですが、自分の成長につながる実感はえられません。雑用するために会社に入ったわけではありません。

僕は職場に恵まれたので、ちょうどそんな時分に新しい仕事を与えられました。プレスリリースの作成と、新規事業立ち上げ(フェイスブックページ、ツイッターアカウントの運営)です。

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プレスリリース作成は上司の指導のもとみっちり教わったので、裁量は低かったです。が、初めての仕事なので、難易度はとても高かったことを記憶しています。あの時の経験はまだ生きています。

新規事業の方は前例がない取り組みだったので、裁量も難易度も高い仕事でした。獣道をザクザクと切り開くような、チャレンジと快感が伴う楽しい仕事です。

僕はあのとき新規事業案件に関われたからこそ、今の自分があると感じています。書類整理や議事録、掃除や挨拶だけでは、専門性は磨かれることもなかったでしょう。上司に言われたことをやるばかりで、「工夫をする」ということも学べなかったように思います。


現在のライター業のポートフォリオはこんな感じになります。

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左上。ブログ記事の執筆は、連載や書籍執筆と比較すると難易度はさほど高くありませんが、なんせ自分のメディアなので裁量はMAXです。上司やクライアントからダメだしを受けることは皆無で、自分の能力や工夫がとことんまで試されます。

右下。イベントのまとめ、イベントレポートの作成なんかもたまに行うのですが、これは難易度の割に裁量が低い仕事です。客観性が重要なので、内容を大きくいじることは当然できません。しばしば「独自性をあまり出さないでくれ」というオーダーを頂くこともあるぐらいです。自分に負荷を掛ける意味では良い仕事ですが、ちょっと疲れるのも事実です。

最後に右上。僕にとってはもっとも楽しい、チャレンジングな仕事です。今まさに本を書いていますが、もう長いこと頭をウンウン運転させ続けてます。指示やダメだしをくれる上司やクライアントもいません(編集の方はいますが、「アドバイス」の域をあえて出ないようにしてくださってます)。この右上の仕事をこなせばこなすほど、僕はライターとしての技能が高まっていくと考えています。

なお、左下の領域は手がけていないのでいまいち思い浮かびませんでした。今はやってないですが、例えば「外部のライターへの振込作業」とかはこれにあたるのかも。


「どんな仕事もクリエイティブになる」のか

さて、では本当に「どんな仕事もクリエイティブになる」のでしょうか。

ここまでの図で分かるかもしれませんが、僕は決してそうは思いません。理想論としては支持しますが、実際問題、クリエイティブにしようがなかったり、する気が起きない仕事はたくさんあります。

例えば「掃除」や「挨拶」は、その気になればどこまでも工夫が可能で、クリエイティブになれるでしょう。しかし、そこにやりがいが持てるかは別問題です。よっぽど挨拶や掃除がもともと好きでもないかぎり、いくら工夫の余地があっても、努力は継続しないでしょう。

僕なんか挨拶苦手なので、「挨拶だって工夫次第で楽しめる仕事だ!」とか言われると心底げんなりします。苦手なんですよそもそも。そりゃ苦手を克服するのも大切ですが、ちゃんと価値が出せる、専門性を発揮できる仕事をくださいよ、そこにあるじゃないですか、と。

また、入れる場所が決まっている書類の整理などは、どうやっても工夫に限界があります。得てして新参者の手に回ってくる頃には、既に最適化が終わっています。工夫の余地がほとんどないものに対して「工夫せよ!」と叱咤激励するのは、苦痛しかもたらさないでしょう。


なるべく裁量と難易度の高い仕事をこなそう

そんなわけで、僕はなるべく裁量も難易度も高い仕事をこなすようにしています。というか、そういう仕事がやりたくて会社を辞めた、という意識もあります。

終身雇用が保障された高度経済成長期ならいざ知らず、僕ら若者世代はストイックに専門性を磨いていく必要があると思います。

「どんな仕事もクリエイティブになる」というのは一面的には事実ですが、その言葉に甘んじて、上司に言われるまま難易度の低い仕事をこなし続けるのは危険です。


関連本。本書の中の「ゼネラリストからスペシャリストへ」というメッセージは全てのビジネスパーソンが意識すべきことだと僕は思います(ブックレビュー)。