全国屈指の難読地名として知られる兵庫県宍粟(しそう)市で、官公庁から市役所に届く郵便物でも宛名の誤記が相次いでいる。隣接する姫路市や兵庫県ですら「宍栗」「穴粟」などと誤った宛名を書いたケースがあった。市名を間違っても郵便物は届いているものの、宍粟市職員は「まずは官公庁に正しい市名を覚えてもらおう」と、他市町との会合などで「しそう」の連呼に努めている。(安田英樹)
宍粟市は2005年の合併により誕生。09年発行の「日本の珍地名」(竹内正浩著、文春新書)で難読・誤読地名の西の横綱に選ばれ、これを機に、難読を逆手に取ったPRを進めている。東の横綱の千葉県匝瑳(そうさ)市との合同イベントを6月に開催、市名の歴史的背景を学ぶ講座なども手掛ける。
市では今年に入って市役所に届いた郵便物を調査、その結果、月に10件程度、宛名の誤記が見つかった。官公庁からのものでは、国土地理院や国民生活センター、日本銀行などが「穴粟」と表記。兵庫県地域再生課や姫路市観光交流推進室も間違えていた。
「視察に来られた方からのお礼状でも、よく間違えられる」と市の担当者。個人からの郵便を含めれば、年間100件以上はあるという。印刷された宛名にも間違いが見つかり、「パソコンに“しそう”と打ち込めば漢字変換されるのに…。そもそも正しく読まれていない」と苦笑い。
市職員は正しい市名を伝えるため、市外で名刺交換する際には「難しい地名で西の横綱に選ばれた“しそう”です。穴栗(あなぐり)ではありません」などと念押しし、地道な努力を続けている。
(2012/10/05 08:05)
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