NHK鹿児島県のニュース 鹿児島放送局
原発環境影響評価訴訟で判決
薩摩川内市の川内原子力発電所の排水をめぐり、県内の住民らが、九州電力に対し環境影響評価をやり直すよう求めた裁判で鹿児島地方裁判所は「法律上、原告には環境影響評価のやり直しを求める権利がない」として訴えを退ける判決を言い渡しました。
九州電力は、薩摩川内市の川内原子力発電所に増設を計画している3号機の排水について、おととし1月法律にもとずいて環境影響評価書を経済産業省に届け出ました。これについて川内原子力発電所3号機の増設計画に反対する県内の住民65人が、九州電力が行った環境影響評価では原発から出る温度の高い排水が広がる範囲が意図的に狭められているなどとして、評価のやり直しを求めて裁判を起こしていました。23日の判決で鹿児島地方裁判所の久保田浩史裁判長は「環境影響評価法では、評価書の作成過程で原告が意見を述べる機会はあるが、法律上、原告には環境影響評価のやり直しを求める権利がない」として訴えを退けました。川内原子力発電所の3号機の増設計画については東京電力福島第一原発の事故以降、国のエネルギー政策が不透明なことなどから手続きが止まっています。判決のあと原告の1人で原告団の事務局長をつとめる向原祥隆さんは「今回の判決では事業者が虚偽の影響評価をしても許されることになってしまう。市民感覚ともかけ離れたもので判決は不当だ」と話していました。また、控訴するかどうかは今後、弁護士やほかの原告と話し合って決めたいとしています。いっぽう、九州電力地域共生本部の中川浩二法務担当部長は「今回の判決は当社の主張が認められたものと考えております。当社としては、今後とも、原子力発電へのより一層のご理解をいただけるよう、引き続き努力してまいります」と話しています。
10月23日 20時30分
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