Def. 生体の恒常性を維持するため、自己と非自己を識別し、非自己を排除する機構。
T細胞サブセット
サブセット | マーカー | 分泌サイトカインまたは細胞質内因子 | 反応系 |
---|---|---|---|
細胞傷害性T (TC) | CD8 | IL-2,リンフォトキシン,パーフォリン | 細胞融解 |
ヘルパーT (TH) TH1 TH2 | CD4 | IL-2,IL-3,GM-CSF,IFN-γ | 反応促進 |
CD4 | IL-3,IL-4,IL-5,IL-6,CM-CSF | 反応促進(液性免疫) | |
抑制性T (TS) | CD8? | 抑制ファクター(TSF,TSiFなど | 反応抑制 |
遅延型反応T (TD) | CD4 | IL-2,IFN-γ,MAF,MIF | DTH |
免疫応答の特異性はリンパ球の抗原レセプターによって決定される。レセプターの多様性はL鎖あるいはH鎖のV領域における遺伝子再構成によって得られる。
Tリンパ球は細胞上でMHC分子と結合している抗原を認識する。MHCクラスT・クラスU抗原は、Tリンパ球の反応を制約するのでMHC拘束性と呼ばれる。
体液性免疫・・・抗体が関与する免疫応答。抗原刺激によりBリンパ球が抗体産生細胞(形質細胞)に分化して抗体を産生する。
細胞性免疫・・・抗体が関与しない免疫応答。抗原刺激によりTリンパ球が活性化する。TDは種々のサイトカインを分泌し、マクロふぁージを遊走・活性化し、抗原を処理する。TCの活性化によって、標的細胞を直接傷害する。
サイトカイン
サイトカイン | 主な作用 |
---|---|
MIF : macrophage migration inhibitory factor | マクロファージ遊走を阻止し、局所にとどめる |
LIF : leukocyte migration inhibitory factor | 好中級の遊走を阻止する |
MCF : monocyte chemotactic factor | 単球、マクロファージを遊走させる |
MAF : macrophage activating factor | マクロファージを活性化する |
LT : lymphotoxin, cytotoxin factor, TNFβ | 標的細胞を障害する |
SRF : skin reactive factor | 皮膚に単核細胞を主体とする炎症変化をおこす |
IF : interferon | ウィルス感染阻止、NK細胞活性 |
LBまたはLM : lymphocyte blastogenic factor, mitogenic factor | リンパ球の幼若化、分裂促進、 |
免疫反応に基づく組織傷害
免疫反応が過度に、あるいは不適当な形で起こり、細胞傷害を引き起こす場合にこれをアレルギー allergy (過敏症 hypersensitivity)という。
発現機序によるアレルギーの分類 (CoombsとGell)
型 | 表現 | 反応の担い手 | 化学伝達物質 | 標的臓器 | 反応、疾患の例 | |
---|---|---|---|---|---|---|
即時型 | T | アナフィラキシー反応 | 主にIgE (組織吸着性) | ヒスタミン、セロトニン、LTC4、LTD4、PAF (補体の関与なし) | 皮膚、肺、腸管など | PK反応、アナフィラキシーショック、喘息、花粉症、アトピー、腸管アレルギー、アレルギー性鼻炎、薬物アナフィラキシー |
U | 細胞障害性反応 | IgG, IgM (マクロファージ、K細胞) | 補体活性化 | 赤血球、白血球、血小板、腎、甲状腺 | 溶血性貧血、再生不良性貧血、血小板減少症、橋本病、薬物誘発血球減少症、Goodpasture症候群、Basedow病 | |
V | 免疫複合体反応 | 抗原抗体複合体 主にIgG, IgM | 補体活性化、蛋白分解酵素、走化性因子、活性アミン | 血管、皮膚、関節、腎、肺など | Arthus反応、血清病、SLE、膜性糸球体腎炎、薬物アレルギー | |
遅延型 | W | 遅延型アレルギー(細胞性免疫反応) | 感作リンパ球 | サイトカイン (補体の関与なし) | 皮膚、肺、甲状腺、中枢神経系など | ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、アレルギー性脳炎、同種移植拒絶 |
Def.自己体構成成分に対する免疫応答によって引き起こされる疾患
自己免疫の成因
成 因 | 例 |
---|---|
隔絶抗体の露出 | 眼水晶体が外傷などで免疫系に接触を受けるようになる。 |
自己抗原の修飾 | 赤血球にメチルドーパなどの薬物が結合し、それにT細胞が反応して、既存の自己赤血球反応性B細胞を補助する。 |
交差反応性抗原の侵入 | 溶連菌感染でそのM蛋白に対して作られた抗体が心筋と交差反応する。 |
B細胞の異常活性化 | 遺伝的原因あるいは細菌リポ多糖やEBウィルスによって、自己反応性のものを含めたB細胞の異常活性化が生じる。 |
ヘルパー因子の異常産生 | B細胞の分化を促進するIL-6などが異常に産生され、自己反応性B細胞を活性化する(心房内粘液腫)。 |
サプレッサーT細胞不全 | 自己抗体産生を抑制すべきサブレッサーT細胞の不全(全身性エリテマトーデスなど) |
イジオタイプネットワークの破綻 | 自己抗体のイジオタイプに対する抗イジオタイプ抗体の低下。 |
臓器特異性 (第1群) | 単一臓器特異性 (第2群)> | 臓器非特異性 (第3群) |
---|---|---|
橋本病、 Basedow病、 自己免疫性溶血性貧血、 特発性血小板減少症紫斑病、 Goodpasture症候群、 萎縮性胃炎、 悪性貧血、 Addison病、 重症筋無力症、 天疱瘡、 類天疱瘡、 水晶体ぶどう膜炎、 交感性眼炎 | 原発性胆汁性肝硬変 (PBC)、 活動性慢性肝炎、 潰瘍性大腸炎、 Sjogren症候群 | 全身性エリテマトーデス (SLE)、 強皮症 (PSS)、 多発性筋炎 (PM)、 慢性関節リウマチ (RA) |
Def.免疫系の機能不全や器質障害に基づく疾患