田中法相辞任:首相任命責任が焦点に…民主党内からも批判
毎日新聞 2012年10月23日 11時50分(最終更新 10月23日 13時18分)
暴力団関係者との交際が発覚した田中慶秋法相が23日、内閣改造からわずか3週間で辞任に追い込まれた。自民党など野党は一斉に野田佳彦首相の任命責任を追及し、早期の衆院解散・総選挙に追い込む構えを強めている。民主党内でも田中氏の法相起用に当初から疑問の声があっただけに、首相の求心力低下は必至だ。
民主党の安住淳幹事長代行は23日午前、「あくまで体調が悪くやむを得なかった」と記者団に強調する一方で、「首相は後任をしっかり人選し、内閣の態勢固めを急いでほしい」と注文をつけた。
9月の民主党代表選で首相再選を支持した田中氏の初入閣は論功行賞色が濃く、政府・民主党内の受け止めは総じて厳しい。仙谷由人副代表は23日午前のTBS番組で「なぜこういう人事をしたのか分からない」と不満をにじませ、郡司彰農相は記者会見で「信頼を取り返すには一定の時間がかかるかもしれない。残念だ」と語った。閣僚経験者の一人は「もっと早く辞めてくれればよかった」と嘆いた。
一方、野党は勢いづいている。自民党の石破茂幹事長は23日午前の記者会見で「(首相は)なぜ不適格な人を任命したのか。田中氏が国会に出席しなかったことは、辞任しても消えるものではない。首相の任命責任は極めて重大だ」と指摘した。公明党の漆原良夫国対委員長も記者団に「辞任は当たり前で遅すぎた。こういう法相を選んだ首相の任命責任は非常に重い。民主党政権は閣僚の任命を非常に軽く考えている」と語り、首相批判のトーンを上げた。
田中氏の辞任には、29日召集の臨時国会前に幕引きを図りたい民主党の思惑も透ける。しかし、田中氏はこの日、閣議を欠席したうえ、体調不良を理由に辞任記者会見も行わず、野党は追及の手を緩めそうにない。三井辨雄厚生労働相は23日の記者会見で「(田中氏)ご本人がそういう判断をされたんでしょう」と突き放した。【笈田直樹、坂口裕彦】