ヘディングでクリアする増川隆洋=20日、佐賀県総合運動場陸上競技場で
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名古屋グランパスのDF増川隆洋(32)が復調への手応えをつかんだ。20日の鳥栖戦では後半ロスタイムに1失点したものの、闘莉王不在の最終ラインでも安定した守備。「これを当たり前にしていく」と宣言した。DF闘莉王がFW起用された場合にコンビを組むDFダニエルとの連係も熟成させていく。
長くグランパスの最終ラインを支えてきた191センチの堅固な壁に、ようやく復調の兆しが漂ってきた。鳥栖戦では「すごく注意していた」という相手のFW豊田にほとんど仕事をさせず、ロスタイムの1失点にとどめた増川。「今日は良かったと思う。これを当たり前にしていかないと。ここ何カ月かはできていなかったけど、自分のリズムを取り戻してきた。迷惑をかけたのはわかっているので」と真摯(しんし)に振り返った。
狂い始めたのは6月16日の鹿島戦だ。前半に失点につながるパスミスを犯し、ハーフタイムに懲罰交代させられると、そこから5試合先発の座をはく奪された。闘莉王のFW起用が始まった7月下旬からは先発に戻ったが、本来のダイナミックなプレーは影を潜め、ダニエルと組んだ6試合で計15失点。0−5の惨敗を喫した8月18日のG大阪戦では一発退場となり、精神的にも追い込まれた。9月29日の新潟戦など、オウンゴールも目立つように。失点はセンターバック陣だけでの責任ではないが、「一番後ろで真ん中を守っている以上、責任は感じていた」と苦悩も吐露した。
今後も闘莉王のFW起用は想定される。だからこそ、鳥栖戦で手応えをつかんだダニエルとの連係改善も重要だ。「結果は結果。実際に僕たちが組んでるときに失点している」と増川。ただ「お互いのポジショニングを考えながらしっかりやれれば」と前向きに取り組む姿勢を強調した。
ACL出場権獲得のためには、攻守とも闘莉王頼みとなっている現状からの脱却は不可欠だ。まずは守備陣にその兆しが見えた鳥栖戦。残り5試合で、32歳が完全復調を果たし、健在を証明する。 (宮崎厚志)
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