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Page 1

平成２３年４月

来日外国人犯罪の検挙状況

（平成２２年確定値）

警察庁刑事局組織犯罪対策部

国　際　捜　査　管　理　官

凡　例

○ 本資料における「来日外国人」とは、我が国に存在する外国人のうち、いわゆる定着居住者（永住

者、永住者の配偶者等及び特別永住者）、在日米軍関係者及び在留資格不明者を除いた外国人をいう。

○ 本資料中の特別法犯に係る「検挙件数」、「検挙人員」は、それぞれ送致件数、送致人員である。

○ 本資料中の「中国」については、別に断りのない限り「台湾」「香港等」を含まない。

○ 本資料中の「中国（香港等）」とは、中国国籍を有する者のうち、香港特別行政区又はマカオ特別

行政区が発給する旅券並びに中国、香港特別行政区又はマカオ特別行政区を除く政府（シンガポール、

マレーシア等）が発給した身分証明書等を所持する者をいう。

○ 本資料中の構成比について、四捨五入の関係で、合計数値と内訳数値の計が一致しない場合がある。

目

次

第１　来日外国人犯罪をめぐる昨今の情勢等

１　平成22年中の検挙状況の概要 ････････････････････････････････････････････････････････････２

(１) 総検挙状況 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････････２

(２) 国籍等別総検挙状況 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････２

(３) 罪種等別検挙状況 ････････････････････････････････････････････････････････････････････３

ア　刑法犯

イ　特別法犯

２　長期的な検挙状況の推移 ････････････････････････････････････････････････････････････････４

(１) 来日外国人犯罪の総検挙件数・人員の推移 ･･････････････････････････････････････････････４

(２) 来日外国人の刑法犯検挙状況の推移 ････････････････････････････････････････････････････５

ア　刑法犯の検挙件数・人員の推移

イ　凶悪犯及び窃盗犯の検挙件数・人員の推移

(３) 来日外国人の特別法犯検挙状況の推移 ･･････････････････････････････････････････････････５

３　昨今の特徴的な動向∼10年前（平成12年）との比較 ････････････････････････････････････････６

(１) 刑法犯 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････････････６

ア　国籍等別検挙状況の推移

イ　罪種等別検挙状況の推移

ウ　共犯形態別検挙件数の推移

エ　在留資格別検挙人員の推移

オ　発生地域(管区等)別検挙件数の推移

(２) 特別法犯 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････････９

ア　国籍等別検挙状況の推移

イ　違反法令別検挙状況の推移

ウ　在留資格別検挙人員の推移

第２　犯罪のグローバル化対策対象事犯等の現状と対策

１　グローバル化事犯 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････11

(１) グローバル化事犯の現状 ･･････････････････････････････････････････････････････････････11

ア　概要

イ　実態

(ア) 世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透

(イ) 構成員の多国籍化

(ウ) 犯罪行為の世界的展開

(２) 犯罪のグローバル化への対応 ･･････････････････････････････････････････････････････････15

２　犯罪インフラ事犯 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････15

(１) 概要 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････････････15

(２) 実態 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････････････16

ア　地下銀行

イ　偽装結婚

ウ　偽装認知

エ　旅券・外国人登録証明書等偽造

オ　不法就労助長

カ　その他の犯罪インフラ事犯

３　ヤード関連事犯 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････23

(１) ヤードの実態 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････23

(２) ヤード対策 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････････23

(３) ヤード関連事犯の検挙状況 ････････････････････････････････････････････････････････････23

ア　ヤード関連事犯の検挙状況

イ　ヤード関連事犯の国籍等別検挙人員

ウ　代表的な検挙事例

４　不法入国・不法滞在者の実態 ････････････････････････････････････････････････････････････24

(１) 不法滞在者の状況 ････････････････････････････････････････････････････････････････････24

(２) 検挙等の状況からみる不法入国、不法滞在の特徴 ････････････････････････････････････････24

(３) 代表的な検挙事例 ････････････････････････････････････････････････････････････････････25

５　外国人集住コミュニティへの犯罪組織等の浸透防止 ････････････････････････････････････････25

(１) 外国人集住コミュニティの形成 ････････････････････････････････････････････････････････25

(２) 取組みの必要性 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････25

(３) 警察における取組み状況 ･･････････････････････････････････････････････････････････････26

(４) 外国人集住地域総合対策モデル事業 ････････････････････････････････････････････････････26

第３　検挙事例等からみる来日外国人犯罪組織等の動向

１　昨今の特徴的な動向 ････････････････････････････････････････････････････････････････････27

(１) 来日中国人犯罪組織等の動向 ･･････････････････････････････････････････････････････････27

ア　概要

イ　犯罪の態様

(ア) 罪種別内訳

(イ) 共犯事件の比率

ウ　犯罪者の実態等

(ア) 在留資格別検挙状況

(イ) 犯罪に及ぶ経緯等

(ウ) 日本人犯罪者（暴力団等）とのつながり

エ　特徴的な動向

オ　代表的な検挙事例

(ア) 強盗

(イ) 侵入盗

(ウ) クレジットカード偽造事犯

(エ) その他

(２) 来日ブラジル人犯罪組織等の動向 ･･････････････････････････････････････････････････････31

ア　概要

イ　犯罪の態様

(ア) 罪種別内訳

(イ) 共犯事件の比率

ウ　犯罪者の実態等

(ア) 在留資格別検挙状況

(イ) 犯罪に及ぶ経緯等

(ウ) 日本人犯罪者（暴力団等）とのつながり

エ　特徴的な動向

オ　代表的な検挙事例

(３) 来日韓国人犯罪組織等の動向 ･･････････････････････････････････････････････････････････33

ア　概要

イ　犯罪の態様

(ア) 罪種別内訳

(イ) 共犯事件の比率

ウ　犯罪者の実態等

(ア) 在留資格別検挙状況

(イ) 犯罪に及ぶ経緯等

(ウ) 日本人犯罪者（暴力団等）とのつながり

エ　特徴的な動向

オ　代表的な検挙事例

(4) 来日ベトナム人犯罪組織等の動向 ･･････････････････････････････････････････････････････35

ア　概要

イ　犯罪の態様

(ア) 罪種別内訳

(イ) 共犯事件の比率

ウ　犯罪者の実態等

(ア) 在留資格別検挙状況

(イ) 犯罪に及ぶ経緯等

(ウ) 日本人犯罪者（暴力団等）とのつながり

エ　特徴的な動向

オ　代表的な検挙事例

(５) 来日コロンビア人犯罪組織等の動向 ････････････････････････････････････････････････････38

ア　概要

イ　犯罪の態様

(ア) 罪種別内訳

(イ) 共犯事件の比率

ウ　犯罪者の実態等

(ア) 在留資格別検挙状況

(イ) 犯罪に及ぶ経緯等

エ　代表的な検挙事例

(６) 来日イラン人犯罪組織等の動向 ････････････････････････････････････････････････････････39

ア　概要

イ　犯罪の態様

ウ　犯罪者の実態等

(ア) 在留資格別検挙状況

(イ) 犯罪に及ぶ経緯等

エ　代表的な検挙事例

(７) 来日ナイジェリア人犯罪組織等の動向 ･･････････････････････････････････････････････････41

ア　概要

イ　犯罪の態様

(ア) 罪種別内訳

(イ) 共犯事件の比率

ウ　犯罪者の実態等

(ア) 在留資格別検挙状況

(イ) 犯罪に及ぶ経緯等

エ　代表的な検挙事例

(８) その他の犯罪組織等の動向 ････････････････････････････････････････････････････････････42

ア　来日フィリピン人犯罪組織等の動向

イ　来日ペルー人犯罪組織等の動向

ウ　来日パキスタン人犯罪組織等の動向

エ　来日ロシア人犯罪組織等の動向

第４　来日外国人犯罪取締りをめぐる現状等

１　来日外国人犯罪捜査をめぐる諸問題 ･･････････････････････････････････････････････････････45

(１) 来日外国人犯罪の特性 ････････････････････････････････････････････････････････････････45

ア　人物特定及び所在捜査をめぐる問題

イ　実態把握をめぐる問題

ウ　取調べをめぐる問題

(２) 最近の来日外国人犯罪の動向 ･･････････････････････････････････････････････････････････45

ア　犯罪組織相互の連携

イ　国際犯罪組織の活動を支援する行為

ウ　国際犯罪組織と来日外国人の相互依存

エ　犯罪のグローバル化による困難性の増大

２　来日外国人犯罪対策の取組みの現状 ･･････････････････････････････････････････････････････46

(１) 国内関係機関との連携 ････････････････････････････････････････････････････････････････46

ア　水際における取締り

イ　その他の取組み

(２) 外国治安機関等との協力 ･･････････････････････････････････････････････････････････････47

ア ICPOを通じた捜査協力

イ　外国治安機関との協議

ウ　各国との刑事共助条約締結交渉

(３) 国外逃亡被疑者等の追跡 ･･････････････････････････････････････････････････････････････48

第５　統計からみる来日外国人犯罪の検挙状況

１　刑法犯検挙状況 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････49

(１) 罪種等別検挙状況 ････････････････････････････････････････････････････････････････････49

ア　包括罪種別検挙状況

イ　凶悪犯検挙状況

(ア) 罪種別検挙状況

(イ) 強盗事件検挙状況

ウ　窃盗犯検挙状況

エ　粗暴犯検挙状況

オ　知能犯検挙状況

カ　風俗犯検挙状況

キ　財産犯被害額

(２) 国籍等別検挙状況 ････････････････････････････････････････････････････････････････････53

ア　主要国籍等別検挙状況

(ア) 主要国籍等別罪種等別検挙状況

(イ) 主要国籍等別検挙状況の推移

イ　主要罪種等別・国籍等別検挙状況

(３) 共犯事件検挙状況 ････････････････････････････････････････････････････････････････････58

ア　共犯事件検挙状況

イ　共犯形態別検挙状況

ウ　主要罪種等別・共犯形態別検挙状況

(４) 在留資格別検挙状況 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････59

ア　在留資格別検挙状況

イ　罪種等別・正規滞在者・不法滞在者別検挙状況

(５) 発生地域（管区等）別検挙状況 ････････････････････････････････････････････････････････61

ア　発生地域（管区等）別検挙状況

イ　包括罪種等別検挙状況

ウ　強盗、侵入盗及び自動車盗の発生地域（管区等）別検挙状況の推移

２　特別法犯検挙状況 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････62

(１) 主要国籍等別・違反法令別検挙状況 ････････････････････････････････････････････････････62

(２) 在留資格別検挙状況 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････64

ア　在留資格別検挙状況

イ　違反法令別・正規滞在者・不法滞在者別検挙状況

(３) 入管法違反等の検挙状況 ･･････････････････････････････････････････････････････････････66

ア　入管法違反検挙状況

イ　国籍等別検挙状況

ウ　入管法第65条措置状況

エ　偽変造旅券等行使による不法入国の検挙状況

オ　集団密航事件の検挙状況

(４) 雇用関係事犯 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････68

ア　違反法令別検挙状況

イ　暴力団員及びブローカーの検挙状況

ウ　被雇用外国人の国籍等別状況

エ　被雇用外国人の在留資格別状況

(５) 売春事犯 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････････69

(６) 薬物事犯 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････････70

ア　薬物事犯の検挙状況

イ　薬物事犯の国籍等別検挙状況

３　少年犯罪 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････････････71

(１) 刑法犯検挙状況 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････71

ア　刑法犯検挙状況の推移

イ　包括罪種別検挙状況

ウ　国籍等別検挙状況

エ　主要国籍等別・主要手口等別検挙状況

オ　発生地域（管区等）別検挙状況

(２) 特別法犯検挙状況 ････････････････････････････････････････････････････････････････････73

ア　特別法犯検挙状況の推移

イ　違反法令別検挙状況

ウ　国籍等別検挙状況

４　国外逃亡被疑者等の状況 ････････････････････････････････････････････････････････････････74

(１) 国外逃亡被疑者等の推移 ･･････････････････････････････････････････････････････････････74

(２) 罪種等別の国外逃亡被疑者等数 ････････････････････････････････････････････････････････74

(３) 国籍等別の国外逃亡被疑者等数 ････････････････････････････････････････････････････････75

(４) 推定逃亡先国・地域別の国外逃亡被疑者等数 ････････････････････････････････････････････75

(５) 国外逃亡被疑者等の検挙状況 ･･････････････････････････････････････････････････････････75

(６) 国外犯処罰規定の適用状況 ････････････････････････････････････････････････････････････75

第６　主要検挙事件

１　犯罪のグローバル化対策対象事犯 ････････････････････････････････････････････････････････76

(１) グローバル化事犯

ア　世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透

イ　構成員の多国籍化

ウ　犯罪行為の世界的展開

(２) 犯罪インフラ事犯

ア　地下銀行

イ　偽装結婚

ウ　偽装認知

エ　旅券・外国人登録証明書等偽造

オ　不法就労助長事犯

カ　その他の犯罪インフラ事犯

(３) ヤード関連事犯

２　凶悪事件 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････････････87

(１) 殺人事件（強盗殺人を含む。）

(２) 強盗事件

３　窃盗事件 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････････････89

(１) 組織的侵入盗事件

(２) 組織的自動車盗事件

(３) すり

(４) その他の窃盗事件

４　カード犯罪 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････････90

５　その他の刑法犯 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････91

６　集団密航事件 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････････92

７　薬物事犯 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････････････93

(１) 密売・所持・使用事犯

(２) 密輸入事犯

(３) その他の薬物事犯等

８　その他の特別法犯 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････96

資　料 ････････････････････････････････････････････････････････････････････････････････････98

◎ 入国者の推移（法務省統計）

◎ 不法残留者数（法務省統計）

○ 在留資格別不法残留者数（H23.1.1現在）

○ 国籍等別不法残留者数（H23.1.1現在）

◎ 国籍・出身地別外国人登録者数の推移（法務省統計）

○ 在留資格別・国籍・出身地別外国人登録者の推移

◎ 来日外国人検挙状況（罪種等別／国籍・地域別／降順）

◎ 来日外国人検挙状況推移（刑法犯及び特別法犯／国籍・地域別）

◎ 来日外国人検挙状況推移（刑法犯／国籍・地域別）

◎ 来日外国人検挙状況推移（特別法犯／国籍・地域別）

◎ 来日外国人刑法犯の罪種・手口別検挙状況の推移

◎ 来日外国人窃盗犯の手口別検挙状況の推移

◎ 刑法犯認知件数及び来日外国人犯罪検挙の推移

- 1 -

第１　来日外国人犯罪をめぐる昨今の情勢等

来日外国人犯罪の総検挙件数・人員は、警察、入国管理局等における各種取組みもあり、過去数年減少

傾向にある。平成22年中の状況をみても前年に比べ、総検挙件数、人員ともに減少しているが、過去25年

間の長期的な検挙状況の推移（５年間ごとの平均値）をみると、直近の５年間は、前期と同様に高水準で

推移している。また、各年ごとの総検挙件数は、平成６年に２万件を超えて以来、２万件台から４万件台

で推移し、平成初期以前の１万件・5,000人以下の検挙水準を大きく超える状況が継続していることが分

かる。

この様に、最近の来日外国人犯罪を取り巻く情勢は、統計数値上の推移では減少傾向にあるものの、単

発的な犯罪が目立った平成初期の状況とは異なり、「犯罪のグローバル化」という大きな質的変化が生じ

ている。

犯罪のグローバル化により、現下の来日外国人犯罪情勢は、世界的規模で活動する犯罪組織の日本への

浸透、構成員の多国籍化、犯罪行為の世界的展開といった特徴が認められ、治安に対する重大な脅威とな

っている。

従来の来日外国人犯罪は、広域性・組織性・匿名性という特性を有しており、捜査に当たっては、実態

把握や取調べに困難を伴うものであったが、犯罪のグローバル化という新たな要素が加わったことで、そ

の困難性は一層高まっている。

さらに、犯罪のグローバル化のほか、国際犯罪組織と暴力団等が連携しての組織窃盗や支払用カード偽

造を敢行する事例のように組織構成の多様化が進行するとともに、地下銀行、偽装結婚、偽装認知等に加

え、不法在留等の来日外国人に対し日本人が住居斡旋をする事例、不法滞在者専用の大規模な地下タクシ

ーの事例のような、様々な形態の犯罪インフラ事犯が出現するなど、来日外国人犯罪を取り巻く情勢は、

一段と複雑、多様化を呈している。

また、来日外国人犯罪の動向を10年前(平成12年)と比較すると、

○ 国籍別の総検挙件数・人員は中国が最多の状況が継続し、ベトナム、フィリピン等の総検挙件数・

人員が増加

○ 罪種別では、凶悪犯及び窃盗犯の検挙件数・人員が減少する一方、粗暴犯の検挙件数・人員、知能

犯の検挙人員が増加

○ 在留資格別検挙人員は、正規滞在者の割合が増加し、特に、研修、留学の割合が増加

という特徴があり、中国人による犯罪が依然として最多を占める中、正規滞在者による犯罪が増加してい

る状況にある。

なお、平成22年の検挙状況を前年と比較すると、凶悪犯、窃盗犯、知能犯の検挙件数・人員が減少して

いる一方で、粗暴犯、風俗犯の検挙件数・人員は増加している状況にあるほか、犯罪インフラ事犯の検挙

状況では、旅券・外国人登録証明書等偽造、偽装認知事犯が減少、地下銀行、偽装結婚事犯が増加してい

る状況にある。

このような現下の厳しい状況に対処し、犯罪のグローバル化が将来の治安に対する「正面の脅威」とな

ることを防ぐため、平成22年２月10日に、警察庁次長を長とする「犯罪のグローバル化対策委員会」を設

置し、犯罪のグローバル化に対応する諸対策を総合的に推進するための体制を整備するとともに、同委員

会において、警察が当面取り組むべき施策を取りまとめた「犯罪のグローバル化に対応するための戦略プ

ラン」を策定し、諸対策を推進することとしたところである。

以下、来日外国人犯罪情勢について、その長期的・短期的推移のほか、来日外国人犯罪組織や犯罪イン

フラ事犯等の動向に関し、平成22年の事件検挙等を踏まえて概説する。

- 2 -

１　平成22年中の検挙状況の概要

(1) 総検挙状況

平成22年中の来日外国人犯罪（刑法犯及び特別法犯）の検挙件数・人員は、19,809件・11,858人で、

前年と比べると、件数で8,027件（28.8％）減少、人員で1,399人（10.6％）減少した。

刑法犯の検挙件数・人員は、14,025件・6,710人、特別法犯の検挙件数・人員は、5,784件・5,148

人で、前年と比べると、刑法犯検挙が6,536件(31.8％)、480人(6.7％)減少、特別法犯検挙が1,491件

(20.5％)、919人(15.1％)減少した。総検挙の推移をみると、検挙件数は平成17年を、検挙人員は平

成16年をそれぞれピークとして減少しているが、刑法犯検挙人員に占める来日外国人犯罪比率には変

化がないことが分かる。更に、来日外国人犯罪が顕著に増加する直前の平成２年と比較すると、検挙

件数が約3.1倍、検挙人員が約2.5倍となっている。

来日外国人　犯罪検挙　推移

刑法犯検挙に占める来日外国人犯罪比率の推移

(2) 国籍等別総検挙状況

平成22年中の来日外国人に係る国籍等別検挙状況は、中国が総検挙件数で7,231件（構成比36.5％）、

人員で4,657人（同39.3％）と、最多の状況が継続している。

- 3 -

来日外国人　国籍・地域別　検挙件数・人員

(3) 罪種等別検挙状況

ア　刑法犯

平成22年中の来日外国人による刑法犯検挙状況を包括罪種別にみると、前年に比べ、粗暴犯の検

○ 総検挙

○ 刑法犯

○ 特別法犯

- 4 -

挙件数及び風俗犯の検挙件数・人員が増加しているが、他の多くの罪種は減少している。特に、来

日外国人犯罪の大半を占める窃盗犯の検挙件数が、前年に比べ、5,976件（36.3％）減少している。

イ　特別法犯

平成22年中の来日外国人による特別法犯検挙状況を違反法令別にみると、前年に比べ、風適法違

反の検挙人員が増加した一方、入管法違反及び薬物事犯等は減少している。特に、入管法違反の検

挙は、前年に比べ、1,065件(22.5％)、861人(21.3％)減少している。

包括罪種別・主要違反法令等別　検挙件数・人員の比較

２　長期的な検挙状況の推移

(1) 来日外国人犯罪の総検挙件数・人員の推移

来日外国人犯罪の検挙状況の長期的な傾向をみるため、総検挙件数・人員の過去25年間の推移につ

いて、５年間ごとに年間平均を算出して比較した結果は以下のとおりである。直近の５年間（平成18

∼22年）の総検挙件数・人員の年間平均は、前期（平成13∼17年）を下回り前々期（平成８∼12年）

と同水準となっている。

来日外国人犯罪の総検挙状況（５年間平均）の推移

- 5 -

(2) 来日外国人の刑法犯検挙状況の推移

ア　刑法犯の検挙件数・人員の推移

来日外国人の刑法犯検挙状況の長期的な傾向をみるため、刑法犯検挙件数・人員及び刑法犯総検

挙に占める来日外国人検挙の割合に係る過去25年間の推移について、５年間ごとに年間平均を算出

して比較した結果は以下のとおりである。直近の５年間(平成18∼22年)の件数・人員の刑法犯総検

挙に占める割合の年間平均は、前期(平成13∼17年)を下回り前々期(平成８∼12年)と同水準となっ

ている。

来日外国人　刑法犯検挙状況（５年間平均）の推移

イ　凶悪犯及び窃盗犯の検挙件数・人員の推移

来日外国人の凶悪犯及び窃盗犯検挙状況の長期的な傾向をみるため、凶悪犯及び窃盗犯検挙件数

・人員の過去25年間の推移について、５年間ごとに年間平均を算出して比較した結果は以下のとお

りである。直近の５年間(平成18∼22年)の年間平均をみると、凶悪犯、窃盗犯とも、前期(平成13

年∼17年)を下回り前々期(平成８∼12年)と概ね同水準であるが、窃盗犯のうち、侵入盗の検挙件

数では、高止まり状態が続いている。

来日外国人　凶悪犯・窃盗犯検挙状況（５年間平均）の推移

(3) 来日外国人の特別法犯検挙状況の推移

来日外国人の特別法犯検挙状況の長期的な傾向をみるため、特別法犯検挙件数・人員の過去25年

間の推移について、５年間ごとに年間平均を算出して比較した結果は以下のとおりである。直近の

５年間（平成18∼22年）の年間平均は、前期（平成13∼17年）を下回り前々期（平成８∼12年）と

同水準となっている。

- 6 -

来日外国人　特別法犯検挙状況（５年間平均）の推移

３　昨今の特徴的な動向∼10年前（平成12年）との比較

平成22年の来日外国人犯罪の検挙状況を、10年前（平成12年）の状況と比較・分析することにより、

特徴的な動向を取りまとめた結果は以下のとおりである。

なお、10年前は、大都市圏を中心とした中国人グループによるピッキング用具使用の侵入窃盗事件が

著しく増加したほか、同侵入による緊縛強盗事件及びブラジル人グループによるスーパー・コンビニエ

ンスストア対象の強盗事件などの凶悪犯罪、変造韓国500ウォン硬貨使用による自動販売機ねらい事件、

スキミングによるクレジットカード偽造及び同カードを使用した詐欺事件、トルコ人グループによるチ

ェンジ・チェンジ盗などが多発したほか、組織的な地下銀行による海外不正送金事件、錠剤型薬物の大

量押収事件が検挙されるなど、来日外国人犯罪の組織化、悪質化、巧妙化が進展するとともに、犯罪の

地方への拡散化が顕著となるなど、来日外国人犯罪対策が治安対策上の重要課題の一つとして注目を集

めていた時期であった。

(1) 刑法犯

ア　国籍等別検挙状況の推移 ∼ 中国が最も多い状況は継続

平成22年中の国籍等別検挙状況について、10年前（平成12年）と比較すると、件数では、上位の

中国、ブラジル、韓国が減少しているが、コロンビアが約14.1倍、ベトナムが3.0倍に増加してい

る。人員では、中国、ブラジルは減少しているが、フィリピンが約1.9倍、ベトナムが約1.6倍、韓

国が約1.1倍と増加している。

主要国籍等別　刑法犯検挙件数　比較

主要国籍等別　刑法犯検挙人員　比較

- 7 -

イ　罪種等別検挙状況の推移 ∼ 知能犯の検挙人員、粗暴犯の検挙件数・人員、風俗犯の検挙件数

が増加

平成22年中の刑法犯の罪種等別検挙状況について、10年前（平成12年）と比較すると、凶悪犯に

ついては件数が約３割、人員が約４割減少している一方で、粗暴犯の検挙件数・人員とも約７割、

知能犯の検挙人員が約９割増加している。

刑法犯の包括罪種等別検挙状況を国籍等別にみると、粗暴犯の検挙件数・人員がほぼ各国で増加

しており、特に、ベトナムは、検挙件数・人員とも全包括罪種で増加している。検挙件数・人員が

最も多い中国は、凶悪犯、窃盗犯などの検挙件数・人員が減少したものの、粗暴犯、知能犯では検

挙件数・人員とも増加している。

主要罪種等別　刑法犯検挙状況　比較

包括罪種等別　国籍等別　刑法犯検挙状況　比較

ウ　共犯形態別検挙件数の推移 ∼ ベトナム人、ブラジル人の共犯事件の増加が顕著

平成22年中の来日外国人刑法犯検挙件数に占める共犯事件（２人組以上での犯行）の比率につい

て、10年前（平成12年）と比較すると、単独犯事件が減少し、２人組、４人組以上による犯行が増

加するなど、共犯事件の比率が増加している。国籍等別にみると、ベトナム、ブラジルで共犯事件

の占める割合が増加している。

共犯形態別　刑法犯検挙件数　比較

- 8 -

共犯形態別　主要国籍別　刑法犯検挙件数　比較

エ　在留資格別検挙人員の推移 ∼ 正規滞在者（特に「研修」、「留学」の在留資格者）が増加

平成22年中の在留資格別刑法犯検挙人員について、10年前（平成12年）と比較すると、不法滞在

者が約７割減少している一方で、正規滞在者が約３割増加するなど、正規滞在者の検挙人員が大幅

に増加している。刑法犯検挙人員に占める正規滞在者の割合も、10年前の74.7％から、平成22年に

は93.0％に増加している。

正規滞在者の内訳をみると、「研修」の在留資格者が10年前の約2.1倍、「留学」の在留資格者は

約1.7倍に増加するなど、これらの在留資格を有する者の検挙人員が増加する一方、「短期滞在」及

び「就学」などの在留資格者は減少している。

正規滞在者の在留資格別検挙人員について、国籍等別にみると、10年前、平成22年ともに「短期

滞在」、「留学」及び「就学」の在留資格は、中国、韓国が多く、「定住者」についてはブラジルが

最も多い。また、平成22年における「日本人の配偶者等」の在留資格者については、中国(479人)、

フィリピン(177人)、韓国(118人)の順となっている。

在留資格別　刑法犯検挙人員　比較

正規滞在者　在留資格別　刑法犯検挙人員　比較

オ　発生地域(管区等)別検挙件数の推移 ∼ 関東管区・中部管区の割合が増加、東京都は減少

平成22年中の刑法犯の検挙件数について発生地域別の状況を10年前（平成12年）と比較すると、

東京都の割合が減少している一方で、関東管区、中部管区の割合は増加している。

なお、発生地域別検挙状況を主要国籍等別にみると、中国については、関東管区、近畿管区、東

京都及び中部管区への集中が顕著であり、ブラジルについては、中部管区及び関東管区、ベトナム

については、関東管区及び中部管区への集中が顕著である。

- 9 -

発生地域(管区等)別　刑法犯検挙件数　比較

発生地域(管区等)別　主要国籍別　刑法犯検挙件数　比較

(2) 特別法犯

ア　国籍等別検挙状況の推移 ∼ 中国は件数・人員とも減少するも、割合は増加（最も多い状況は

継続）

平成22年中の国籍等別検挙状況について、10年前（平成12年）と比較すると、ベトナム、ブラジ

ル及びフィリピンが件数・人員ともに増加している一方で、中国、韓国及びタイなどでは件数・人

員とも減少しているが、中国が検挙件数・人員とも最多の状況は継続している。

主要国籍等別　特別法犯検挙件数　比較

主要国籍等別　特別法犯検挙人員　比較

イ　違反法令別検挙状況の推移 ∼ 入管法違反、薬物事犯は減少するも依然として多数を占める

平成22年中の特別法犯の違反法令別検挙状況について、10年前（平成12年）と比較すると、入管

法違反は件数・人員ともに約４割減少し、全検挙に占める割合も減少しているが、依然として多数

を占めている。風適法違反の件数・人員は件数が約３倍、人員が約５倍に増加している。

特別法犯の違反法令別検挙状況について国籍等別にみると、中国、韓国、フィリピン及びタイの

風適法違反が件数・人員とも増加、タイの売防法違反は件数・人員とも減少している。また、10年

前に上位国にあったイランに代わり、薬物事犯などの多いブラジルが上位国になっている。

- 10 -

違反法令別　特別法犯検挙状況　比較

違反法令別　国籍等別　特別法犯検挙状況　比較

ウ　在留資格別検挙人員の推移 ∼ 正規滞在者（特に「研修」、「留学」）が大幅に増加

平成22年中の在留資格別特別法犯検挙人員について、10年前（平成12年）と比較すると、不法滞

在者については約５割減少している一方で、正規滞在者については約２倍に増加するなど、正規滞

在者の検挙人員が大幅に増加している。また、特別法犯検挙人員に占める正規滞在者の割合は、10

年前の18.1％から、平成22年には46.7％に増加している。

正規滞在者の在留資格別検挙人員を10年前と比較すると、「研修」が７倍、「留学」が約6.4倍に

増加している一方、「興行」及び「短期滞在」などは減少している。また、国籍等別にみると、 10

年前、平成22年ともに「留学」、「就学」及び「研修」については中国、「短期滞在」については韓

国、「定住者」についてはブラジルが最も多い状況となっている。平成22年における「日本人の配

偶者等」の検挙人員については、中国(463人)、韓国(144人)、フィリピン(97人)の順となっている。

在留資格別　特別法犯検挙人員　比較

正規滞在者　在留資格別　特別法犯検挙人員　比較

- 11 -

第２　犯罪のグローバル化対策対象事犯等の現状と対策

１　グローバル化事犯

(1) グローバル化事犯の現状

ア　概要

航空機等の交通輸送手段の発達、インターネット・携帯電話等の情報通信網の普及、金融の自由

化等は、国民の生活を快適かつ便利にしている一方、これらは、国際犯罪組織による犯罪にも利活

用されているのが実態である。

最近の来日外国人犯罪は、総検挙件数では、平成17年（47,865件）、総検挙人員では、平成16年

（21,842人）をピークに減少傾向にあるものの、世界的規模で活動する国際犯罪組織が上記のよう

なツールを利活用しつつ、世界各地に拠点を分散させ、そのネットワークの中で、情報を収集し、

ターゲットを定めながら、相互に利益を求めて連携し、人の調達や役割分担を行い、世界中に巧妙

に構築されたインフラを踏み台に、世界的規模に及ぶ犯罪を敢行するなどの状況がみられる。

このように、今日の国際組織犯罪は、世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透、構成員の

多国籍化、犯罪行為の世界的展開といった、犯罪のグローバル化を急速に進めており、治安に対す

る重大な脅威となっている。

イ　実態

(ア)

世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透

a 実態

外国に本拠を置く国際犯罪組織が我が国に忍び寄っている状況は以前からみられたが、最近

では、世界的規模で犯罪を敢行する国際犯罪組織が、我が国に進出して犯罪を敢行するなど、

我が国を新たな標的としている状況がみられる。

検挙事例からみると、国際犯罪組織が世界的規模の犯罪を敢行する過程において、我が国に

おいて資金洗浄する事例、国際犯罪組織の構成員が我が国に入国し犯罪を敢行する事例等がみ

られる。

これらのケースは、犯行規模、犯行形態等において従前の国際犯罪の概念を超えるものであ

り、今後、より一層の対策の強化が必要となっている。

b 検挙状況

(ａ) 世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透事犯の検挙状況

平成22年中の世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透事犯の検挙件数､人員は､112

件、15人であった。

世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透事犯の検挙状況

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｂ) 世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透事犯の国籍等別検挙状況

国籍等別では、ウガンダ人が101件・１人、次いでナイジェリア人７件・６人などとなっ

ている。

- 12 -

世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透事犯の国籍等別検挙状況

注：外国人とは、我が国に在住する来日外国人、定着居住者（永住者、永住者の配偶者等、特別永住者）、在日

米軍関係者及び在留資格不明者をいう。

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

ｃ　代表的な検挙事例

○ 国際的武装強盗組織(ピンクパンサー)による宝石店を狙った強盗致傷事件(８月・警視庁)

平成19年６月、欧州や中東を始めとした世界各国の高級宝石店等を対象に犯行を重ねている、いわ

ゆるピンクパンサーと呼ばれる国際的武装強盗組織の構成員とみられる外国人の２人組が、東京都内

の貴金属店に客を装って侵入し、店員に対して催涙スプレーを吹き付け、店内に陳列されていた２億

8,000万円相当の貴金属を強取した強盗致傷事件が発生した。被疑者としてモンテネグロ国籍の男２

人を割り出したが、両名は、犯行後間もなく国外に逃亡していたことから、ＩＣＰＯ及び関係外国機

関と緊密に連携を図りながら捜査中のところ、被疑者の１人がスペインで身柄拘束されている事実が

判明した。このため、スペインに被疑者の身柄引渡請求を行い、平成22年８月13日、外交ルートによ

り、スペインから同人の身柄引渡しを受け、逮捕した。

本件では、中東系及び中南米系来日外国人が､被疑者に対し､国内での宿泊場所の提供やホテル､航

空券の手配等の支援活動を行っていたことが判明しており､世界的規模で犯罪を敢行する国際犯罪組

織の我が国への浸透と､これらを支援するネットワークが我が国に構築されていたことを示している。

○ ナイジェリア人らによるマネー・ローンダリング事件（９月・警視庁、埼玉、宮城）

平成20年10月ころ、アメリカ合衆国内の銀行にある某国立銀行名義の口座から、日本国内法人名義

で開設の複数の銀行口座に送金された合計約10億円について、これが米国内で詐取された犯罪収益に

よる金員であることを知りながら、各邦銀為替担当者から前記送金があった旨の連絡を受け、その送

金理由を聞かれた際、「建設機械を輸入した代金」等であると虚偽を申し向け、正当な振込送金であ

るかのように装って入金させ、引き出した事件で、平成22年９月１日、ナイジェリア人３人、ガーナ

人１人、日本人２人を組織的犯罪処罰法違反で逮捕した。

(イ) 構成員の多国籍化

a 実態

我が国で活動する国際犯罪組織は、国籍ごと又は出身地域ごとに結集したものが多数を占め

ていたが、最近では、日本人を含む複数の国籍の者が犯罪組織を形成し、それぞれの特性を活

かしつつ強盗、広域窃盗、詐欺、偽装結婚等の各種犯罪を敢行するなど、構成員の多国籍化が

みられる。

このような状況は、犯行形態の複雑・多様化、組織実態の不透明化を招き、来日外国人犯罪

捜査に更なる困難を来すことが危惧される。

b 検挙状況

(ａ) 構成員の多国籍化事犯の検挙状況

平成22年中の構成員の多国籍化事犯の検挙件数、人員は、1,556件、114人であった。

- 13 -

構成員の多国籍化事犯の検挙状況

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｂ) 構成員の多国籍化事犯の国籍等別検挙状況

国籍等別では、日本人が222件・43人で、外国人ではブラジル人が851件・17人、次いでコ

ロンビア人162件・６人、ペルー人142件・８人などとなっている。

構成員の多国籍化事犯の国籍等別検挙状況

注：外国人とは、我が国に在住する来日外国人、定着居住者（永住者、永住者の配偶者等、特別永住者）、在日

米軍関係者及び在留資格不明者をいう。

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

ｃ　代表的な検挙事例

○ 中国人らグループによる偽造クレジットカード使用の組織的な広域商品詐欺等事件（５月・埼玉、

警視庁、大阪）

平成21年ころから関東、中部及び近畿地区の大型家電量販店等を対象として偽造クレジットカード

を使用してノートパソコン等の家電製品を詐取した事件で、平成22年５月21日までに中国人５人、マ

レーシア人２人及び日本人15人を不正作出支払用カード電磁的記録供用、詐欺等で逮捕、うち日本人

首謀者を含む４人を組織的犯罪処罰法違反（組織的詐欺）で立件した。

また、盗品等保管で逮捕した中国人女性による偽装結婚が判明したことから、同女、夫役の日本人

及び仲介の中国人女性を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕した。

本件犯行グループは、多国籍（３か国の国籍）の者で構成されており、更に、長期在留資格を得る

ために偽装結婚するなど、犯罪組織が本邦で身分を偽装して不法に在留しながら犯行を敢行していた

状況がうかがわれる。

○ 暴力団組員及びナイジェリア人、ブラジル人等のグループによるワゴン車等対象の広域自動車盗事

件（８月・兵庫、和歌山、岡山、滋賀、山口、愛知、大阪）

平成20年９月ころから中部、近畿、中国、四国及び九州地区において発生したワゴン車等対象の広

域自動車盗事件で、平成22年８月までに、窃盗、窃盗幇助、盗品等有償譲受け及び盗品等運搬・保管

等で、ナイジェリア人16人、ブラジル人14人、ウガンダ人２人、カメルーン人２人、タンザニア人２

人、ガンビア人１人、パキスタン人１人、スリランカ１人及び暴力団組員を含む日本人24人を逮捕す

るとともに、５管区15府県に及ぶ自動車盗等合計1,068件（被害総額17億1,540万円）を解明した。こ

のグループは、首謀者であるナイジェリア人が、実行犯役にワゴン車等を窃取させ、兵庫、福岡及び

愛知県等に確保したヤードで盗難車両を隠匿、解体等し、コンテナで不正に国外（主にナイジェリア）

に輸出していた。

- 14 -

(ウ) 犯罪行為の世界的展開

a 実態

来日外国人犯罪では、犯行主体が単に来日外国人であるばかりでなく、犯行関連場所自体が

複数の国に及ぶなど犯罪行為の世界的展開が進行している。

検挙事例をみると、国際犯罪組織が国内及び海外に共犯者を置き、双方が連携しつつ国内を

対象とした犯罪を敢行する事例、海外における邦人誘拐事件において、身の代金振込先を始め

として関係国が複数に及ぶなど、世界的規模での捜査を必要とする事例等があり、犯罪行為が

世界的規模で展開することにより、今後、より一層捜査の困難性が高まることが懸念される。

b 検挙状況

(ａ) 犯罪行為の世界的展開事犯の検挙状況

平成22年中の犯罪行為の世界的展開事犯の検挙件数、人員は、380件、64人であった。

犯罪行為の世界的展開事犯の検挙状況

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｂ) 犯罪行為の世界的展開事犯の国籍等別検挙状況

国籍等別では、日本人が33件・33人で、外国人では中国人が197件・13人、次いでブラジ

ル人130件・４人、中国(台湾)人19件・12人などとなっている。

犯罪行為の世界的展開事犯の国籍等別検挙状況

注：外国人とは、我が国に在住する来日外国人、定着居住者（永住者、永住者の配偶者等、特別永住者）、在日

米軍関係者及び在留資格不明者をいう。

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

ｃ　代表的な検挙事例

○ 韓国人による貴金属対象強盗事件（２月・関係警察：警視庁）

平成21年12月、韓国人の男が、都内の貴金属店に事情を知らない日本人の女性を伴って入店し、店

員に対して指輪を提示させた上、これを奪い取った事件では、平成22年１月、台湾台北市内の貴金属

店において、同様の手口による指輪窃盗事件で防犯カメラに写っていた被疑者が日本における事件の

被疑者に酷似していたことから、同一犯による犯行の可能性が高まった。さらに、被疑者に酷似した

男は、台湾で盗難届の出ている旅券で韓国へ出国していることが判明した。そこで、日本、台湾及び

韓国の捜査当局が、防犯カメラの画像、被疑者の出入国状況に関する情報等の迅速な交換・共有を積

極的に行うなど、緊密な連携を図った結果、被疑者は、韓国人の男であることが判明した。

韓国警察では、同男の逮捕状を取り、所在捜査を実施し、平成22年２月、同男を日本における事件

について強盗罪、台湾における事件について窃盗罪等で逮捕した。

- 15 -

(2) 犯罪のグローバル化への対応

前述のように、国際組織犯罪は、様々な形態を示しつつ犯罪のグローバル化を進めているため、今

後、更に捜査活動が困難化し、我が国の治安に対する「正面の脅威」になるおそれがある。

こうした状況に対処するため、平成22年２月10日に、警察庁次長を長とする「犯罪のグローバル化

対策委員会」を設置し、犯罪のグローバル化に対応する諸対策を総合的に推進するための体制を整備

するとともに、同委員会において、「犯罪のグローバル化に対応するための戦略プラン」を策定し、

警察が当面取り組むべき施策を取りまとめたところである。

さらに、同年２月15日付けで、「犯罪のグローバル化対策室」を設置し、国際犯罪組織に係る事件

及びその実態について、犯罪のグローバル化に関する情報の収集、共有及び分析並びに都道府県警察

に対する指導、調整並びに外国捜査機関等との間の総合調整を図るとともに、分析結果を犯罪のグロ

ーバル化対策委員会幹事会連絡室に報告することとした。

犯罪のグローバル化に対応するためには、発生した事件の処理のみにとどまることなく、被疑者の

犯罪行為を直接又は間接に支援している人的ネットワーク、インフラ等を解明し、犯罪組織に有効な

打撃を与え、確実に解体していくことが必要である。

このため、犯罪のグローバル化を支えるネットワークを解明、解体するための都道府県警察の体制

を強化して、情報収集・分析能力を高め、犯罪のグローバル化に対する５つの柱

○ 国際犯罪組織とこれを支えるインフラ実態の解明を強化するため、情報収集体制を確立する

とともに、情報一元化のための部門横断的な仕組みを整備する

○ 収集・共有された情報を基に、国際犯罪組織の実態、資金や犯罪収益の移転状況等の解明を

推進するための分析作業を強化する

○ 都道府県警察の管轄や捜査担当部門を超える犯罪実態に的確に対処するため、組織横断的な

捜査体制の整備強化を一層進める

○ 水際対策を徹底するとともに、外国人集住コミュニティへの犯罪組織の浸透を防止するため

の諸対策を推進する

○ 外国捜査機関との連携を一段と強化し、グローバルな国際協力体制を構築する

を定め、対策を強化することとしている。

２　犯罪インフラ事犯（ヤード関連事犯については、次項に記載）

(1) 概要

来日外国人が我が国に不法入国あるいは不法滞在する手段を提供したり、来日外国人が不法に得

た現金・財物の送金・処分を代行するなどして助ける者や組織が存在している。

このように外国人の不法入国、不法滞在の定着又は来日外国人が犯罪を繰り返し行うことを助長

する基盤のことを「犯罪インフラ」と呼び、その構築に資する犯罪としては、地下銀行、偽装結婚、

偽装認知、旅券・外国人登録証明書等偽造及び不法就労助長のほか、住居斡旋、地下タクシー、携

帯電話不正取得等が挙げられ、これらの犯罪を「犯罪インフラ事犯」と呼んでいる。

また、偽装結婚、偽装認知及び不法就労助長には、相当数の日本人や定着居住者が深く関わって

おり、当該日本人や定着居住者が、外国人の不法入国、不法滞在等を助長する一方、不法滞在外国

人等を利用して利益を得る構図がみられる。

犯罪インフラ事犯は、平成22年中においても相当数の検挙事件があることから、国内に犯罪イン

フラが広まっていることがうかがわれる。

- 16 -

(2) 実態

ア　地下銀行

「地下銀行」は、銀行業を営む資格のない者が、報酬を得て国外送金を代行することなどを指し、

その行為は、銀行法等に抵触する。日本国内に滞在する不法滞在者等の外国人等が母国の家族等へ

の送金に利用したり、犯罪組織が日本で得た不法利益等の本国への送金に利用している。

不法滞在者等がこうした地下銀行を利用する理由は、正規金融機関等を利用する場合に比べ、身

元を知られる恐れがないこと、送金額に制限がないこと、手数料が安いこと、夜間、休日等いつで

も依頼を受けてくれること、迅速に本国への送金が可能であることなど、秘匿性、利便性が高いた

めとされている。また、これまで検挙した地下銀行利用の主たる送金先国としては、中国、インド

ネシア、韓国、フィリピン、タイ、ベトナム等が把握されている。

地下銀行は、ほとんどが同国人からの依頼により母国へ送金されていることから、国内はもとよ

り、母国に共犯者が存在していることが特徴である。経営者は、同国の送金依頼人が容易に立ち寄

れる、雑貨（物産）店、食品販売店、飲食店、ビデオ店等の店舗を隠れ蓑に地下銀行を運営してい

る場合が多い。

地下銀行の送金方法は、送金依頼金の先払い・後払い方式の違い、本国送金先への直接配達・銀

行振込方式の違いなどの相違があるものの、

? 送金の依頼を受ける

? 受け取り先国の仲間に?の内容を連絡する

? 受け取り先国の仲間が、あらかじめプールしてある資金の中から指定額を受取人に支払う

? 受取人が送金依頼人に対し、送金受領した旨を連絡する

? 送金依頼人は、国内地下銀行組織に対し依頼金額と手数料を加えた額を口座振込、又は、手

交により支払う（ただし、?時に送金依頼額を支払っていない場合）

という構造となっている。また、本国地下銀行(受取先国）のプール資金の補塡方法は、日本から

直接現金等を携行し運搬する方法、銀行送金する方法、両国間の商取引を利用する方法等が確認さ

れている。

最近の検挙事例では、衣料品等運搬業の外国人女性が航空機を利用しハンドキャリー方式で現金

を運搬していた事例、顧客から送金依頼を受けた現金を資金として日本で中古農機具を購入し本国

へ輸出していた事例等が挙げられ、プール資金の補塡方法が多様化、巧妙化している。

(ｱ) 地下銀行の検挙状況

平成22年中の地下銀行の検挙件数、人員は、19件、30人であった。

地下銀行の検挙状況

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｲ) 地下銀行の国籍等別検挙状況

国籍等別では、フィリピン人が11件・12人で最も多く、次いで、韓国人が３件・10人などと

なっている。

- 17 -

地下銀行の国籍等別検挙状況

注：外国人とは、我が国に在住する来日外国人、定着居住者（永住者、永住者の配偶者等、特別永住者）、在日

米軍関係者及び在留資格不明者をいう。

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｳ) 代表的な検挙事例

○ 韓国人による銀行法違反事件（３月・埼玉）

平成19年11月ころから平成22年３月ころまでの間、東北、関東、中部及び関西地区の各拠点におい

て、韓国人から送金依頼を受け、約600回にわたり約108億円を韓国へ不正送金していた事件で、３月

24日までに、韓国人４人を銀行法違反で逮捕し、うち短期滞在資格で入国していた２人を、不正送金

に際して日本から韓国へ現金を運んでいたとして入管法違反（資格外活動）で再逮捕した。この地下

銀行組織では、韓国人の不法残留者等から送金依頼を受けた現金を、通称「ポッタリ」と呼ばれる衣

料品等運搬業の韓国人女性がハンドキャリー方式により、航空機で韓国へ運んでいた。

○ ベトナム人による銀行法違反事件（３月・宮城、福島）

平成20年１月ころから平成21年10月ころまでの間、ベトナム人から送金依頼を受け、約30億円をベ

トナムへ不正送金していた事件で、平成22年３月４日までに、ベトナム人４人を銀行法違反で逮捕し

た。被疑者は、ベトナム人の顧客から送金依頼を受けた現金を特定の口座に集め、それを資金として

日本で中古農機具を購入しベトナムへ輸出することにより、現地でのプール資金を補塡していた。

イ　偽装結婚

「偽装結婚」は、「日本人の配偶者等」の在留資格等を得る目的で、日本人等との間で、婚姻の

意思がないのに市区町村に内容虚偽の婚姻届を提出することを指し、その行為は、電磁的公正証書

原本不実記録・同供用等に抵触する。偽装結婚は、偽造旅券を使用しての不法入国などのように検

挙される恐れのある方法に頼ることなく、来日外国人が正規の在留資格で入国し、滞在及び就労の

資格を取得するための主要な手口である。

偽装結婚には、国内外の悪質ブローカーや暴力団等が介在し、その資金獲得手段にもなっている。

具体的な方法としては、我が国に長期間滞在し就労することを希望する者や、現に日本に滞在中の

者で長期間の滞在と就労を希望する者からの依頼を受けたブローカー等の請負組織が、金銭困窮者、

ホームレス等の日本人を報酬の支払いを条件に勧誘し、偽装結婚を仲介・成立させるのが一般的で

ある。

最近の検挙事例では、日本人ブローカーが、パブコンサルタント業者を名乗り、不法残留の外国

人女性を偽装結婚させてパブへ派遣し、その女性の給料から斡旋料を差し引いていた事例、外国人

女性が、偽装結婚して日本人の配偶者等の資格が得られると、ブローカーは当事者を直ちに離婚さ

せ、夫役の日本人男性は、養子縁組で姓を変えた後、新たな外国人女性と偽装結婚を繰り返してい

た事例等が挙げられ、犯行手口が悪質、巧妙化している。

- 18 -

(ｱ) 偽装結婚の検挙状況

平成22年中の偽装結婚の検挙件数、人員は、153件、471人であった。

偽装結婚の検挙状況

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｲ) 偽装結婚の国籍等別検挙状況

国籍別では、日本人が62件・269人、外国人では中国人が46件・90人で最も多く、次いでフィ

リピン人が19件・54人、韓国人が19件・41人であった。

偽装結婚の国籍等別検挙状況

注：外国人とは、我が国に在住する来日外国人、定着居住者（永住者、永住者の配偶者等、特別永住者）、在日

米軍関係者及び在留資格不明者をいう。

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｳ) 代表的な検挙事例

○ フィリピン人らによる偽装結婚事件（２月・静岡）

フィリピンパブ経営者がフィリピン人女性を日本で稼働させるため、同女と日本人男性を偽装結婚

させた事件で、２月10日までに、偽装結婚を斡旋していたブローカーの日本人男性３人、当事者のフ

ィリピン人女性３人及び日本人男性３人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕した。ブロー

カーの被疑者は、パブコンサルタント業者を名乗り、日本で長期就労を希望する不法残留のフィリピ

ン女性に、借金を有する労務者・浮浪者を斡旋して偽装結婚させ、同女らをパブに派遣していた。

○ 中国人らによる偽装結婚事件（12月・千葉、警視庁）

中国人女性が、就労を目的として長期在留資格を得るため偽装結婚していた事件で、12月８日まで

に、組織的に偽装結婚を斡旋していた暴力団幹部を含むブローカー及び当事者らの日本人13人、中国

人16人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用等で逮捕した。ブローカーの被疑者は、偽装結婚させ

た中国人女性に日本人の配偶者等の資格が得られると直ちに離婚させ、夫役の日本人被疑者は、養子

縁組で姓を変えた後、新たな中国人女性と偽装結婚を繰り返すなどしていた。

ウ　偽装認知

「偽装認知」は、不法滞在の外国人女性等が、外国人男性等との間に出生した子に日本国籍を取

得させることにより、自らも在留資格を取得する目的で、市区町村に虚偽の認知届(及び出生届)を

提出することを指し、その行為は、公正証書原本不実記載・同行使、電磁的公正証書原本不実記録

・同供用に抵触する。平成21年１月に改正国籍法が施行され、日本国民から認知された子について

は父母が婚姻しない場合であっても届出により日本国籍の取得が可能となっており、今後、組織的

に虚偽の認知届出を行う事案の増加が懸念される。

- 19 -

最近の検挙事例では、パブコンサルタント業者が組織的に外国人女性に偽装結婚及び偽装認知を

斡旋してパブで働かせていた事例、外国人との間に出生した子を日本人との間に出生した子として

内容虚偽の認知届を提出後、法務局に対し国籍取得届を提出した国籍法違反の事例等が挙げられる。

(ｱ) 偽装認知の検挙状況

平成22年中の偽装認知の検挙件数・人員は、10件・28人であった。

偽装認知の検挙状況

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｲ) 偽装認知の国籍等別検挙状況

国籍別では、日本人が４件・16人、外国人では、フィリピン人が４件・６人で最も多く、次

いでタイ人が２件・２人などとなっている。

偽装認知の国籍等別検挙状況

注：外国人とは、我が国に在住する来日外国人、定着居住者（永住者、永住者の配偶者等、特別永住者）、在日

米軍関係者及び在留資格不明者をいう。

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｳ) 代表的な検挙事例

○ フィリピン人らによる偽装認知事件（３月・静岡）

平成21年４月９日、フィリピン人女性が、日本人（所在不明）との間に生まれた子供に日本国籍を

取得させる目的で、別の日本人男性との間に生まれた子供として市役所に認知届を提出した事件で、

平成22年３月15日、フィリピン人女性１人、日本人男性１人及びブローカーの日本人男性２人を電磁

的公正証書原本不実記録・同行使で検挙した。ブローカーは、パブコンサルタント業者を名乗り、日

本で長期就労を希望するフィリピン人女性を対象とし、組織的に偽装結婚、偽装認知を斡旋し、同女

をホステスとしてパブに派遣するなどしていた。

○ タイ人らによる偽装認知、国籍法違反事件（７月・山梨）

平成21年５月11日、タイ人女性が、日本人男性との間にできた子供に日本国籍を取得させる目的で、

別の日本人男性との間にできた子供として市役所に認知届を提出し、同年９月４日、法務局に国籍取

得届を提出するなどした事件で、平成22年７月23日までにタイ人女性１人、日本人男性１人を電磁的

公正証書原本不実記録・同供用、国籍法違反で検挙した。

エ　旅券・外国人登録証明書等偽造

「旅券・外国人登録証明書等偽造」は、外国人が不法に出入国し、あるいは、正規滞在者、運転

資格保持者、就労資格保持者等を装う目的で、旅券、外国人登録証明書、運転免許証、その他の身

分証明書等を偽造し、又は行使することを指し、その行為は、有印公文書（私文書）偽造等に抵触

- 20 -

する。外国人登録証明書は、我が国において身分証明書として利用される場合が多く、不法滞在者

が、偽造外国人登録証明書等を用いて銀行口座を開設する事例もみられる。旅券等の偽・変造工場

は、本邦内にも存在しており、マンションやアパートの一室が活用されている。

最近の検挙事例では、行政書士がペーパーカンパニーを悪用して内容虚偽の在職証明書等を作成

し、外国人登録の変更等を代理申請した事例、、ヤードを経営する日本人社長が同所に出入りする

ロシア人に外国人登録証明書を取得させるため、市役所へ内容虚偽の申請をした事例、また、中国

人が本国の偽造組織から偽造の外国人登録証明書、旅券等を国際郵便で入手しようとした事例等が

挙げられる。

(ｱ) 旅券・外国人登録証明書等偽造の検挙状況

平成22年中の旅券・外国人登録証明書等偽造の検挙件数・人員は、66件・88人であった。

旅券・外国人登録証明書等偽造の検挙状況

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｲ) 旅券・外国人登録証明書等偽造の国籍等別検挙状況

国籍別では、中国人が47件・51人で最も多く、次いでペルー人が５件・７人であり、旅券・

外国人登録証明書等偽造の大半が中国人により敢行されている。

旅券・外国人登録証明書等偽造の国籍等別検挙状況

注：外国人とは、我が国に在住する来日外国人、定着居住者（永住者、永住者の配偶者等、特別永住者）、在日

米軍関係者及び在留資格不明者をいう。

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｳ) 各種証明書等偽造の検挙件数の状況

平成22年中における各種証明書等偽造事件66件のうち、主たる偽造対象となった証明書別の

検挙件数をみると、外国人登録証明書が44件と最も多く、次いで旅券等が８件、運転免許証が

３件となっている。

各種証明書等偽造の検挙件数の状況

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

(ｴ) 代表的な検挙事例

○ 行政書士らによる公正証書原本不実記載・同行使等事件（１月・警視庁）

- 21 -

中国人の在留期間更新許可を得るため、行政書士らが、中国人を同人らが設立したペーパーカンパ

ニーで雇用している旨の内容虚偽の在職証明書、雇用契約書等を作成、代理申請していた事件で、１

月10日までに行政書士を含む日本人２人、中国人３人を公正証書原本不実記載・同行使、入管法違反

等で逮捕した。ブローカーは、中国人向け新聞やインターネットに「在留資格変更等の相談にのる」

旨の広告を掲載して外国人顧客を募り、報酬として在留期間等に応じ５万円から80万円を得ていた。

○ ロシア人らによる公正証書原本不実記載・同行使等事件（８月・新潟）

３月17日、ロシア人が別人になりすまして、市役所に対して内容虚偽の外国人登録申請書等を提出

した事件で、６月３日までにヤード経営の日本人１人、中古タイヤ買付業者のロシア人１人を公正証

書原本不実記載・同行使で逮捕した。また、日本人が経営するヤードには数名のロシア人が出入りし

ており、後日、同ヤードに対する捜索の結果、同所に寝泊まりしていたロシア人３人を盗品等保管罪

で逮捕するとともに、日本人経営者が貸主の土地所有者の承諾を得ないまま、同所をロシア人が使用

する車両の保管場所とする内容虚偽の車両保管使用場所承諾書を警察署に提出していたことなどが判

明したため、日本人経営者を有印私文書偽造・同行使で再逮捕した。

オ　不法就労助長

「不法就労助長」とは、就労資格のない来日外国人を不法に就労させ、又は不法就労を斡旋等す

ることなどを指し、その行為は、入管法、職業安定法、労働者派遣法、労働基準法等に抵触する。

安価な労働力の確保を求める国内の各種事業者やこれを仲介して利益を得るブローカーが行う犯罪

であるが、不法就労者は、不法滞在、又は短期滞在等の就労の認められない在留資格で在留し、工

場や建設現場、女性は飲食店等で稼働している例が一般的である。

最近の検挙事例では、パブ経営者が、フィリピン女性をペーパーカンパニーのウェブデザイナー

として「企業内転勤」の資格で入国させ、パブのホステス等として稼働させていた事例、職業紹介

所の経営者が不法残留の韓国人女性を飲食店に紹介し稼働させていた事例等が挙げられる。

(ｱ) 不法就労助長の検挙状況

平成22年中の不法就労助長の検挙件数・人員は、365件・400人であった。

不法就労助長の検挙状況

注：警察庁（保安課）の集計

(ｲ) 不法就労助長の国籍等別検挙状況

国籍別では、日本人が227件・263人で、外国人では韓国人が72件・67人で最も多く、次いで

中国人が40件・44人、フィリピン人が10件・11人などとなっている。

不法就労助長の国籍等別検挙状況

注：外国人とは、我が国に在住する来日外国人、定着居住者（永住者、永住者の配偶者等、特別永住者）、在日

米軍関係者及び在留資格不明者をいう。

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

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(ｳ) 代表的な検挙事例

○ 飲食店における韓国人雇用事件（３月・奈良）

韓国籍から帰化し飲食店を経営する女性が、平成21年４月から５月までの間、大阪市淀川区所在の

飲食店において、短期滞在の在留資格で入国し在留期間を経過した不法残留の韓国人女性を雇用して

いた事件で、平成22年３月までに雇用者である飲食店経営者の女性を入管法違反（不法就労助長）、被

雇用者である韓国人女性を同法違反（不法残留）及び同店に韓国人女性を斡旋した職業紹介所経営の

韓国人女性を同法違反（不法就労斡旋）で逮捕するとともに、日本人男性との偽装結婚を企図してい

た被雇用者及び斡旋者の韓国人女性を外登法違反（虚偽申請）で逮捕した。

○ フィリピンパブ経営者らによる集団密航斡旋、不法就労助長事件（５月・神奈川）

フィリピンパブを経営する日本人男性らが、フィリピン人男女４人にペーパーカンパニーのウェブ

デザイナーを装わせて日本に転勤させ、平成18年８月22日から平成22年５月12日までの間、同男女４

人を「企業内転勤」の資格で、フィリピンパブにおいて、ホステス等として働かせていた事件で、５

月までに同店経営者の日本人男性１人及びその妻のフィリピン人１人を入管法違反（不法就労助長、

集団密航斡旋）、日本人男性１人を同法違反（不法就労助長）、従業員のフィリピン人４人を同法違反

（資格外活動）で逮捕等した。

カ　その他の犯罪インフラ事犯

以上の５類型の犯罪インフラ事犯のほか、犯罪インフラの構築に資するとして、過去に検挙され

た事件には、下記のような形態がある。

○ 地下タクシー(外国人専用の白タク業者）

不法入国者、不法滞在者等を顧客として、許可なく一般旅客自動車運送事業を行う行為は、

道路運送法等に抵触する。

不法滞在者は警察等の摘発等を逃れるために極力徒歩で外出しないなど普段の移動手段には

細心の注意を払っているが、これら不法滞在者を顧客として白タク行為を反復継続して利益を

得ていた事例がある。

○ 携帯電話不正取得

電磁的記録を不正に作出することなどにより、外国人に対して、携帯電話を取得させる行為

は、電磁的記録不正作出・同供用、電子計算機使用詐欺等に抵触する。

不正取得された携帯電話は、不法滞在者が各種犯罪を敢行することなどに利用されている。

また、これまでの検挙事例では、携帯電話販売店に勤務する外国人が、他人の身分証明書を

用いて多数の携帯電話を不正取得し、別の外国人に転売後、不法滞在者等に販売されていた例

もある。

○ 住居等斡旋

「住居等斡旋」は、本人名義でアパート等を賃借することが難しい不法滞在者等に代わり、

日本人等の契約者を仕立てて違法に賃貸借契約を締結し、不法滞在者等に住居等を斡旋するこ

とであり、その行為は、偽造有印私文書行使等に抵触する。

住居の斡旋を受けた外国人の大部分は、不法滞在者等であり、これまでの検挙事例では、窃

盗組織や覚醒剤密売組織構成員が、アジトとして活用していた例もある。

- 23 -

３　ヤード関連事犯

(1) ヤードの実態

ヤード（周囲が鉄壁等で囲まれた作業所等であって、海外への輸出等を目的として、自動車等の

保管・解体、コンテナ詰め等の作業のために使用していると認められる施設の警察における通称で

ある。）については、平成22年12月２日現在で、全国に約1,800か所が所在し、そのうち外国人が関

与していると認められるものが約1,500件あり、その一部は、これまで盗難車両の解体・不正輸出の

拠点、不法滞在外国人等の稼働・居住場所、薬物の使用・隠匿場所として利用されるなど、犯罪の

グローバル化の温床となっていることが懸念されている。

(2) ヤード対策

平成22年６月、全国に所在するヤードの実態把握と取締りの推進を目的に、全国的なヤード対策

を実施し、同月22日には、全国警察一斉によるヤードへの捜索・立ち入りを実施したほか、同年９

月から11月までの３ヶ月間をヤードの実態把握・解明強化期間として全国的な取組みを図るなど、

犯罪のグローバル化対策の一環として、継続的なヤード対策を推進し、違法あるいは犯罪の温床と

なっているヤードに対してはその検挙・壊滅を、適正なヤードに対しては防犯・行政指導等による

適正の確保に努めているところである。

(3) ヤード関連事犯の検挙状況

ア　ヤード関連事犯の検挙状況

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

イ　ヤード関連事犯の国籍等別検挙人員

注：警察庁（国際捜査管理官）の集計

ウ　代表的な検挙事例

○ ベトナム人らグループによる重機等対象の連続自動車盗等事件（９月・福岡）

５月ころから福岡・佐賀県内において発生した重機等対象の連続自動車盗等事件で、９月までに窃

- 24 -

盗、詐欺等で、ベトナム人１人、中国人１人、日本人２人を逮捕した。この組織では、盗難プレート

を装着した盗難トレーラーを用いて油圧式パワーショベルを窃取し、福岡県筑紫野市所在のヤードへ

搬送し、同所で解体後、ベトナムへ不正に輸出していた。

○ ナイジェリア人らグループによる盗難自動車不正輸出事件（９月・兵庫）

ナイジェリア人らグループから盗難ワゴン車等を買い受けていたヤード経営者が、貿易会社の社長

等と結託し、現地での関税を免れるため、輸出貨物量を過少申告して盗難自動車の部品を不正にナイ

ジェリアに輸出していた事件で、ヤード経営者等のナイジェリア２人、貿易会社の社長等日本人２人

を有価証券虚偽記入で逮捕した。

○ タイ人らによる出入国管理及び難民認定法違反事件（10月・栃木）

10月４日、県内のヤードに対する古物営業法に基づく立ち入りにより、稼働していたタイ人１人を

入管法違反（不法残留）で逮捕するとともに、経営者の日本人１人を入管法違反（不法就労助長）で

逮捕した。

４　不法入国・不法滞在者の実態

(1) 不法滞在者の状況

平成23年１月１日現在の不法残留者数は７万8,488人であり、このほか相当数の不法入国者が日

本国内に存在していると見られており、これを合わせた不法滞在者は約９万から10万人いると推計

されている。

不法残留者数は、不法滞在者５年半減計画が開始された平成16年年初の21万9,418人から64.2％

（14万930人）減少したことになる。

不法残留者の推移

※ 法務省入国管理局の統計による。

(2) 検挙等の状況からみる不法入国、不法滞在の特徴

○ 入国管理局及び警察の取締り強化に対し、不法滞在者や不法滞在者雇用主等が警戒感を強めて

おり、不法滞在者の潜在化、居住・稼働の小口・分散化、地方拡散化傾向が顕著となっている。

○ 密航者出身国や我が国の水際対策の強化により、集団密航が減少・散発化しており、密航方法

も船舶から航空機に移行し人数も小口化している。

○ 入国目的の偽装（「人文知識・国際業務」、「技術」、「家族滞在」等の査証）、偽造旅券での不

法入国事案、偽装結婚による「日本人の配偶者等」の資格の取得等正規滞在を偽装する事案、退

去強制歴のある外国人が、入国審査時の指紋照合等の審査に備え、ブローカー等の介在により指

紋を変造して審査をくぐり抜けようとする事案等、不正な入国・滞在の手口が巧妙化している。

- 25 -

(3) 代表的な検挙事例

○ フィリピン人らグループによる組織的な不法入国事件（４月・警視庁、広島、茨城）

フィリピン人ブローカーが日本人ブローカーと結託し、実在する日本人の戸籍を悪用して、フィリ

ピン人に日系人を装わせ、他人名義の偽造旅券で入国させるなどしていた事件で、４月15日までに、

ブローカー、不法入国者等のフィリピン人15人、日本人５人を入管法違反（不法入国援助、不法在留、

同幇助）等で逮捕した。また、入国後、ＮＰＯ法人を装った国内ブローカー組織が定住者等の在留資

格を取得させるなどして、不法入国者から入国手数料として200万円、在留更新手数料として約30万円

を受け取っていた。

○ 韓国人ブローカーによる集団密航助長事件（６月・警視庁、千葉、長崎）

韓国人のブローカーが、韓国と九州の間で小型ボート等を利用して韓国人等を集団密航させていた

事件で、６月18日までに、韓国人ブローカー、船長ら４人、不法出国者の韓国人７人及び不法入国者

の韓国人５人、イラン人１人を入管法違反（不法入国、不法出国）、同法違反幇助（不法出国幇助）で、

それぞれ逮捕した。ブローカーは、雑誌、インターネット等を利用して、日本・韓国間における密航

希望者を募り、九州北部の海岸（岸壁）等に船舶を接岸、韓国人を不法に出入国させ、密航手数料等

として１人あたり70万円から100万円を得ていた。

５　外国人集住コミュニティへの犯罪組織等の浸透防止

(1) 外国人集住コミュニティの形成

我が国では、平成２年６月の出入国管理及び難民認定法の改正により、就業制限のない「定住者」

資格が創設されたことを契機として、ブラジルを始めとする南米の日系人及びその子弟等が多数在

留することとなった。これらの外国人が製造業等が集積する同一地域に居住を始め、その後、同国

人を対象とする飲食店、食材店、外国人学校等が進出するなどして、一定の地域に外国人集住コミ

ュニティが形成されている。

(2) 取組みの必要性

外国人が多く集住するコミュニティにおいては、言語や生活習慣の相違等から、定住外国人と日

本人とのコミュニケーションが希薄になり、日常生活上のトラブルが発生しやすいほか、定住外国

人が、地域の安全に関する情報を入手し難いという状況がみられる。

このような状況等から、定住外国人が、日本社会に適応できず、犯罪に手を染めたり、逆に、犯

罪や事故に巻き込まれたりするとともに、国際犯罪組織が外国人集住コミュニティに浸透するおそ

れがある。

警察では、定住外国人の日本での円滑な日常生活を営むために必要な能力を高めてもらうことな

どを目的に、外国人集住コミュニティの住民や外国人集住コミュニティをその地域内に有する関係

機関・団体等との連携を図りながら、外国人集住コミュニティに対する防犯教室や交通安全教室等

の各種警察活動を積極的に推進し、外国人集住コミュニティへの犯罪組織等の浸透防止等を図って

いる。

各種警察活動の実施は、日本語能力等定住外国人が我が国で円滑な日常生活を営むために必要な

能力を高めることや日本社会に適切に受け入れられるという意識の醸成に効果があると認められる

- 26 -

ほか、定住外国人に日本社会で生活する住民としての自覚を促し、日本社会からのドロップアウト

を防止し、現在又は将来において犯罪に走らせないことにつながるものと期待される。

(3) 警察における取組み状況

上記の観点から、関係都道府県警察において、

・　防犯講話、外国人自警団との防犯パトロール等の各種防犯活動

・　少年非行防止教室、少年健全育成活動(柔道教室、フットサル大会)等の少年非行防止対策

・　交通安全教室等の交通事故防止対策

・　日系外国人の雇用による各種対策の実施

・　少年補導員、地域安全推進員、交通安全教育指導員の委嘱等のリーダー養成活動

・　犯罪実態情報等の提供

等の外国人集住コミュニティ対策が推進されている。

(4) 外国人集住地域総合対策モデル事業

平成22年度、23年度の２か年計画で、定住外国人の実態把握、警察安全相談の充実、定住外国人

を中心とした自主防犯活動の育成・支援するため茨城県常総警察署、群馬県大泉警察署をモデル事

業実施警察署に指定し、

・　定住外国人等による自主防犯活動への支援

・　外国人集住地域等における巡回連絡

・　定住外国人に対する警察安全相談の充実

・　コミュニティリーダーの委嘱

・　意見交換会の開催

を内容とする活動を実施している。

- 27 -

第３　検挙事例等からみる来日外国人犯罪組織等の動向

１　昨今の特徴的な動向

(1) 来日中国人犯罪組織等の動向

ア　概要

平成21年末現在の中国人の外国人登録者数は680,518人であり、これを国籍別に比較すると、平

成19年末に韓国・朝鮮人を抜き、最も多い状態が続いている。在留資格別では永住者156,295人、

留学94,355人、特定活動90,030人、日本人の配偶者等56,510人、研修50,487人等となっている（法

務省入国管理局の統計による。）。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、中国は、刑法犯、特別法犯を合わせた総

検挙件数の36.5％、総検挙人員の39.3％、また、刑法犯検挙件数の37.4％、刑法犯検挙人員の40.8

％を占め、他の国籍の外国人と比較して、最も高い割合を占めている。さらに、過去10年間（平成

13年から平成22年まで）でも、総検挙人員に占める中国人の割合は、一貫して４割程度を維持して

いる。

イ　犯罪の態様

(ｱ) 罪種別内訳

来日中国人の刑法犯主要罪種別検挙件数が来日外国人全体の件数に占める割合は、以下のとお

りであるが、国民の体感治安に大きな影響を及ぼす侵入窃盗の検挙件数の58.4％を中国が占めて

いる。このほか、払出盗及び支払用カード偽造（刑法に規定する支払用カード電磁的記録に関す

る罪）については、検挙件数のそれぞれ80.0％、75.3％を中国が占めている。

なお、10年前(平成12年)からの刑法犯検挙人員の推移をみると、凶悪犯が10年前の半分以下、

平成15年のピーク時に比べて約７割減少している一方で、知能犯は10年前の約1.8倍に増加して

いる。

来日中国人　刑法犯主要罪種別　検挙件数

来日中国人　刑法犯主要罪種別　検挙状況　推移

- 28 -

(ｲ) 共犯事件の比率

来日中国人の刑法犯検挙件数の50.5％が共犯事件であり、前年と比較すると22.5ポイント減少

している。

来日中国人　共犯形態別　刑法犯検挙件数　比較

ウ　犯罪者の実態等

(ｱ) 在留資格別検挙状況

来日中国人の刑法犯検挙人員を在留資格別にみると次表のとおりであるが、留学（構成比20.0

％）が最も多く、次いで、日本人の配偶者等（同17.5％）、研修（同13.4％）が多い状況となっ

ている。

来日中国人　在留資格別　刑法犯検挙人員　比較

(ｲ) 犯罪に及ぶ経緯等

中国人については、留･就学生（「留学」・「就学」資格）、研修生（「研修」資格）及び団体観

光旅行者等（「短期滞在」資格）として入国する形態が多くみられる。

中国人が来日する動機には、金銭獲得を目的とする場合も多く、留・就学先を退学、研修先か

ら失踪するなどし、日常生活に有用な各種犯罪インフラを活用しながら、来日に伴う借金返済や

家族への仕送りなどに必要な資金獲得のために、不法滞在や不法就労を続ける者も少なくない。

その間、稼働先やディスコ、インターネットカフェ等で知り合った者に誘われるなどして、中

国人犯罪組織に加入し、強･窃盗、偽造犯罪等を敢行する例がみられる。また、当初から中国人

犯罪組織構成員が留・就学等の在留資格を偽装して入国する実態もうかがえる。

(ｳ) 日本人犯罪者（暴力団等）とのつながり

中国人犯罪組織は、福建グループ、上海グループ、東北グループ等の同一地域出身者で構成さ

れる場合が多いが、最近では、出身地域や国籍が混在した組織もみられるほか、中国残留孤児の

２世、３世を中心に構成されるチャイニーズ怒羅権（ドラゴン）等の組織も存在し、殺人、強・

窃盗、各種偽造事犯、薬物事犯等の犯罪を組織的に敢行している。この中では、特に福建グルー

プの組織が大きく、活動が活発とされる。これらの組織は、歓楽街等で暴力団と共生しているこ

ともあり、中国人経営の店舗等からみかじめ料を徴すなどして、組織運営に当てているとみられ

るほか、これに従わない店舗に対し嫌がらせをしていた例もある。また、暴力団組員が中国人ら

と結託の上、連続して強盗を敢行していた事例、中国人ブローカーと暴力団組員が結託して長期

滞在資格の取得を望む中国人女性と日本人男性との偽装結婚を仲介した事例、中国人が実行犯、

暴力団組員が運転手と役割分担して広域的な空き巣を敢行していた事例、中国人がクレジットカ

ードの偽造、運搬、商品処分役、暴力団幹部を含む日本人等が買い子役という犯行グループを形

成して広域的な商品詐欺等を行っていた事例等、中国人犯罪組織と暴力団が緊密に連携している

状況がみられる。

- 29 -

エ　特徴的な動向

中国人犯罪組織は、地縁、血縁を利用したり、稼働先の同僚等を誘い込むなどしてグループを形

成し、明確な役割分担の下に犯罪を敢行する場合が多く、他の国籍者や暴力団との結託も認められ

る。最近は、警察の取締りに対する防衛策を講じるためか、離合集散化や拠点の分散化を図るとと

もに、仲間同士でも本名を名乗らないなど匿名性、潜在性を高めている。

これらの犯罪組織は、主として首都圏等のマンション、アパート等に拠点を置くことが多い。

オ　代表的な検挙事例

(ｱ) 強盗

平成22年中の来日中国人による強盗の検挙件数は39件で、前年に比べ14件(56.0％)増加し、来

日外国人による強盗の35.1％を占める。内訳は、侵入強盗の割合が51.3％（20件）となっている。

強盗の犯行形態として、

・　事前に資産家の情報を入手し仲間を募り犯行に及ぶ

・　キャッシュカードを強奪した場合は、即時、ＡＴＭで引き下ろす

など、一層の巧妙化が指摘できる。

○ 中国人グループによる刃物使用緊縛強盗傷人、窃盗等事件（６月・警視庁）

平成21年７月21日、江戸川区内のマンションに２人組の男が押し入り、日本人夫妻を刃物で切り付

けるなどの傷害を負わせ、粘着テープ等で両名を緊縛して現金、キャッシュカード等を強取した後、

コンビニエンスストア等のＡＴＭで現金300万円を引き出し、その現金を中国国内に開設された銀行口

座に送金していた事件で、平成22年６月30日までに中国人２人を強盗傷人、窃盗等で逮捕した。

(ｲ) 侵入盗

平成22年中の来日外国人による窃盗の検挙件数の35.7％が中国であり、侵入盗では検挙件数の

58.4％、非侵入盗では検挙件数の27.0％を中国が占めている。最近の犯行形態の特徴として、

・　運転役、見張り役、実行役、盗品処分役など役割分担し、携帯電話で緊密に連絡を取り合い

ながら実行する。

・　土地鑑に明るく職務質問に耐え得る、また、預金操作に長け、店員に怪しまれないなどの利

点から日本人を運転手又は払出役とする。

・　現金だけでなく、貴金属、ブランド品、キャッシュカード等を窃取し、盗品の換金処分や払

出盗を行う。

・　侵入手口としてサムターン回し、ピッキング等のほか、こじ破り、焼き破り等、日本人と同

様の手口でも敢行する。

等の事例がみられる。

○ 中国人らグループによるマンション等対象のサムターン回し等による広域組織窃盗事件（６月・千

葉、警視庁、熊本、鹿児島、岐阜、高知、石川、広島）

平成13年３月ころから関東以西の地域において発生した、サムターン回し等の侵入手口によるマン

ション等対象の空き巣事件、ドラッグストア対象の化粧品等を大量に窃取する万引き事件で、平成22

年６月30日までに、中国人36人、日本人５人を窃盗で逮捕するとともに、５管区１都１道16県に及ぶ

空き巣、払出盗、車上ねらい、万引き等合計717件（被害総額約１億8,000万円）を解明した。この窃

盗組織は、中国人の首謀者の下に数グループを構成し、各グループごとに指示役のリーダー、実行犯、

運転手役、盗品処分役等に役割分担して犯行に及んでいた。

- 30 -

○ 中国人グループによる一般住宅対象の広域空き巣等事件（８月・兵庫、警視庁）

平成19年６月ころから兵庫県、大阪府において、こじ割り、焼き破りの手口で一般住宅に侵入し、

現金、貴金属、電化製品等を窃取していた空き巣事件で、平成22年７月29日までに、中国人10人を窃

盗等で逮捕し、空き巣等合計152件（被害総額約１億4,000万円）を解明した。この窃盗組織は、電車

で犯行地に赴き、実行犯、見張役に役割分担して犯行に及び、貴金属等の盗品を中国人バイヤーに売

却していた。

(ｳ) クレジットカード偽造事犯

平成22年の来日外国人によるカード偽造犯罪の検挙件数の75.3％を中国が占めている。

クレジットカードの偽造に深く関与している中国人等グループは、電磁的記録データを入力す

るための生カード（クレジットカードの原料となるプラスチック板）を、航空貨物、国際スピー

ド郵便（ＥＭＳ）で密輸し、又は航空機等による入国時の手荷物等に隠匿して持ち込んでいる。

生カードに入力するデータは、エステ店、中国整体院、スーパー銭湯等において、ハンディー

・スキマーを用いてスキミング（カードデータの読み取り）したり、カード加盟店の飲食店等に

設置されているカードリーダーに情報蓄積装置を不正に取り付け、顧客データを蓄積した上で回

収したり、国外発行のカードデータを携帯電話やインターネットメールで不正に入手している。

このような方法で、不正に取得された電磁的記録データが、生カードに入力されて偽造クレジッ

トカード等が作成される。

偽造されたカードは、主として買い子と呼ばれる詐欺グループに渡され、貴金属、パソコン、

音響機器等のコンパクトで換金性の高い商品を詐取するために使用され、詐取した商品は、買い

取り屋、古物店等で換金処分されている。また、店員等から看破されるのを防止するために、偽

造カードはカード名義人の住居地域で使用し、偽装商品詐取役、換金処分役、運転手には土地鑑

がある者、あるいは日本人を使う場合もある。さらに、確実でより安全に商品を取得するため、

監視役の中国人が同行し、年齢の若いアルバイト店員等が担当するレジを狙って商品を取得する

などしている。

○ 中国人らグループによる生カード輸入、偽造クレジットカード詐欺等事件（６月・大阪）

偽造クレジットカードの原料となる生カードを国際スピード郵便で中国から輸入してクレジットカ

ードを偽造し、平成20年９月ころから平成21年６月ころまでの間、関西・関東地区の家電量販店にお

いて電化製品を詐取した事件等で、平成22年６月までに、中国人４人、韓国人２人、日本人19人を不

正作出支払用カード電磁的記録供用・詐欺、支払用カード電磁的記録不正作出器械原料準備、関税法

違反等で逮捕するとともに、偽造工場を摘発し、偽造器械一式、生カード約3,000枚等を押収した。

(ｴ) その他

預金額によっては大金を手に入れることが可能な払出盗を敢行する例が多くみられるほか、振

り込め詐欺では、中国から日本の被害者に電話をかけ、警察官等を装って口座情報等を聞き出し、

日本国内の被疑者が騙し取ったキャッシュカードで現金を引き下ろすなど巧妙な手口もある。

○ 中国人らによる振り込め詐欺事件（４月・山形、福島、茨城、新潟、秋田）

平成21年４月13日、山形市内の住民に対し、警察官、銀行員等を装って電話を架け、キャッシュカ

ードを詐取し、預金を引き出すなどした事件で、平成22年４月16日までに指示役の中国人２人・暴力

団組員を含む日本人２人、受け子役の日本人３人、払出役の中国人４人、日本人２人、道具屋の中国

人１人、日本人１人及び運び役の中国人１人の合計16人を詐欺、窃盗等で逮捕し、５県下における詐

欺等40件（被害総額1,690万円）を解明した。

- 31 -

(2) 来日ブラジル人犯罪組織等の動向

ア　概要

平成21年末現在のブラジル人の外国人登録者数は267,456人であり、在留資格別の登録状況は、

永住者116,228人、定住者101,250人、日本人の配偶者等43,443人等となっている（法務省入国管理

局の統計による。）。

ブラジル人については、平成２年６月に施行された「改正出入国管理及び難民認定法」により就

業活動に制限のない「定住者」資格が新たに創設され、日系３世等に対して「定住者」資格が付与

されることとなった。

これを契機として、就業目的の日系ブラジル人及びその子弟が多数入国・在留することとなり、

平成元年には14,528人であったブラジル人外国人登録者数が平成19年末には316,967人と約21.8倍

に急増し、平成21年末には前年に比べ45,126人（14.4％）減少したものの、中国人、韓国・朝鮮人

に次ぐ外国人登録者数となっている。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、ブラジルは、刑法犯、特別法犯を合わせ

た総検挙件数の14.2％、総検挙人員の6.2％、また､刑法犯検挙件数の18.0％､刑法犯検挙人員の7.7

％を占め、総検挙件数・人員ともに減少しているものの、総検挙件数では中国に次いで高い割合を

占める状況は継続している。

来日ブラジル人　総検挙状況　推移

イ　犯罪の態様

(ｱ) 罪種別内訳

来日ブラジル人の刑法犯主要罪種別検挙件数が来日外国人全体の件数に占める割合は、以下の

とおりであるが、特に自動車盗が44.7％、車上ねらいが77.0％、部品ねらいが87.4％と高い比率

を占めており、これらに覚せい剤取締法違反等の薬物事犯を伴う例が多くなっている。

検挙状況の過去10年間の推移をみると平成16年及び平成19年が検挙件数・人員のピークとなっ

て増減を繰り返し、平成20年以降減少傾向にある。

また、主要罪種別検挙件数を平成12年と比較すると、自動車盗が約1.7倍、部品ねらいが約1.5

倍に増加し、車上ねらいは４割以下に減少している。

来日ブラジル人　刑法犯主要罪種別　検挙件数

- 32 -

来日ブラジル人　刑法犯主要罪種別　検挙状況　推移

(ｲ) 共犯事件の比率

来日ブラジル人の刑法犯検挙件数の79.4％が共犯事件であり、前年と比較すると12.2ポイント

増加している。共犯形態は、２人組、３人組の割合が減少する一方、４人組以上は38.7ポイント

増加している。

来日ブラジル人　共犯形態別　刑法犯検挙件数　比較

ウ　犯罪者の実態等

(ｱ) 在留資格別検挙状況

来日ブラジル人の刑法犯検挙人員を在留資格別にみると、定住者が74.6％を占め最も多く、次

いで、日本人の配偶者等(構成比17.5％)となっており、不法滞在は1.9％にとどまっている。こ

れは前述のように、来日ブラジル人の多くが定住者等の資格で我が国に在留していることを反映

しているとみられる。

来日ブラジル人　在留資格別　刑法犯検挙人員　比較

(ｲ) 犯罪に及ぶ経緯等

ブラジル人犯罪の特徴として少年犯罪の比率の高さが挙げられるが、その背景として、養育者

である両親の不安定な勤務環境等も指摘されている。両親は、子供への学校教育、躾等への関心

はあるものの、生活苦等の理由から放任状態にならざるを得ず、このような家庭環境の中、本邦

での生活に馴染めない子どもたちは、次第に不登校、不就学となり、繁華街や盛り場等に集い、

非行グループに加入するなどして、遊興費欲しさから犯罪に及ぶという例もみられる。

(ｳ) 日本人犯罪者（暴力団等）とのつながり

日系ブラジル人は、定住者資格で本邦に入国し、永住者へと資格を切り換える者も多く、定住

化が進んでいる。これに伴い日系ブラジル人コミュニティが発達することとなるが、中には不良

ブラジル人同士が同ネットワークを活用し、犯罪グループを形成している状況がみられる。

ブラジル人犯罪グループは、歓楽街等のゲームセンター、飲食店等において暴力団等と接点を

持ち、暴力団が関与する故買組織との結託による窃盗のほか、中には暴力団組織へ加入したり、

- 33 -

グループ単位で暴力団組織の後ろ盾を得るなどして不良行為を重ね、犯行をエスカレートさせる

など、暴力団組織等と共存・連携しながら犯罪を凶悪化させていく例もみられる。

エ　特徴的な動向

ブラジル人犯罪組織は、ピラミッド型の組織ではなく、小グループ単位で離合集散を繰り返しな

がら犯罪を敢行するといった構図がみられ、ブラジル飲食店やブラジル人が集まるディスコ等では、

グループあるいは個人が他のブラジル人グループ等と親交し、犯罪を敢行するための情報交換等を

行っている。

ブラジル人犯罪組織は、北関東、東海、中部地方を中心に自動車盗、部品ねらい、車上ねらい等

の自動車関連の窃盗事件のほか、強盗や覚せい剤取締法違反を始めとする薬物事犯を敢行する例が

多い。

オ　代表的な検挙事例

○ ブラジル人グループによる広域自動車盗・部品ねらい事件（９月・愛知、群馬、岐阜、静岡）

平成21年９月ころから、関東・中部地区において高級四輪駆動車等対象の自動車盗、カーナビ対象

の部品ねらい事件で、平成22年９月までに、実行犯のブラジル人15人を窃盗、盗品処分役の日本人２

人を盗品等有償譲受け等で、それぞれ逮捕するとともに、８都県に及ぶ自動車盗、部品ねらい及び車

上ねらい約520件（被害総額約1億2,000万円）を解明した。日本人被疑者は、ブラジル人から盗品のカ

ーナビを買い受け、インターネットサイトを利用して売却していた。

○ ブラジル人による宝石店における強盗等事件（８月・三重）

８月９日、津市内の宝石店にフルフェイス型ヘルメットを被って押し入り、女性店員にモデルガン

を向けて脅迫し、現金及び指輪３個等（販売価格約415万円）を強取した強盗事件で、同日、ブラジル

人を強盗等で逮捕した。

(3) 来日韓国人犯罪組織等の動向

ア　概要

平成21年末現在の韓国・朝鮮人の外国人登録者数は578,495人であり、在留資格別では特別永住

者405,571人、永住者56,171人、日本人の配偶者等21,052人、留学19,807人、家族滞在18,533人等

となっている（法務省入国管理局の統計による。）。

平成21年における韓国人の入国者は1,835,377人であり、入国者全体の24.2％を占め、昭和63年

に米国を抜いて以来、最も多い状態が継続している。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、韓国人は、刑法犯、特別法犯を合わせた

総検挙件数の11.7％、総検挙人員の11.8％、刑法犯検挙件数の10.7％、刑法犯検挙人員の10.1％を

占め、総検挙件数では中国、ブラジルに次ぎ、総検挙人員では中国に次いで高い比率となっている。

イ　犯罪の態様

(ｱ) 罪種別内訳

来日韓国人の刑法犯主要罪種別検挙件数が来日外国人全体の検挙件数に占める割合は、以下の

とおりであるが、特に住宅対象の侵入盗が25.0％と高い比率を占めている。

刑法犯検挙状況の過去10年間の推移をみると、平成19年をピークとして減少し、平成22年は、

検挙件数が前年に比べ52件(3.3％)減少したが、刑法犯主要罪種別検挙状況の推移では、平成19

年に急増後、減少していた住宅対象の侵入盗検挙件数が832件(前年比＋521件)と増加した一方、

すりが２件(同−209件)と大幅に減少している。

- 34 -

来日韓国人　刑法犯主要罪種別　検挙状況

来日韓国人　刑法犯主要罪種別　検挙状況　推移

(ｲ) 共犯事件の比率

来日韓国人の刑法犯検挙件数における共犯事件は55.0％であり、前年と比較すると15.2ポイン

ト増加している。共犯形態は、２人組が43.9％と前年と比較し34.1ポイント増加している。

来日韓国人　共犯形態別　刑法犯検挙件数　比較

ウ　犯罪者の実態等

(ｱ) 在留資格別検挙状況

来日韓国人の刑法犯検挙人員を在留資格にみると、定住者(構成比19.9％)が最も多く、次いで、

日本人の配偶者等(同17.5％)、短期滞在(同13.6％)、留学（同12.9％）となっている。

来日韓国人　在留資格別　刑法犯検挙人員　比較

(ｲ) 犯罪に及ぶ経緯等

来日韓国人犯罪組織の特徴として、これまでの検挙事例からすりや空き巣等の窃盗組織の活動

が挙げられる。これらの組織は、日韓が地理的に近く、移動時間、移動経費の負担が小さいこと

もあり、犯行形態としては、一般的にリーダーを中心とした実行犯が短期間の入出国を繰り返し、

明確な任務分担の下に連続敢行するヒット・アンド・アウェイ型の事例が代表的なものである。

(ｳ) 日本人犯罪者（暴力団等）とのつながり

韓国人犯罪組織は、本国で形成されたグループがリーダーの指揮の下に来日し、日本で犯行に

及ぶ際には、韓国人正規滞在者の支援を受けるなどの態様がみられ、基本的には韓国人のみによ

り敢行されている例が多いとみられる。

一方、韓国人ホステス等にかかる偽装結婚では、風俗店、飲食店の経営者や斡旋ブローカーの

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ほか、暴力団組員等が、高額な報酬を得て斡旋していた事例が見受けられ、これら日本人が密接

に関連している。

エ　特徴的な動向

短期滞在の資格で来日し、短期間で連続的に敢行するヒット・アンド・アウェイ型のすりが来日

韓国人の典型的な犯罪で、最近の検挙事例では、不法滞在の韓国人が、数年間にわたりすりを敢行

していた例もある。

更に、韓国人犯罪は、すりのほか、空き巣等の侵入窃盗の敢行することも多く、韓国人空き巣組

織は、不良韓国人により組織された窃盗グループが、犯行の発覚、逮捕を免れるために、短期滞在

の資格でヒット・アンド・アウェイ的に入出国を繰り返しながら、犯行の都度、メンバーを入れ替

えるなど、首謀者の指揮統制の下、用意周到な計画に基づき広範囲に移動しながら繰り返し犯罪を

敢行している。

近年は、無許可で韓国へ不正送金する地下銀行事件、日本での長期就労資格取得を希望する韓国

人が、ブローカー等を介して日本人の配偶者等の在留資格を取得する偽装結婚事件、不法残留等の

韓国人を飲食店等で稼働させる不法就労助長事件、不法滞在のホステス等を顧客として無許可のタ

クシー行為を行う、いわゆる地下タクシー事件等の犯罪インフラ事犯が検挙されている。また、偽

造指紋シールを使用して入国審査をすり抜け不法に入国した事件も検挙されている。

オ　代表的な検挙事例

○ 韓国人グループによる広域窃盗事件（３月・警視庁）

平成21年10月ころから関東方面において連続発生した高級住宅対象の空き巣事件で、平成22年３月

17日までに、韓国人10人を窃盗等で逮捕した。

○ 韓国人ブローカーらによる偽装結婚、不法就労助長事件（８月・奈良、兵庫）

日本で長期就労を希望する韓国人女性に偽装結婚を斡旋し、大型入浴施設で稼働させていた事件で、

８月11日までに、ブローカー等の韓国人２人、日本人１人、当事者の韓国人女性３人、日本人男性２

人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用、入管法違反（不法就労助長・不法残留）でそれぞれ逮捕

した。ブローカーの被疑者は、本国のブローカーと結託の上、韓国人女性を短期滞在の在留資格で入

国させ、偽装結婚を斡旋するなどして入浴施設等で稼働させ、同女が得た給料から偽装結婚及び不法

就労の斡旋料を差し引いていた。

(4) 来日ベトナム人犯罪組織等の動向

ア　概要

平成21年末現在のベトナム人の外国人登録者数は41,000人であり､在留資格別では特定活動9,477

人、永住者9,187人、定住者5,847人、研修4,355人等となっている（法務省入国管理局の統計によ

る。）。

なお、ベトナム人の永住者、定住者が多いのは、昭和40年ころから、インドシナ難民として周辺

諸国に脱出したベトナム人を我が国に受け入れたことが主たる要因である。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、ベトナム人は、刑法犯、特別法犯を合わ

せた総検挙件数の8.9％、総検挙人員の6.7％、また、刑法犯検挙件数の10.7％、刑法犯検挙人員の

9.1％を占め、総検挙件数では中国、ブラジル、韓国に次ぎ、総検挙人員では中国、韓国、フィリ

ピンに次いで高い比率となっている。

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イ　犯罪の態様

(ｱ) 罪種別内訳

来日ベトナム人の刑法犯主要罪種等別検挙状況及び来日外国人全体に占める割合は、以下のと

おりであるが、特に万引きの割合が高く、来日ベトナム人検挙件数の約半数を占めている。

過去10年間の検挙状況の推移をみると、検挙件数・人員とも増加傾向が継続している。

来日ベトナム人　刑法犯主要罪種別　検挙状況

来日ベトナム人　刑法犯主要罪種別　検挙状況　推移

(ｲ) 共犯事件の比率

来日ベトナム人の刑法犯検挙件数に占める共犯事件は42.9％であり、前年と比較すると6.0ポ

イント減少している。共犯形態は、３人組、４人組以上が減少する一方で、２人組は9.6ポイン

ト増加している。

来日ベトナム人　共犯形態別　刑法犯検挙件数　比較

ウ　犯罪者の実態等

(ｱ) 在留資格別検挙状況

来日ベトナム人の刑法犯検挙人員を在留資格別にみると、研修(構成比24.0％)が最も多く、次

いで定住者(同23.5％)、不法滞在(同14.5％)、留学(同6.6％)の順となっている。在留資格別の

比率を前年と比較すると、定住者(前年比＋3.9ポイント)、留学(同＋2.0ポイント)が増加し、研

修、日本人の配偶者等などは減少している。

来日ベトナム人　在留資格別　刑法犯検挙人員　比較

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(ｲ) 犯罪に及ぶ経緯等

昭和40年以降、インドシナ難民として我が国に上陸したベトナム人は、現在、主に関東圏や関

西圏を中心とした地域の公営住宅や民営アパート等に居住する者が多い。

これらベトナム人の中には、日系ブラジル人と同様に、我が国の生活に馴染めない者達が居住

地域を中心に不良グループを形成し犯罪組織化する例もあり、前述のとおり、研修、留・就学の

在留資格で滞在するベトナム人による犯罪も発生している。

なお、ベトナム人による刑法犯検挙件数の54.9％が万引きであり、当初は生活困窮からの食料

品、日用品等を対象とした単発的な犯行がみられたが、最近は、高級化粧品、高額電化製品等を

対象に組織的に大量窃取し換金するといった犯行も発生している。

なお、これらの組織的窃盗には、買い取り業者が関与して海外輸出する事例もみられる。

(ｳ) 日本人犯罪者（暴力団等）とのつながり

ベトナム人犯罪組織は同国人で形成される事例が多いが、主要犯罪である万引き事件において

故買組織が絡んでいた事例、自動車盗事件において暴力団幹部や他国籍の外国人と結託していた

事例も確認されている。

エ　特徴的な動向

ベトナム人による刑法犯の検挙件数・人員は増加傾向にあり、平成22年中では、1,507件（前年

比＋65件）、608人(同−81人)と、検挙件数は僅かに増加、検挙人員は減少した。また、ベトナム人

による強盗犯検挙件数は15件で、中国人に次いで多く、来日外国人による強盗犯検挙件数の13.5％

を占めている。

来日ベトナム人犯罪の主流である万引きは、組織的、広域的に敢行されており、盗品の買い取り

需要に応じて対象物を幅広く選定して行われている。

具体的には、大型薬品店、大型電化製品店等に車両で乗り付け、指示役、見張り役、実行役、商

品搬出役等３∼４人の集団で大量、かつ連続的に敢行し、換金率の高い医薬品、化粧品、育毛剤を

始め、買い取り需要に応じて、米、ビール、高級洋酒等の食料品や、女性用下着、衣服、炊飯ジャ

ー、紙オムツ、粉ミルク等に至るまで窃取して、ベトナム人故買屋を経由してベトナム航空乗務員

等に渡りベトナムに持ち出したり、商品買い取り業者に直接持ち込み、あるいは郵送するなどして

換金する事例がみられる。また、本国への送還や盗品の返還を免れるため、凶器を所持して激しく

抵抗して逮捕を免れようとする状況もあり、事後強盗、強盗致傷等凶悪犯罪への発展とその増加が

危惧される。

最近では、万引きのほか、日本人や多国籍の外国人と結託して自動車盗、部品ねらいを敢行した

事例もみられる。

ベトナム人にかかる不法就労事件では、派遣会社の社長が、不法残留等のベトナム人を雇い入れ、

居室兼作業場としてアパートの１室を貸し与え、自動車部品製造の単純労働者として不法就労させ

ていた事例もある。

オ　代表的な検挙事例

○ ベトナム人らグループによる広域部品ねらい事件（10月・埼玉、群馬）

平成21年１月ころから関東地区において連続発生した重機対象の部品ねらい事件で、平成22年10月

８日までにベトナム人19人、日本人１人を窃盗等で逮捕するとともに埼玉、群馬等５県下に及ぶ部品

ねらい事件約200件（被害総額約４億円相当）を解明した。

○ ベトナム人グループによるドラッグストア対象の広域万引き・出店荒し等事件（11月・埼玉、広島）

平成21年４月ころから、関東、中部、中国及び九州地区おいて連続発生したドラッグストア対象の

万引き、出店荒し事件で、平成22年11月14日までに、実行犯のベトナム人９人を窃盗、故買屋のベト

ナム人４人、日本人２人を盗品等有償譲受けで逮捕した。

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(5) 来日コロンビア人犯罪組織等の動向

ア　概要

平成21年末現在のコロンビア人の外国人登録者数は2,705人であり、在留資格別では、永住者986

人、定住者565人、日本人の配偶者等491人、短期滞在202人等となっている（法務省入国管理局の

統計による。）。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、コロンビア人は、刑法犯、特別法犯を合

わせた総検挙件数の1.9％、総検挙人員の0.4％、また、刑法犯検挙件数の2.4％、刑法犯検挙人員

の0.5％を占め、その割合は高くはないが、これまでの特徴として組織的な侵入窃盗が多いことが

挙げられる。

イ　犯罪の態様

(ｱ) 罪種別内訳

来日コロンビア人の刑法犯主要罪種等別検挙状況及び来日外国人全体に占める割合は、以下の

とおりであるが、住宅対象の侵入窃盗が7.5％と高い比率を占めている。また、平成22年におけ

る来日コロンビア人の刑法犯検挙件数の88.5％が窃盗犯である。

来日コロンビア人　刑法犯主要罪種別　検挙状況

来日コロンビア人　刑法犯主要罪種別　検挙状況　推移

(ｲ) 共犯事件の比率

来日コロンビア人の刑法犯検挙件数の91.7％が共犯事件であり、前年と比較すると17.1ポイン

ト増加している。共犯形態は、４人組以上が54.3％と、前年と比較し26.0ポイントと大きく増加

している。

来日コロンビア人　共犯形態別　刑法犯検挙件数　比較

- 39 -

ウ　犯罪者の実態等

(ｱ) 在留資格別検挙状況

来日コロンビア人の刑法犯検挙人員を在留資格別にみると以下のとおりであるが、不法滞在者

(構成比53.1％)が最も多い一方、定住者(同21.9％)も大きな比率を占めている。

来日コロンビア人　在留資格別　刑法犯検挙人員　比較

(ｲ) 犯罪に及ぶ経緯等

来日コロンビア人犯罪組織の典型例として窃盗（空き巣）組織の活動が挙げられるが、このよ

うな犯罪組織を構成する来日コロンビア人の中には、母国において、「日本に行って盗みをすれ

ば儲かる。」との風評等を耳にし、当初から犯罪目的で入国している者がいる。彼らは日本と査

証免除協定を結んでいるメキシコ等の中南米諸国の他人名義の正規旅券を利用したなりすましや

偽造旅券を使用した短期滞在等の在留資格の偽装により入国することがある。

来日コロンビア人窃盗組織は、広域かつ連続的に一般住宅等に侵入して現金、貴金属、デジタ

ルカメラ等を窃取する空き巣等を敢行しており、その際、運転手役、見張り役、実行役、盗品処

分役等に役割分担を行っている。

エ　代表的な検挙事例

○ コロンビア人・ペルー人らグループによる広域空き巣事件（５月・埼玉）

平成20年12月ころから埼玉県内において連続発生した一般住宅、アパート対象の空き巣事件で、平

成22年５月24日までに、少年６人を含むコロンビア人３人、ペルー人５人、中国人１人及び日本人４

人を窃盗等で逮捕し、空き巣事件等約270件（被害総額約4,400万円）を解明した。

(6) 来日イラン人犯罪組織等の動向

ア　概要

平成21年末現在のイラン人の外国人登録者数は5,018人であり、在留資格別では、永住者2,367人、

日本人の配偶者等560人、短期滞在525人、家族滞在346人等となっている（法務省入国管理局の統

計による。）。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、イラン人は、刑法犯・特別法犯合わせた

総検挙件数の1.0％、総検挙人員の1.0％と割合は低いが､特別法犯､特に薬物事犯の検挙件数の14.2

％、検挙人員の10.0％を占めている。

イ　犯罪の態様

来日イラン人の刑法犯主要罪種別検挙状況、特別法犯主要法令薬物事犯別検挙状況は以下のとお

りである。平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、イラン人は、刑法犯検挙件数の

0.2％を占めるに過ぎないが､特別法犯の薬物事犯における検挙人員の10.0％を占めるなど､特に覚

せい剤事犯では国籍等別で高い割合となっている。

来日イラン人　刑法犯主要罪種別　検挙状況

- 40 -

来日イラン人　特別法犯　主要法令薬物事犯別　検挙状況

注：警察庁(薬物銃器対策課）の集計

来日イラン人　薬物事犯別検挙状況　推移

注：警察庁(薬物銃器対策課)の集計

ウ　犯罪者の実態等

(ｱ) 在留資格別検挙状況

来日イラン人の特別法犯検挙人員を在留資格別にみると以下のとおりであるが、不法滞在(構

成比83.3％)が最も多く、次いで日本人の配偶者等(同10.4％)、定住者(同6.3％)の順となってい

る。

来日イラン人　在留資格別　特別法犯検挙人員　比較

(ｲ) 犯罪に及ぶ経緯等

イラン人犯罪組織をめぐっては、日本で検挙・退去強制歴等があるイラン人が、偽造旅券等の

入手が比較的容易な東南アジア諸国に正規入国し、ブローカーから偽造旅券、偽造運転免許証等

を入手した後、一旦、欧州、他のアジアの第三国に正規入国し、取得した偽造旅券を使用して本

邦に不法入国し、薬物密売等に係わっている事例がみられるなど、当初から薬物密売等犯罪目的

で密入国する者がいる。

イラン人薬物密売組織は、関東及び東海地方を中心に活動しており、首領による強い指揮系統

の下、親族、出身地、来日後に知り合った気心が知れた者等の小グループが、携帯電話を用いて

客との取引場所を指定し、覚醒剤をはじめ、ＭＤＭＡ、コカイン、大麻等多様な薬物を販売して

いる。首領による組織の統率力は極めて強い上に、配下の帰属意識も高く、密売組織同士が顧客

や密売地域等を巡って抗争を起こす例もみられる。

エ　代表的な検挙事例

○ イラン人による紛失・盗難旅券使用の不法入国事件（１月、北海道）

イラン人がアイルランドの偽造旅券を使用して新千歳空港から不法入国した事件で、１月28日、イ

- 41 -

ラン人を入管法違反（不法入国）で逮捕した。使用された旅券は、アイルランド人名義の紛失・盗難

旅券で、顔写真が貼り替えられていた。

○ イラン人グループによる覚醒剤等密売事件（２月・警視庁）

覚醒剤等を密売していたイラン人グループの指示役４人と密売人７人を覚せい剤取締法違反(営利目

的譲渡)等で逮捕するとともに、覚醒剤約188グラムや乾燥大麻約724グラムなど数種類の違法薬物を押

収した。また、密売人と取引をしていた末端乱用者ら31人を逮捕した。

(7) 来日ナイジェリア人犯罪組織等の動向

ア　概要

平成21年末現在のナイジェリア人の外国人登録者数は2,676人であり、在留資格別の登録状況は、

永住者1,113人、日本人の配偶者等682人、短期滞在343人等となっている（法務省入国管理局の統

計による。）。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、ナイジェリア人は、刑法犯、特別法犯を

合わせた総検挙件数の0.6％、総検挙人員の0.6％、また、刑法犯検挙件数の0.5％、刑法犯検挙人

員の0.5％を占め、その割合は高くはないが、近年の特徴として組織的な支払用カード偽造・詐欺

関連事犯が挙げられる。

イ　犯罪の態様

(ｱ) 罪種別内訳

来日ナイジェリア人の刑法犯主要罪種別検挙件数が来日外国人全体の件数に占める割合は、以

下のとおりであるが、特に支払用カード偽造が11.3％と高い割合を占めている。

来日ナイジェリア人　刑法犯主要罪種別　検挙状況

来日ナイジェリア人　刑法犯主要罪種別　検挙状況　推移

(ｲ) 共犯事件の比率

来日ナイジェリア人の刑法犯検挙件数における共犯事件は47.8％であり､前年と比較すると2.7

ポイント増加している。共犯形態は､２人組､４人組以上の割合が減少した一方で、３人組が22.1

ポイント増加している。

- 42 -

来日ナイジェリア人　共犯形態別　刑法犯検挙件数　比較

ウ　犯罪者の実態等

(ｱ) 在留資格別検挙状況

来日ナイジェリア人の刑法犯検挙人員を在留資格別にみると以下のとおりであるが、日本人の

配偶者等(構成比68.8％)が最も多く、次いで不法滞在(同18.8％)の順となっている。

来日ナイジェリア人　在留資格別　刑法犯検挙人員　比較

(ｲ) 犯罪に及ぶ経緯等

ナイジェリア人犯罪組織は、出稼ぎ者等によって世界各国に居住する同国人のコミュニティを

足場とし、スピーディな情報共有を武器に暗躍し、欧米等において、手紙やメール等で経済的利

益話を持ちかけ、手数料名目に現金を振り込ませる詐欺事件を主に敢行している。

最近の来日ナイジェリア人の検挙事例では、金銭取得を目的に短期滞在の在留資格で入国後、

日本人女性と結婚して日本人の配偶者等の在留資格を取得している者が多く、海外の銀行から不

正送金された詐欺の犯罪収益を日本国内の銀行口座から引き出したマネー・ローンダリングの事

例、海外のナイジェリア人犯罪組織と連携してスキミングデータを入手し、偽造クレジットカー

ドを使用して商品詐欺を敢行する事例、海外輸出目的で多国籍の外国人や日本人暴力団組員と結

託の上、自動車を窃取し、ヤードで解体の上、不正に国外に輸出していた事例等がみられる。

エ　代表的な検挙事例

○ ナイジェリア人による偽造クレジットカード使用詐欺等事件（４月・警視庁）

平成21年７月ころ、福島県及び都内の家電量販店等において偽造クレジットカードを使用して携帯

音楽プレーヤー等の商品を詐取した事件等で、平成22年４月29日までに、ナイジェリア人３人を不正

作出支払用カード電磁的記録供用、詐欺等で逮捕した。

(8) その他の犯罪組織等の動向

ア　来日フィリピン人犯罪組織等の動向

平成21年末現在のフィリピン人の外国人登録者数は211,716人であり、在留資格別の登録状況は、

永住者84,407人、日本人の配偶者等46,027人、定住者37,131人、特定活動8,608人等となっている

（法務省入国管理局の統計による。）。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、フィリピン人は、刑法犯・特別法犯を合

わせた総検挙件数の5.9％、総検挙人員の9.5％、また、刑法犯検挙件数の3.2％、刑法犯検挙人員

の6.9％を占めている。特別法犯の検挙では、検挙件数の12.4％、検挙人員の12.9％をフィリピン

人が占めており、いずれも中国、韓国に次ぐ高い比率となっている。フィリピン人の薬物事犯にお

ける検挙人員は63人で全体の11.7％を占め、ブラジル人91人に次ぎ、その大半が、覚せい剤事犯58

- 43 -

人（92.1％）によるものである。また、入管法違反の検挙人員は516人で全体の16.2％を占め、中

国人に次ぐ人員である。

来日フィリピン人は、フィリピン国内の生活環境の厳しさから、我が国の飲食店や製造現場等に

おいて稼働するため、不法入国・不法滞在するケースがみられるほか、偽装結婚によって日本人の

配偶者等の在留資格を取得し、就労する事案がみられる。

最近の検挙事例では、フィリピン人が、自己経営の雑貨店を拠点として地下銀行を運営しフィリ

ピン人ホステス等から依頼を受け本国に不正送金していた事例、フィリピン女性が、日本人ブロー

カーの斡旋により偽装結婚しホステスとして稼働していた事例、フィリピン人ブローカーが日本人

ブローカーと結託してフィリピン人に日系人を装わせ他人名義で不法に入国させていた事例等が挙

げられる。

イ　来日ペルー人犯罪組織等の動向

平成21年末現在のペルー人の外国人登録者数は57,464人であり、在留資格別では永住者31,711人、

定住者16,695人、日本人の配偶者等4,418人、短期滞在1,662人等となっている（法務省入国管理局

の統計による。）。

ペルー人は、ブラジル人と同様に、平成２年６月の「改正出入国管理及び難民認定法」施行を契

機に日系ぺルー人及びその子弟多数が入国・在留することとなり、以降増加傾向が続いている。居

住地域は、ブラジル人と同様に、北関東、東海、中部地方が中心となっている。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、ペルー人は、刑法犯・特別法犯を合わせ

た総検挙件数の2.8％、総検挙人員の3.4％、また、刑法犯検挙件数の3.1％、刑法犯検挙人員の4.3

％を占めている。ペルー人犯罪組織は、同国人の仲間同士のほか、中国人、ブラジル人、コロンビ

ア人等の南米系外国人と犯罪を敢行する形態がみられる。

最近の検挙事例では、ぺルー人グループが、コロンビア人、中国人、日本人と結託し埼玉県内に

おいて空き巣等370件（被害総額約4,400万円）を敢行した事例、定住者のペルー人が自動車販売を

装い信販会社から自動車販売店に立て替えられたローン立替代金を詐取した事件、ペルー人がドミ

ニカの偽造旅券を使用して不法入国した事例等がある。

ウ　来日パキスタン人犯罪組織等の動向

平成21年末現在のパキスタン人の外国人登録者数は10,295人であり､在留資格別では永住者3,070

人、家族滞在1,527人、短期滞在923人､日本人の配偶者等895人等となっている（法務省入国管理局

の統計による。）。

平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、パキスタン人は、刑法犯・特別法犯を合

わせた総検挙件数の1.0％、総検挙人員の0.5％、また、刑法犯検挙件数の1.2％、刑法犯検挙人員

の0.3％であり、検挙件数は昨年に比べ増加している。これは、パキスタン人犯罪の特徴である海

外への不正輸出を目的とした組織的な自動車盗の検挙が前年に比べ増加したことが要因である。

最近の検挙事例では、パキスタン人がナイジェリア人等のグループと結託して自動車盗等を敢行

していた事例、メキシコの偽造旅券で不法入国した事例、アフガニスタン人を名乗り市役所に内容

虚偽の外国人登録申請書を提出した事例等が挙げられる。

エ　来日ロシア人犯罪組織等の動向

平成21年末現在のロシア人の外国人登録者数は7,814人であり、在留資格別では永住者1,922人、

日本人の配偶者等1,733人、家族滞在891人、人文知識・国際業務640人等となっている（法務省入

国管理局の統計による。）。

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平成22年中の来日外国人犯罪の検挙を国籍別にみると、ロシア人は、刑法犯、特別法犯を合わせ

た総検挙件数の0.9％、総検挙人員の0.9％、また、刑法犯検挙件数の0.9％、刑法犯検挙人員の1.0

％を占め、その割合は高くないが、近年は、ロシア系犯罪組織の関係者とみられる者が、本邦の暴

力団関係者と接触している状況もみられるほか、これまで主に北海道、日本海側を拠点として、同

地域及び関東、九州地区での犯行が確認されている。

最近の検挙事例では、ロシア人グループが連続して倉庫等からスタッドレスタイヤを窃取しロシ

アへ輸出した事例、ロシア人が日本人経営のヤードにおいて盗品の自動車、家具等を保管していた

事例、他人になりすまして市役所に外国人登録申請書等を提出した事例、短期滞在で入国したロシ

ア人女性が偽装結婚してホステスとして稼働していた事例等が挙げられる。

- 45 -

第４　来日外国人犯罪取締りをめぐる現状等

来日外国人犯罪をめぐる情勢は、依然として厳しいものがあり、我が国の治安上の大きな問題となって

いるため、今後とも取締りの強化等一層の取組みが必要な現状にある。

他方、来日外国人犯罪に対する取締りに当たっては、言語、文化、生活習慣の相違等から、日本人の犯

罪を捜査する場合とは異なった様々な捜査上の困難が存在するなど、捜査を取り巻く環境も厳しいものが

あり、これらの問題を克服しつつ推進していくことが求められている。

１　来日外国人犯罪捜査をめぐる諸問題

来日外国人犯罪に対する捜査を行うに当たっては、前述のように、日本人の犯罪に対する捜査には

ない様々な困難性が存在するが、その主なものは以下のとおりである。

(1) 来日外国人犯罪の特性

ア　人物特定及び所在捜査をめぐる問題

来日外国人は、我が国に入国することにより、在留管理上の記録が残されることとなるが、一般

に、転居等により居所の特定が困難となる場合が多い。また、犯罪を敢行する者の中には、密入国

者、不法残留者等も少なくなく、これらの来日外国人は、偽造身分証を用いたり、意図的に他人と

の接触を避け、同国人のアパート等を転々とするなどして、摘発を逃れるための対策を講じている

場合が多いため、人物特定や所在捜査等が困難になっている。

イ　実態把握をめぐる問題

来日外国人犯罪では、一般に日本人犯罪に比べて組織性が高く、加えて、犯行ごとにメンバーを

入れ替え、全国を転々としながら広域的に犯行を重ねるなどの特徴を有しているほか、一部の被疑

者が検挙されると一斉に国内外への逃走を図るなど、検挙を免れるための様々な対策が講じられて

いる。また、偽名等の使用や、仲間内でもニックネームで呼び合い、お互いの本名を知らない場合

があるため、組織の実態解明には多くの困難を伴っている。

ウ　取調べをめぐる問題

来日外国人被疑者の取調べに当たっては、言語や文化の違いという壁を乗り越えつつ、真の供述

を得ることが求められるが、言語の問題以外にも様々な困難が存在している。

特に、来日外国人は、異国での刑罰から逃れようとする意識から犯行を全面的に否認したり、同

国や同郷の者を庇い、あるいは、母国に残っている家族、親族等への報復を恐れて、共犯者や犯罪

組織のメンバー等に関して虚言を弄したり、供述を一切拒否することが多く、犯行の全貌や犯罪組

織の実態を解明することが難しくなっている。

また、来日外国人被疑者の取調べに際しては、通訳人を確保する必要があるため、警察において

は部内の通訳人を運用するとともに、必要に応じて部外の通訳人を依頼しているところであるが、

来日外国人被疑者の取扱いが増えるにしたがって、とりわけ、地方における少数言語の通訳人の確

保が困難になっている。

(2) 最近の来日外国人犯罪の動向

ア　犯罪組織相互の連携

国際犯罪組織をめぐっては、本邦に存在する窃盗組織の構成員が、同国人の地下銀行組織を利用

して犯罪収益を母国に送金する事案や、クレジットカード偽造組織が、海外の犯罪組織から生カー

ドや他人のカード情報を入手する事案等、犯罪組織が相互に連携しつつ犯罪を敢行する例がみられ

る。また、組織窃盗、クレジットカード偽造犯罪、偽装結婚等の犯罪を中心として、国際犯罪組織

- 46 -

と暴力団が連携して、それぞれ役割を分担しつつ犯罪を敢行するなど、犯罪組織が相互に連携して

利益を追求している実態がみられ、犯罪主体の組織化、複雑化が進んでいる。このような情勢が、

捜査活動を困難化させている。

イ　国際犯罪組織の活動を支援する行為

国際犯罪組織に対し、日本人が、犯罪に利用する銀行口座、携帯電話、車両等を有償提供したり、

構成員が居住する住居を斡旋するなどして、来日外国人の犯罪行為自体や我が国での生活を様々な

角度から支援する行為が確認されている。このような行為が、我が国における国際犯罪組織の浸透

を促進させ、犯罪の敢行を容易ならしめる一因となっている。

ウ　国際犯罪組織と来日外国人の相互依存

身分証明書等偽造組織が不法滞在者に偽造身分証明書を販売して利益を得るとともに、不法滞在

者も正規滞在を偽装して我が国に滞在、稼働する利益を得る事例、地下銀行組織が来日外国人の稼

働収益等を母国に送金して手数料収益を得るとともに、来日外国人も簡易な方法により海外送金の

便宜を受ける事例等にみられるように、国際犯罪組織と来日外国人との相互依存関係が構築されて

いるとみられる例がある。

エ　犯罪のグローバル化による困難性の増大

来日外国人犯罪をめぐっては、従来のヒット・アンド・アウェイ型の単発的な犯罪から、組織が

多国籍化し、国を超えて入り乱れるなど、犯罪のグローバル化というべき状況が現れている。

犯罪のグローバル化により、国際犯罪組織相互の連携や多国籍犯罪集団の出現、あるいは、それ

ら組織、集団の離合集散が繰り返され、組織全体の不透明化、流動化が進み、捜査対象の世界的拡

散が進むなど、従来とは異質の要素が出現しつつあり、犯罪グループの特定、追跡が困難化してい

る。

２　来日外国人犯罪対策の取組みの現状

前述のように、来日外国人犯罪をめぐる情勢は依然として厳しい状況にある一方で、これらの犯罪

捜査に当たっては、日本人の犯罪に対する捜査には無い様々な困難が伴うところである。このような

情勢の中で、実効ある来日外国人犯罪対策を推進するためには、入管、税関等国内の関係機関との連

携や外国治安機関等との協力が必要不可欠である。以下では警察における来日外国人犯罪対策の取組

みの現状等について概説する。

(1) 国内関係機関との連携

ア　水際における取締り

平成17年１月、警察庁、法務省及び財務省は共同で、航空会社の協力を得て、航空機で来日する

旅客及び乗員に関する情報と関係省庁が保有する要注意人物等に係る情報を入国前に照合すること

のできる事前旅客情報システム（APIS；Advance Passenger Information System）を導入した。当

初は航空会社の任意の協力により情報の提供を受けていたが、改正入管法により情報の事前提出が

航空機及び船舶の長に義務付けられ、平成19年２月から施行されている。

また、偽変造旅券の使用や他人へのなりすましによる不法入国等を防ぐため、改正入管法により、

外国人が入国する際に指紋等の個人識別情報を提出することが義務化され、平成19年11月から実施

されている。

イ　その他の取組み

- 47 -

警察では、法務省入国管理局と協力し、合法滞在を装う者やこれらを組織的に幇助する者等の徹

底した取締りを行うため、情報交換を行うとともに、合同で不法滞在者の摘発を実施するなどして

いる。また、盗難自動車の不正輸出入を防止するため税関と情報交換を行うなど、国内関係機関と

の連携を強化している。

このほか、不法滞在・不法就労防止のための指導啓発活動、防犯講習及び研修生受入企業に対す

る日常の生活指導を推進するなどしている。

(2) 外国治安機関等との協力

日本で犯罪を敢行した被疑者が外国人である場合、住所や氏名、生年月日等を把握するためには、

その者の国籍国へ照会を要する場合があり、また被疑者が国外に逃亡した場合には、逃亡先国に所在

確認の依頼を要する場合がある。このように、国際犯罪の捜査には、外国の治安機関の協力が重要で

あり、警察では、事件の解決に向けて、国際刑事警察機構（ICPO）や外交ルート等を通じて外国の治

安機関と情報交換を行ったり、捜査協力を求めるなどして連携を図っている。また、外国から協力を

得るためには、日本警察も同様に、外国の治安機関が行う捜査に協力する必要があることから、積極

的に国際的な捜査協力を行っている。

さらに、このような個別の事件での協力のほか、二国間の協議、条約の締結交渉への積極的な参画

等を行うとともに、相手国の関係閣僚や治安機関の職員と様々な治安問題について共に検討し、協力

関係を強化するよう努めている。

ア ICPOを通じた捜査協力

ICPOは、国際犯罪に関する情報の収集と交換、犯罪対策のための各種国際会議の開催、国際手配

書の発行等を行う、各国の警察機関を構成員とする国際機関であり、平成22年末現在、188か国・

地域が加盟している。各国・地域は連絡窓口として国家中央事務局を置くこととされており、日本

では警察庁がこれに指定されている。

ICPOは、加盟国・地域間の情報交換をより迅速かつ確実に行えるようにするため、盗難車両や盗

難旅券、国際手配被疑者等のデータベースを事務総局で運用している。警察庁では、日本の盗難車

両や紛失・盗難旅券等に関する情報を提供している。

さらに、警察庁は、ICPOが開催する国際組織犯罪対策に関連する様々な会合に参加するほか、捜

査協力の実施、事務総局への職員の派遣、分担金の拠出等により、ICPOの活動に貢献している。

外国に対し捜査共助を要請した件数の推移

外国から捜査共助を要請された件数の推移

ICPOを通じた情報の発信・受信状況

- 48 -

イ　外国治安機関との協議

警察庁は、日本との間で多くの国際犯罪が敢行される国や来日外国人犯罪者の国籍国等の治安当

局との間で開催される二国間協議に積極的に参画し、これらの国々との連携の強化に努めている。

○ 中国

中国との間では、平成16年以降、来日中国人犯罪対策に関する相互協力の枠組み等について

協議するため、警察庁と中国公安部との間で会議を開催しており、平成22年６月には、北京で

第６回会議が開催された。今後、中国公安部との間においては、日本で犯罪を犯し中国に帰国

した被疑者の所在捜査、国外犯処罰規定の適用を働きかけるなどの取組みを一層推進する。

○ 韓国

韓国との間では、平成７年以降、日韓両国間のICPOルートによる国際捜査共助の推進方策等

について協議するため、ICPOルートの連絡窓口である警察庁と韓国警察庁の間で日韓ICPO実務

担当者会議を開催していたが、日韓警察間の協力の重要性に鑑み、平成22年からは、局長級に

よる日韓警察協議に格上げとなった。平成22年10月にソウルで開催された第１回会合では、日

韓警察における捜査協力の強化方策等について協議した。

○ ロシア

ロシアとの間では、捜査情報の交換体制の改善等について協議するため、警察庁とロシア内

務省極東連邦管区内務総局との間で実務者会合を平成16年以降５回開催している。

ウ　各国との刑事共助条約締結交渉

刑事共助条約は、国際礼譲で行われていた共助の実施を条約上の義務とすることにより、共助が

確実に実施されることを担保するとともに、共助の実施のための連絡を、外交当局間ではなく、条

約が指定する中央当局間で直接行うことにより、事務処理の合理化・迅速化を図る条約である。

平成18年７月に我が国初の二国間刑事共助条約として「日米刑事共助条約」が発効し、その後、

平成19年１月には「日韓刑事共助条約」、平成20年11月には「日中刑事共助条約」、平成21年９月

には「日・香港刑事共助協定」が発効した。このほか、平成23年１月には「日・EU刑事共助協定」、

平成23年２月には「日露刑事共助条約」が発効することとなった。

(3) 国外逃亡被疑者等の追跡

日本国内で犯罪を行い、国外に逃亡している者及びそのおそれのある者(以下「国外逃亡被疑者等」

という。)の数は、平成22年末現在で879人となっている。警察では、被疑者が国外に逃亡するおそれ

がある場合には、入国管理局に手配するなどして出国前の検挙に努めている。また、被疑者が国外に

逃亡した場合には、関係国の捜査機関等の協力を得ながら所在の確認を行うなどし、所在が確認され

れば犯罪人の引渡しに関する条約等に基づく引渡請求や、それが困難な場合は当該国の国内法に基づ

く国外犯処罰への働きかけ等を行っている。

- 49 -

第５　統計からみる来日外国人犯罪の検挙状況

１　刑法犯検挙状況

(1) 罪種等別検挙状況

ア　包括罪種別検挙状況

平成22年中の刑法犯包括罪種別の検挙状況は、前年に比べ、粗暴犯の件数、風俗犯の件数・人員

が増加したほか、多くの罪種で減少している。

来日外国人　刑法犯　包括罪種別検挙　推移

イ　凶悪犯検挙状況

(ｱ) 罪種別検挙状況

平成22年中の凶悪犯（殺人、強盗、放火及び強姦）の検挙件数・人員は、168件・191人で、前

年に比べ、件数が27件（13.8％）、人員が48人（20.1％）減少した。

- 50 -

来日外国人　凶悪犯検挙　推移

(ｲ) 強盗事件検挙状況

平成22年中の凶悪犯検挙168件､191人のうち、強盗事件が111件(構成比66.1％)、133人(同69.6

％)を占め、前年に比べ、23件(17.2％)、42人(24.0％)減少している。強盗事件の検挙件数を手

口別にみると、侵入強盗の構成比は38.7％、非侵入強盗の構成比は61.3％で、前年に比べ、侵入

強盗の占める割合が増加している。

来日外国人　手口別　強盗検挙件数　推移

来日外国人　手口別　強盗検挙人員　推移

ウ　窃盗犯検挙状況

平成22年中の窃盗犯の検挙件数・人員は、10,474件・3,457人で、前年に比べ、件数が5,976件

(36.3％)、人員が279人(7.5％)減少した。このうち、重要窃盗犯(侵入盗、自動車盗、ひったくり

及びすり)の検挙件数・人員は、4,313件・361人で、件数が4,428件(50.7％）、人員が105人(22.5％)

減少している。

重要窃盗犯以外の窃盗犯の検挙件数・人員は、6,161件・3,096人で、検挙件数は1,548件（20.1

％）、人員は174人（5.3％）減少した。

- 51 -

来日外国人　窃盗犯検挙　推移

エ　粗暴犯検挙状況

平成22年中の粗暴犯の検挙件数･人員は、846件･938人で、前年に比べ、24件（2.9％）増加して

おり、高止まり状態が続いている。

来日外国人　粗暴犯検挙　推移

- 52 -

オ　知能犯検挙状況

平成22年中の知能犯の検挙件数・人員は、747件・522人で、前年に比べ、218件（22.6％）、20人

(3.7％)減少したが、検挙人員は高止まり状態が続いている。罪種別では、前年に比べ、支払用カ

ード偽造が14件(16.9％)、６人(75.0％)増加している。

来日外国人　知能犯検挙　推移

カ　風俗犯検挙状況

平成22年中の風俗犯の検挙件数･人員は、96件･103人で、前年に比べ、19件(24.7％)、27人(35.5

％)増加している。罪種別では、前年に比べ、強制わいせつが24件（46.2％）、23人（60.5％）増加

している。

来日外国人　風俗犯検挙　推移

- 53 -

キ　財産犯被害額

平成22年中に検挙した来日外国人にかかる財産犯の被害総額は、約42億円にのぼり、そのうち､

約40億円(構成比96.1％)が窃盗犯被害によるものである。特に､侵入盗被害が約22億円(構成比54.0

％）､乗り物盗被害が約10億円(同26.0％)と高い割合を占めている。前年に比べると、強盗の被害

額が約1.8倍に増加している。

来日外国人　検挙事件（財産犯）　主要罪種等別　被害状況（単位：千円）

(2) 国籍等別検挙状況

ア　主要国籍等別検挙状況

(ア) 主要国籍等別罪種等別検挙状況

平成22年中の来日外国人にかかる刑法犯検挙件数・人員における主要５か国の検挙状況を前年

と比べると、ベトナム人の検挙件数が増加した以外いずれも減少している。

主要国籍別　検挙状況　比較

(イ) 主要国籍等別検挙状況の推移

平成22年中における来日外国人にかかる刑法犯検挙件数・人員に占める主要国籍等別の割合は、

検挙件数では、中国人が37.4％を占め、以下、ブラジル人18.0％、ベトナム人10.7％の順となって

いる。検挙人員では、中国人が40.8％、韓国人が10.1％、ベトナム人が9.1％の順となっている。

- 54 -

主要国籍別　刑法犯検挙件数　推移

主要国籍別　刑法犯検挙人員　推移

イ　主要罪種等別・国籍等別検挙状況

平成22年中の来日外国人による主要罪種等別検挙状況（件数）を国籍・地域別にみると、自動車

盗、車上ねらい及びすりを除き、中国人の占める割合が高い。

- 55 -

- 56 -

主要国籍等別・罪種等別検挙状況

- 57 -

- 58 -

(3) 共犯事件検挙状況

ア　共犯事件検挙状況

平成22年中の来日外国人にかかる刑法犯検挙に占める共犯事件の比率は51.8％で、前年に比べ、

9.8ポイント減少した。

来日外国人刑法犯検挙に占める「共犯事件」の推移

イ　共犯形態別検挙状況

刑法犯検挙件数を共犯形態別にみると、日本人の共犯事件は15.8％(単独犯84.2％)であるのに対

し、来日外国人の共犯事件は51.8％(単独犯48.2％)に及び、共犯事件の比率が日本人の約3.3倍と

なっている。

また、来日外国人にかかる刑法犯検挙に占める共犯形態の比率は２人組が18.6％で最も高く、次

いで４人組以上が17.1％となっている。

ウ　主要罪種等別・共犯形態別検挙状況

罪種等別にみると、窃盗、特に住宅対象の侵入盗の共犯事件比率が89.7％と高く、中でも３人組

による共犯事件の比率が高くなっている。

共犯形態別　罪種等別　刑法犯検挙件数

注：来日外国人と日本人との共犯事件は、主たる被疑者の国籍等によりそれぞれに計上

- 59 -

(4) 在留資格別検挙状況

ア　在留資格別検挙状況

刑法犯検挙人員に占める正規滞在者及び不法滞在者の推移をみると、正規滞在者の割合が年々増

加し、不法滞在者の割合は減少傾向にある。

平成22年中の刑法犯検挙人員の在留資格別検挙（正規滞在者及び不法滞在者）を在留資格ごとに

国籍・地域別でみると、「短期滞在」では韓国人及び中国人、「留学、就学、研修」では中国人、「定

住者」ではブラジル人の割合が高くなっている。

来日外国人　正規滞在・不法滞在別　検挙人員推移

来日外国人　刑法犯検挙人員　在留資格別（正規滞在）　検挙状況推移

来日外国人　刑法犯検挙人員　在留資格別（不法滞在）　検挙状況推移

- 60 -

刑法犯検挙人員　（短期滞在）

刑法犯検挙人員　（留学）

刑法犯検挙人員　（就学）

刑法犯検挙人員　（研修）

刑法犯検挙人員　（定住者）

- 61 -

イ　罪種等別・正規滞在者・不法滞在者別検挙状況

刑法犯検挙人員に占める不法滞在者の比率を包括罪種別にみると、凶悪犯では191人中23人（構

成比12.0％）、知能犯で522人中117人（同22.4％）と高い比率となっている。罪種等別にみると、

侵入強盗が47人中７人（同14.9％）、侵入盗が271人中83人（同30.6％)を占めており、他の罪種に

比べて高い。

来日外国人　罪種等別　在留資格別　検挙人員

(5) 発生地域（管区等）別検挙状況

ア　発生地域（管区等）別検挙状況

平成元年以降における刑法犯検挙件数の推移を発生地域別にみると、平成６年までは東京都が最

も多く、平成７年以降は、平成14年及び平成15年の２年間は中部、それ以外は、関東が最も多い状

態が続いている。

来日外国人　発生地域（管区等）別　刑法犯検挙件数　推移

- 62 -

イ　包括罪種等別検挙状況

平成22年中の刑法犯包括罪種等別検挙件数をみると、前年に比べ、強盗を含む凶悪犯が東京都、

知能犯が東北、近畿及び中国で増加している一方、関東における窃盗犯が大幅に減少している。

来日外国人　発生地域（管区等）別　包括罪種等別　刑法犯検挙件数　比較

ウ　強盗、侵入盗及び自動車盗の発生地域（管区等）別検挙状況の推移

国民が大きな不安を感じている犯罪のうち、強盗、侵入盗及び自動車盗の発生地域別検挙件数を

平成７年から５年ごとにみると、平成22年の強盗は、東京都が最も多い一方、関東では平成17年の

約３割に減少している。窃盗では、中部及び中国を除き、各地域とも最小となっている。侵入盗で

は、東京都及び関東での減少が著しい。自動車盗では、関東は平成22年が最も多いのに対し、中部

は平成17年と比較し半減している。

来日外国人　発生地域（管区等）別　罪種等別　刑法犯検挙件数　比較

２　特別法犯検挙状況

(1) 主要国籍等別・違反法令別検挙状況

平成22年中の来日外国人にかかる特別法犯の検挙状況は、前年に比べ、風適法の検挙人員が増加し

たが、入管法違反及び薬物事犯などはいずれも減少した。

来日外国人　国籍・地域別　検挙件数・人員

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主要国籍別　違反法令別　検挙件数　比較

注：「風適法」とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律をいう。

注：「売防法」とは、売春防止法をいう。

注：「銃刀法」とは、銃砲刀剣類所持等取締法をいう。

主要国籍別　特別法犯検挙件数　推移

主要国籍別　特別法犯検挙人員　推移

- 64 -

(2) 在留資格別検挙状況

ア　在留資格別検挙状況

特別法犯検挙人員に占める正規滞在者及び不法滞在者の推移をみると、不法滞在者の割合がここ

数年減少し、正規滞在者の割合は増加している。

平成22年中の特別法犯検挙人員の在留資格別検挙（正規滞在者及び不法滞在者）を在留資格ごと

に国籍・地域別でみると、「短期滞在」では韓国人、フィリピン人及び中国人、「留学、就学、研

修」では中国人、「定住者」ではブラジル人の割合が高くなっている。

来日外国人　正規滞在・不法滞在別　検挙人員推移

来日外国人　特別法犯検挙人員　在留資格別（正規滞在）　検挙状況推移

来日外国人　特別法犯検挙人員　在留資格別（不法滞在）　検挙状況推移

- 65 -

特別法犯検挙人員 (短期滞在)

特別法犯検挙人員　（留学）

特別法犯検挙人員　（就学）

特別法犯検挙人員　（研修）

特別法犯検挙人員　（定住者）

- 66 -

イ　違反法令別・正規滞在者・不法滞在者別検挙状況

特別法犯検挙人員に占める不法滞在者の比率を違反法令別にみると、入管法違反では3,189人中

2,606人（構成比81.7％）、薬物事犯が538人中77人(同14.3％)、風適法違反が517人中31人(同6.0

％)となっている。

来日外国人　違反法令別　在留資格別　検挙人員

(3) 入管法違反等の検挙状況

ア　入管法違反検挙状況

平成22年中の来日外国人にかかる入管法違反の検挙件数・人員は3,672件・3,189人で、前年に比

べ、件数が1,065件（22.5％）、人員が861人（21.3％）それぞれ減少した。

来日外国人　違反態様別　入管法違反検挙　推移

イ　国籍等別検挙状況

国籍・地域別検挙人員では、中国人が1,145人で全体の35.9％を占め、次いでフィリピン人、韓

国人及びタイ人の順となっている。前年比では、タイ人の減少率が最も高く(36.1％)なっている。

- 67 -

来日外国人　国籍・地域別　入管法違反検挙　推移

ウ　入管法第65条措置状況

入管法第65条に基づき、逮捕後、入国警備官に引き渡した人員は1,630人で、前年に比べ、1,163

人（41.6％）減少した。また、来日外国人にかかる入管法違反は、65条による措置人員と検挙人員

を合わせて4,872人で、前年に比べ2,024人（29.6％）減少した。

入管法第65条措置状況

エ　偽変造旅券等行使による不法入国の検挙状況

偽変造旅券等行使による不法入国事件の検挙人員は477人で、前年に比べ、218人（31.4％）減少

した。国籍・地域別検挙人員では、フィリピン人と中国人で全体の半数以上を占めている。

偽変造旅券等行使による国籍・地域別不法入国検挙人員の推移

注：船舶利用を除く不法入国、不法上陸、不法在留及び一部の旅券不携帯（偽変造旅券使用の事実を認めても、不法

入国・上陸時に使用した偽変造旅券が押収されず、旅券不携帯のみを立件したもの）を警察庁（外事課）において

集計したもの

オ　集団密航事件の検挙状況

平成22年中の集団密航事件の検挙は２件・８人で、前年に比べ、１件・５人減少した。

検挙人員のうち６人は韓国人であり、中国人の検挙はなかった。形態別でみると、航空機利用の

検挙はなく、船舶利用の検挙のみとなっている。

- 68 -

集団密航事件　検挙推移

注：海上保安庁による検挙を含む。警察庁（外事課）の集計

注：グラフは検挙人員

形態別　集団密航検挙推移

注：海上保安庁による検挙を含む。

注：警察庁（外事課）の集計

(4) 雇用関係事犯

ア　違反法令別検挙状況

平成22年中の外国人労働者（永住者等在日外国人を含む。）にかかる雇用関係事犯の検挙件数・

人員は、365件・400人で、前年に比べ、件数で８件（2.2％）、人員で９人（2.3％）増加している。

違反法令別では、入管法に規定する不法就労助長罪が360件（構成比98.6％)、390人（同97.5％)

と雇用関係事犯の大半を占めている。

雇用形態別では、飲食店等でホステスや売春婦等として稼働させる「風俗関係事犯」が131件（構

成比35.9％)、153人（同38.3％)、建設現場や工場等で稼働させる「一般労働関係事犯」が234件（同

64.1％)、247人（同61.8％）となっている。

外国人労働者雇用関係事犯検挙状況の推移

注：労働者派遣法とは、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律をいう。

注：外国人労働者に係る雇用関係事犯として警察庁（保安課）において集計したもの

イ　暴力団員及びブローカーの検挙状況

平成22年中の雇用関係事犯における暴力団員の検挙人員は７人（前年比１人減）で、ブローカー

については11人（同６人増）を検挙している。

- 69 -

外国人労働者雇用関係事犯中、暴力団員及びブローカー検挙人員の推移

注：暴力団員とブローカーの検挙人員には重複計上分がある。

注：警察庁（保安課）の集計

ウ　被雇用外国人の国籍等別状況

雇用関係事犯で摘発された事業所等に雇用されていた外国人（永住者等在日外国人を含む。以下

「被雇用外国人」という。）は708人で、前年に比べ、296人（29.5％）減少している。男女別では、

男性316人（構成比44.6％）、女性392人（同55.4％）となっている。国籍・地域別では、中国人が

242人（同34.2％、前年比２人減）、韓国人が157人（同22.2％、同172人減）、フィリピン人が135

人（同19.1％、同102人減）となっており、この３か国で534人と全体の75.4％を占めた。

摘発事業所被雇用外国人の国籍・地域別状況の推移

注：警察庁（保安課）の集計

エ　被雇用外国人の在留資格別状況

被雇用外国人の入国時の在留資格別をみると、依然として「短期滞在」が280人（構成比39.5％）

と最も多くを占めており、次いで「留学」が46人（同6.5％）となっている。

摘発事業所被雇用外国人の在留資格（入国時）別状況の推移

注：警察庁（保安課）の集計

(5) 売春事犯

平成22年中の来日外国人に係る売春防止法違反の検挙件数・人員は、144件・90人で、前年に比べ、

件数で129件（47.3％）、人員で８人（8.2％）それぞれ減少している。

- 70 -

検挙人員の違反態様別ではいわゆる街娼型売春事犯である勧誘等が38人（構成比42.2％）で最も多

く、国籍・地域別では、中国人が53人（同58.9％）、韓国人が18人（同20.0％）となっている。

来日外国人売春防止法違反検挙状況

来日外国人　国籍・地域別　売春防止法違反検挙人員　構成比

(6) 薬物事犯

ア　薬物事犯の検挙状況

平成22年中の来日外国人にかかる薬物事犯の検挙人員は538人で、前年に比べ、39人（6.8％）減

少している。

事犯別では、覚せい剤事犯が383人（前年比43人減）、麻薬及び向精神薬事犯（以下「麻薬等事犯」

という。）が60人（同３人増）、大麻事犯が93人（同６人増）、あへん事犯が２人（同５人減）とな

っている。

来日外国人　薬物事犯検挙人員　推移

イ　薬物事犯の国籍等別検挙状況

平成22年中の国籍・地域別の検挙人員は、ブラジル人は91人（前年比12人減）、フィリピン人は

63人（同６人増）、イラン人は54人（同39人減）である。

覚せい剤事犯の検挙人員をみると、ブラジル人は62人（前年比12人減）、イラン人は50人（同35

人減）と減少したが、フィリピン人は58人（同５人増）、韓国人は、24人（同７人増）に増加して

いる。

来日外国人　国籍・地域別　薬物事犯検挙人員　推移（主要３か国）

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来日外国人　国籍・地域別　薬物事犯検挙人員　推移（主要国）

来日外国人　事犯別　国籍・地域別　薬物事犯検挙人員

３　少年犯罪

(1) 刑法犯検挙状況

ア　刑法犯検挙状況の推移

平成22年中の来日外国人犯罪のうち、少年（14歳以上20歳未満の者）に係る刑法犯の検挙件数・

人員は、909件・636人で、前年に比べ、件数で178件（16.4％）、人員で105人（14.2％）減少して

いる。

来日外国人少年　刑法犯検挙　推移

イ　包括罪種別検挙状況

来日外国人少年に係る刑法犯検挙のうち、包括罪種別では、前年に比べ、粗暴犯及び風俗犯の検

挙件数・人員、凶悪犯の検挙人員が増加したほかは減少している。

最も検挙の多い窃盗犯の検挙状況を10年前(平成12年)と比較すると、検挙件数が422件(39.5％)

減少し、検挙人員は７人(2.0％)増加している。

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来日外国人少年　刑法犯　包括罪種別　検挙状況　推移

ウ　国籍等別検挙状況

国籍等別の検挙状況をみると、検挙件数ではブラジル人少年(323件)、検挙人員ではフィリピン

人少年(137人)が最多となっている。

来日外国人少年　国籍・地域別　刑法犯検挙　推移

エ　主要国籍等別・主要手口等別検挙状況

(ア) 検挙状況

平成22年中における来日外国人少年の刑法犯検挙件数は、前年に比べ178件減少し、減少件数

のうち、142件(構成比79.8％)を窃盗犯が占めている。

窃盗犯の国籍等別検挙件数では、ブラジル人少年が278件、フィリピン人少年が74件、中国人

少年及びタイ人少年が63件となっている。

来日外国人少年　国籍・手口等別　刑法犯検挙件数　推移

(イ) 代表的な検挙事例

○ 中国人少年留学生による殺人未遂事件（２月・宮城）

１月30日、多賀城市内の学生寮において、同部屋の中国人留学生と携帯電話の話し声がうるさいこ

とから口論となり、果物ナイフで胸部を刺した事件で、２月４日、中国人少年留学生を殺人未遂で逮

捕した。

- 73 -

○ コロンビア少年らグループによる連続強盗致傷等事件（８月・埼玉、静岡、千葉）

４月下旬から埼玉・静岡・千葉県内において連続発生した路上強盗等事件で、８月までに不良少年

グループのコロンビア人少年１人、フィリピン人少年１人、日本人少年７人を強盗致傷、わいせつ略

取、強姦致傷、器物損壊等で逮捕等するとともに、埼玉県等３県に及ぶ強盗致傷事件等合計38件（被

害総額約600万円）を解明した。グループのリーダーであるコロンビア少年は、母国の犯罪組織に憧

れ、共犯少年を入れ替えながら連続して路上強盗等を敢行していた。

オ　発生地域（管区等）別検挙状況

来日外国人少年にかかる刑法犯検挙件数を犯罪の発生地域別にみると、関東、東京都及び中部で

全国の87.5％を占め、特に、関東(構成比56.0％)の割合が高くなっている。国籍等別で、最も検挙

件数の多いブラジル人少年は、関東及び中部で全国の97.8％を占めている。

来日外国人少年　発生地域別　国籍等別　刑法犯検挙件数

(2) 特別法犯検挙状況

ア　特別法犯検挙状況の推移

平成22年中の来日外国人少年にかかる特別法犯の検挙人員は89人で、前年に比べ、５人（6.0％）

増加している。

来日外国人少年　特別法犯　検挙人員　推移

イ　違反法令別検挙状況

来日外国人少年にかかる特別法犯検挙人員を違反法令別にみると、前年に比べ、軽犯罪法違反が

７人(43.8％)、入管法違反が４人(12.5％)増加している。

入管法違反の内訳をみると、不法残留が減少した一方で、旅券不携帯・提示拒否、資格外活動が

増加している。

来日外国人少年　違反法令別　特別法犯検挙人員　推移

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来日外国人少年　違反態様別　入管法違反検挙人員　推移

ウ　国籍等別検挙状況

国籍等別の検挙人員では、前年と比べ、中国人少年、ベトナム人少年、バングラデシュ人少年等

が増加し、ブラジル人少年等は減少した。

特に、中国人少年は、前年に比べ７人(50.0％)増加している。

来日外国人少年　国籍等別　特別法犯検挙人員　推移

４　国外逃亡被疑者等の状況

(1) 国外逃亡被疑者等の推移

平成22年末現在の国外逃亡被疑者等は879人で、前年に比べ、34人（4.0％）増加し、うち外国人被

疑者は705人で、前年に比べ、22人（3.2％）増加している。

国外逃亡被疑者等の推移

注：「国外逃亡被疑者等」とは、「日本国内で犯罪を行い、国外に逃亡している者及びそのおそれのある者」をいう。

注：警察庁(国際捜査管理官)の集計

(2) 罪種等別の国外逃亡被疑者等数

平成22年末現在の国外逃亡被疑者等879人のうち、外国人被疑者705人を包括罪種別、違反法令別に

みると、刑法犯では585人中、凶悪犯が232人で最も多く、次いで窃盗犯が201人、知能犯が78人の順、

特別法犯では120人中、入管法違反が47人で最も多く、次いで薬物事犯が33人となっている。

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包括罪種等別国外逃亡被疑者等数

注：１人の被疑者につき数罪ある場合には、重い罪で計上した。

注：警察庁(国際捜査管理官)の集計

(3) 国籍等別の国外逃亡被疑者等数

平成22年末現在の国外逃亡被疑者等を国籍・地域別にみると、中国人が296人（構成比33.7％）、次

いで日本人が174人（同19.8％）となっている。

国籍等別　国外逃亡被疑者等数

注：警察庁(国際捜査管理官)の集計

(4) 推定逃亡先国・地域別の国外逃亡被疑者等数

平成22年末現在の国外逃亡被疑者等を推定逃亡先国・地域別にみると、中国が199人（構成比22.6

％）と最も多く、次いでブラジルが86人（同9.8％）、韓国が57人（同6.5％）及びフィリピンが50人

（同5.7％）となっている。

(5) 国外逃亡被疑者等の検挙状況

平成22年中に検挙した国外逃亡被疑者等は92人（うち外国人被疑者40人）である。

国内の国際海・空港等において国外逃亡寸前に検挙した被疑者は７人（うち外国人被疑者６人）と

なっている。

［検挙事例］

平成19年６月、東京都内の貴金属店に客を装って侵入し、店員に対して催涙スプレーを吹き付け、

店内に陳列されていた２億8,000万円相当の貴金属を奪い取った強盗致傷事件で国際手配されていた

「ピンクパンサー」と呼ばれる国際的武装強盗組織の構成員であるモンテネグロ国籍の男らについて、

警察ではICPO及び関係外国機関と緊密に連携を図りながら捜査中のところ、１人がスペインで身柄を

拘束されていることが判明したことから、同国に対し外交ルートによる身柄引渡請求を行い、平成22

年８月、身柄の引渡しを受け、同人を逮捕した。

(6) 国外犯処罰規定の適用状況

平成22年中に国外において国外犯処罰規定が適用されたのは、少なくとも４件５人である。

- 76 -

第６　主要検挙事件

１　犯罪のグローバル化対策対象事犯

(1) グローバル化事犯

ア　世界的規模で活動する犯罪組織の日本への浸透

【事例１】　マレーシアにおける日本在住のフィリピン国籍女性被害に係る身代金目的誘拐事件

（平成21年12月・警視庁）

平成21年12月、日本在住のフィリピン国籍の女性が、インターネットのチャットで知り合った男性に

会うためマレーシアへ渡航したところ、空港でナイジェリア人の男らに誘拐された上、電話により日本

在住の妹に身代金の要求がなされた事件で、警察では、事件認知後、直ちにICPOルートによりマレーシ

ア警察に対して、事件発生を通報するとともに、捜査協力を要請した。その上で、日本警察及びマレー

シア警察において、それぞれ捜査体制を整え、相互に情報交換を行うなどして、緊密な連携を図った。

その後、被疑者らは、女性の処置に困り同女を解放したが、保護された同女の供述に基づき、マレーシ

ア警察において、ナイジェリア人の男５人及びマレーシア人の男女３人を逮捕した。

【事例２】　壁破りを侵入手段とした貴金属店対象の多額窃盗事件（１月・警視庁）

１月、都内の貴金属店において外壁が破壊され、腕時計約200点（販売価格約２億5,000万円）が窃取

された事件で、犯行の手口から「爆窃団」による犯行である可能性が高いと考えられたことから、香港

警察と情報交換を行い、香港警察において、同月、本件の関連被疑者の中国（香港）人６人（男３人・

女３人）を香港の法令に基づく盗品処分罪で逮捕し、腕時計約180点、宝石・指輪等約100点（腕時計の

うち約160点は本件被害品）を押収した。

イ　構成員の多国籍化

【事例１】　イラン人らによる不法入国等事件（４月・千葉）

４月15日、成田国際空港において偽造フランス旅券を提示して不法入国したイラン人男性を入管法違

反（不法入国）・偽造有印私文書行使で、同人を引率したイギリス人男性を入管法違反(営利目的の不法

入国援助）で逮捕した。

【事例２】　バングラデシュ人男性らによる偽装結婚事件（５月・神奈川）

バングラデシュ人男性が、長期在留資格を得るため偽装結婚した事件で、５月27日までに、偽装結婚

を仲介していた日本人男性１人、日本人女性１人及びパキスタン人女性１人、当事者の日本人女性１人

を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕するとともに、当事者のバングラデシュ人男性１人を入

管法違反（不法在留）で逮捕し、後に電磁的公正証書原本不実記録・同供用で再逮捕した。

【事例３】　風俗営業店（社交飲食店）経営者らによる不法就労助長、売春防止法違反事件（６月・三重）

台湾人女性経営者らが、３月11日から５月24日までの間、伊賀市所在の風俗営業店（社交飲食店）に

おいて、短期滞在の資格で在留し、資格外活動の許可を受けていない外国人女性をホステスとして稼働

させていた事件で、同店経営者及び従業員２人を入管法違反（不法就労助長）、外国人ホステス（台湾

- 77 -

人５人、中国人１人）を同法違反（資格外活動）で逮捕するとともに、同店において外国人ホステスに

飲食客との売春を周旋していたとして、台湾人女性経営者と従業員（中国人女性）を売春防止法違反(周

旋）、同店の風俗営業許可名義人の従業員(日本人男性)を風適法違反（名義貸し）により検挙した。

【事例４】　ナイジェリア人らグループによるクレジットカード使用の架空請求詐欺未遂等事件

（７月・警視庁）

飲食店を経営する首謀者のナイジェリア人が多国籍の外国人と結託の上、飲食客が提示したクレジッ

トカードを端末機に挿入し、架空の多額飲食代金をカード会社に請求した事件で、７月までに、ナイジ

ェリア人２人、ミャンマー人３人、ロシア人１人及び日本人２人を有印私文書偽造・同行使、詐欺未遂

で逮捕した。

ウ　犯罪行為の世界的展開

【事例１】　中国人グループによるオンラインショッピング利用のクレジットカード詐欺事件

（６月・群馬）

平成21年１月ころから平成22年４月ころまでの間に、詐欺組織の首謀者と認められる者が、不正に入

手したヨーロッパ等の外国人名義のクレジットカード情報を使用し、オンラインショッピングにより、

中国国内から日本の家電量販店の商品を大量に注文し、その電化製品を日本国内に居住する中国人学生

等に受け取らせて詐取していた詐欺事件で、６月30日までに、中国人５人を逮捕するとともに、１都１

府13県にわたる詐欺等287件（被害総額合計約5,700万円）を解明した。この詐欺グループでは、首謀者

と認められる者が中国国内から、日本国内に居住する中国人指南役等に指示し、詐取した商品を中古家

電買取業者に売却して現金化させ、中国国内の銀行に送金させていた。

(2) 犯罪インフラ事犯（ヤード関連事犯については、次項に記載）

ア　地下銀行

【事例１】　フィリピン人による銀行法違反事件（１月・京都）

平成20年10月ころから平成21年５月ころまでの間、京都市所在の自己経営の雑貨店を拠点としてフィ

リピン人ホステス等62人から送金依頼を受け、310回にわたり総額約1,129万円をフィリピンへ不正送金

していた事件で、平成22年１月20日、フィリピン人１人を銀行法違反で逮捕した。

【事例２】　フィリピン国居住の日本人による銀行法違反事件（３月・香川）

平成11年ころから平成20年７月ころまでの間、日本国内あるいはフィリピン国内（現地事務所）にお

いて、電話若しくはファックスで日本人、フィリピン人等から送金依頼を受け、約2,000回にわたり約

９億円をフィリピンへ不正送金していた事件で、平成22年３月23日、フィリピン国居住の日本人１人を

銀行法違反で検挙した。

【事例３】　フィリピン人による銀行法違反事件（５月・福岡）

平成12年ころから平成22年４月ころまでの間、福岡県内に所在する自己経営の輸入雑貨店を拠点に、

フィリピン人から送金依頼を受け、約２億円をフィリピンへ不正送金していた事件で、５月24日、フィ

リピン人１人を銀行法違反で逮捕した。

- 78 -

【事例４】　フィリピン人による銀行法違反事件（８月・滋賀）

平成20年３月ころから平成21年10月ころまでの間、彦根市所在の自己の経営する雑貨店等を拠点とし

て、フィリピン人らから送金依頼を受け、188万円をフィリピンへ不正送金していた事件で、平成22年

８月19日、フィリピン人１人を銀行法違反で逮捕した。

【事例５】　フィリピン人による銀行法違反事件（９月・京都）

平成21年11月ころから12月ころまでの間、フィリピン人ホステスらから送金依頼を受け、総額146万

円をフィリピンへ不正送金していた事件で、平成22年８月23日、フィリピン人１人を銀行法違反で逮捕

した。

【事例６】　韓国人による銀行法違反事件（９月・山形）

平成18年ころから平成22年７月ころまでの間、名古屋市内の韓国食材スーパーを拠点とし、日本国内

居住の韓国人合計約1,000人から送金依頼を受け、総額約50億円を韓国へ不正送金していた事件で、９

月までに、韓国人４人を銀行法違反で逮捕した。被疑者は、送金１回につき依頼人から1,000円の手数

料を受け取り、逮捕されるまでの間、少なくとも約３億1,000万円の不法利益を得ていた。

【事例７】　中国人による銀行法違反事件（９月・愛知）

平成20年８月ころから平成22年７月ころまでの間、中国人約4,600人から合計約6,600回にわたり送金

依頼を受け、約44億5,000万円を中国へ不正送金していた事件で、９月までに、中国人３人を銀行法違

反等で逮捕した。被疑者は、日本企業と中国企業との貿易取引を利用してプール資金を補塡していた。

【事例８】　インドネシア人による銀行法違反事件（９月・静岡）

平成21年９月ころから平成22年９月ころまでの間、全国のインドネシア人等の技能実習生ら約300人

から送金依頼を受け、総額約１億2,000万円をインドネシアへ不正送金していた事件で、９月13日、イ

ンドネシア人２人を銀行法違反で逮捕した。被疑者は、送金１回につき依頼人から500円から1,000円の

手数料を受け取り、逮捕されるまでの間、少なくとも約210万円の不法利益を得ていた。

【事例９】　フィリピン人による銀行法違反事件（10月・福岡、佐賀）

平成12年ころから平成22年５月ころまでの間、佐賀市内でドレスショップ等を経営するフィリピン人

妻と日本人夫が、フィリピンへ不正送金していた事件で、同人らを10月27日に銀行法違反で逮捕した。

なお、フィリピン人妻の銀行口座には、フィリピン人ら合計約460人から、総額約３億7,000万円が振り

込まれているのを確認している。

イ　偽装結婚

【事例１】　中国人らによる偽装結婚、風適法違反事件（２月・栃木）

不法在留の中国人女性が、就労を目的として長期在留資格を得るため偽装結婚していた事件で、２月

８日、妻役の中国人女性１人、夫役の日本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕す

るとともに、偽装結婚後、同女がエステ店を買い取り経営していたとして、風適法違反（禁止地域にお

ける性風俗特殊営業）で再逮捕した。

【事例２】　中国人らによる偽装結婚、出生届の虚偽申請事件（４月・神奈川）

不法在留中の中国人同士の間に出生した子供に日本国籍を不正取得させるため、日本人男性との内容

虚偽の婚姻届及び出生届を市役所に提出して受理させた事件で、４月12日までに、当事者の日本人男性

- 79 -

１人と中国人女性１人及びブローカーの日本人男性１人他２人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用

で逮捕等した。

【事例３】　中国人による偽装結婚事件（５月・北海道）

中国人女性が、就労を目的として長期在留資格を得るため偽装結婚した事件で、５月18日までに、偽

装結婚の当事者で永住資格を有する中国人男性１人、同当事者の中国人女性１人及び仲介者の中国人女

性１人を公正証書原本不実記載・同行使で逮捕した。

【事例４】　フィリピン人らによる偽装結婚、出生届の虚偽申請事件（６月・山梨）

日本人のクラブ経営者らが、フィリピン人女性の長期在留資格を取得し、かつ同女が別の日本人との

間に出生した子供に日本国籍を取得させるため、内容虚偽の婚姻届及び出生届を市役所に提出して受理

させた事件で、６月４日までに、クラブ経営者（仲介役）である日本人男性１人及びフィリピン人男性

１人、当事者のフィリピン人女性１人、日本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕

等した。

【事例５】　韓国人らによる偽装結婚等事件（６月・静岡）

韓国人女性が、長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、６月23日までに、当事者の韓

国人女性１人、日本人男性１人、斡旋者の日本人女性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮

捕した。韓国人女性は、退去強制歴を有していたことから、テープ状の偽装した指紋で外国人生体情報

認証システムを通過して、本邦に不法に入国していた。

【事例６】　フィリピン人らによる偽装結婚事件（６月・茨城）

フィリピン人女性が、就労を目的として長期在留資格を得るため偽装結婚した事件で、６月24日まで

に、偽装結婚の妻役のフィリピン人女性１人、日本人男性１人及びブローカーら２人を公正証書原本不

実記載・同行使で逮捕した。

【事例７】　中国人らによる偽装結婚事件（６月・石川）

繁華街でホステスとして稼働していた留学資格の中国人女性が、長期在留資格を得るため偽装結婚し

た事件で、６月28日までに、偽装結婚の妻役の中国人女性１人、夫役の日本人男性１人及び仲介者の日

本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕した。

【事例８】　フィリピン人らによる偽装結婚等事件（８月・愛知、静岡）

フィリピン人女性が、就労を目的として長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、７月

21日までに、当事者のフィリピン人女性４人、日本人男性４人、ブローカーの暴力団組員を含む日本人

４人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕した。

【事例９】　日本人ブローカーらによる偽装結婚、職業安定法違反等事件（８月・香川）

外国人派遣会社を経営するブローカーらが、本邦での長期在留を希望する中国人女性と日本人男性

を偽装結婚させていた事件で、８月９日までに、ブローカー夫婦の日本人男性１人、中国人女性１人、

仲介斡旋者の日本人男性３人及び当事者の中国人女性１人、日本人男性３人を電磁的公正証書原本不

実記録・同供用で逮捕等した。また、日本人の配偶者等の在留資格を取得させた後、同女らをソープ

ランドで稼働させていたことから、上記ブローカー夫婦及び仲介斡旋の日本人男性１人ほか、暴力団

幹部を含む日本人男性２人、女性３人を売春防止法、職業安定法違反で逮捕した。

【事例10】　ロシア人らによる偽装結婚事件（９月・奈良）

短期滞在で入国したロシア人女性が、長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、９月14

日までに、当事者のロシア人女性１人、日本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕

- 80 -

するとともに、婚姻証人のロシア人女性１人、日本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用

の幇助で在宅送致した。

【事例11】　ルーマニア人らによる偽装結婚事件（９月・長崎）

ルーマニア人女性が、就労を目的として長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、９

月30日までに、当事者のルーマニア人女性１人、日本人男性１人及び仲介者のルーマニア人女性１人、

日本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕等した。

【事例12】　フィリピン人らによる偽装結婚事件（10月・静岡）

フィリピン人女性が、長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、10月５日までに、当

事者のフィリピン人女性３人、日本人男性３人、仲介者の日本人男性２人及びブローカーの暴力団幹

部１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕した。

【事例13】　中国人らによる偽装結婚事件（10月・高知）

中国人女性が、長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、10月５日までに、当事者の

中国人女性１人、日本人男性１人及びブローカー、斡旋者ら日本人男性２人、女性１人、中国人女性

１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕等した。

【事例14】　パブ経営者らによる偽装結婚、児童扶養手当等不正受給詐欺事件（10月・岐阜）

フィリピンパブの経営者が、フィリピン人女性を日本で稼働させるため、同女と日本人男性を偽装

結婚させていた事件で、10月７日までに、当事者の日本人男性２人及び斡旋したパブ経営者の日本人

男性１人を電磁的公正証書原本不実記録・供用で逮捕するとともに、同経営者は、偽装結婚させた同

女による架空の子の出生届を提出するなどして児童扶養手当等を不正に受給していたことから詐欺で

再逮捕した。

【事例15】　中国人らによる偽装結婚事件（10月・神奈川）

中国人女性が長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、10月８日までに、当事者の中

国人女性１人、日本人男性１人、仲介者の日本人男性２人及び日本人ブローカー１人を電磁的公正証

書原本不実記録・同供用で逮捕した。

【事例16】　暴力団組員らによる偽装結婚事件（10月・宮城）

韓国人女性が、就労を目的として長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、10月12日

までに、当事者の韓国人女性１人、暴力団組員の日本人男性１人、仲介斡旋者の暴力団幹部ら日本人

男性３人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕した。

【事例17】　フィリピン人らによる偽装結婚事件（10月・熊本）

フィリピン人女性が、日本での長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、10月21日ま

でに、当事者のフィリピン人女性１人、日本人男性１人及び暴力団組員を含む斡旋仲介者ら日本人男

性３人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕した。

【事例18】　中国人らによる偽装結婚、出生届の虚偽申請事件（10月・栃木）

中国人女性が、日本での長期在留資格を取得し、かつ同女と中国人男性との間に出生した子供に日

本国籍を取得させるため、内容虚偽の婚姻届及び出生届を市役所等に提出して受理させた事件で､10月

21日までに、ブローカー等の日本人男性１人、中国人女性１人及び中国人男性１人並びに当事者の中

国人女性１人、日本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用等でそれぞれ逮捕した。

- 81 -

【事例19】　中国人らによる偽装結婚事件（10月・徳島）

中国人男性が、日本での長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、10月７日までに、

当事者の中国人男性１人、仲介者の日本人男性１人及び中国人男性１人を電磁的公正証書原本不実記

録・同供用で逮捕した。

【事例20】　韓国人らによる偽装結婚事件（10月・大阪）

韓国人女性が、就労を目的として長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、10月25日ま

でに、当事者の韓国人女性３人、日本人男性３人及び日本人男性ブローカーら３人を電磁的公正証書原

本不実記録・同供用で逮捕等した。

【事例21】　中国人らによる偽装結婚、出生届の虚偽申請等事件（10月・兵庫）

中国人女性が、日本での長期在留資格を取得し、かつ同女が中国人男性との間に出生した子供に日

本国籍を取得させるため、内容虚偽の婚姻届及び出生届を市役所に提出して受理させた事件で､９月16

日までに、当事者の中国人女性１人、日本人男性１人及び同女性の内縁の夫である中国人男性１人を

公正証書原本不実記載・同行使等で逮捕するとともに、出生届の虚偽申請にかかる児童手当等を不正

受給していたとして、10月25日までに上記当事者ら３人を詐欺で立件・送付した。

【事例22】　フィリピン人らによる偽装結婚事件（10月・徳島）

フィリピン人女性が、就労を目的として長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で､10月

28日、当事者のフィリピン人女性１人、日本人男性１人及び日本人男性ブローカーら２人を電磁的公

正証書原本不実記録・同供用で逮捕した。

【事例23】　暴力団組員が関与する中国人らによる偽装結婚事件（11月・岡山）

中国人女性が、日本での長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、11月５日までに、

当事者の中国人女性１人、暴力団組員の日本人男性１人及び仲介者らの日本人男性１人、中国人女性

１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕した。

【事例24】　中国人らによる偽装結婚等事件（11月・新潟）

中国人男性及び女性が日本での長期在留資格を取得するためそれぞれ日本人と偽装結婚していた事

件で、11月15日までに、当事者の中国人男性1人、同女性１人、日本人男性１人、同女性１人及びブロ

ーカーの中国籍から帰化した女性１人、日本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用等で

逮捕し、中国人女性１人を、外国人登録証明書の申請時に虚偽の住所地を申告したとして外国人登録

法違反で再逮捕した。

【事例25】　中国人らによる偽装結婚事件（11月・警視庁）

中国人女性が日本での長期在留資格を取得するため路上生活者と偽装結婚していた事件で、11月17

日、当事者の中国人女性１人、日本人２人及び中国籍から帰化した男性ブローカー１人を電磁的公正

証書原本不実記録・同供用で逮捕した。

【事例26】　韓国人らによる偽装結婚事件（12月・宮城）

韓国人女性が、日本での長期在留資格を取得するため偽装結婚していた事件で、12月２日までに、

当事者の韓国人男女２人、日本人男女２人及びブローカーらの日本人男女２人、韓国人男女２人を電

磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕等した。

- 82 -

ウ　偽装認知

【事例１】　フィリピン人らによる偽装認知事件（２月・栃木）

平成19年８月29日、フィリピン人女性が、同国人との間に生まれた子供に日本国籍を取得させる目的

で、日本人男性との間に生まれた子供として市役所に認知届を提出した事件で、平成22年２月22日、フ

ィリピン人女性２人を公正証書原本不実記載・同行使で逮捕した。

【事例２】　フィリピン人らによる偽装認知事件（２月・兵庫）

平成20年12月29日、フィリピン女性が、日本人（パブ経営者）との間に生まれる子供に日本国籍を取

得させる目的で、別の日本人男性との間に生まれる子供として市役所に胎児認知届を提出した事件で、

平成22年２月24日、フィリピン人女性１人、日本人男性２人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用で

逮捕した。

【事例３】　中国人らによる偽装認知、国籍法違反事件（４月・静岡）

平成21年４月14日、中国人女性が、同国人との間に生まれた子供に日本国籍を取得させる目的で、日

本人男性との間に生まれた子供として市役所に認知届を提出し、同年５月21日、法務局に国籍取得届を

提出するなどした事件で、平成22年４月30日までに中国人女性１人、同男性１人及び日本人男性１人並

びにブローカーの日本人女性１人を電磁的公正証書原本不実記録・同行使、国籍法違反で逮捕等した。

ブローカーの被疑者は､ツーショットダイヤルで知り合った日本人男性を偽装認知の父役とし３年間150

万円の報酬で勧誘し、中国人女性に斡旋していた。

【事例４】　タイ人らによる偽装認知事件（６月・茨城）

平成19年１月15日、タイ人女性が、氏名不詳の男性との間に生まれた子供に日本国籍を取得させる目

的で、日本人男性との間に生まれた子供として市役所に認知届を提出した事件で、平成22年６月２日、

仲介した日本人男性１人、当事者の日本人男性１人及びタイ人女性１人を電磁的公正証書原本不実記録

・同行使で逮捕した。

【事例５】　フィリピン人らによる偽装認知事件（９月・埼玉）

平成18年10月13日、フィリピン人女性が日本人男性との間にできた子供に日本国籍を取得させる目

的で、別の日本人男性との間にできた子供として市役所に認知届を提出した事件で､平成22年９月１日、

フィリピン人女性１人、日本人男性２人及び仲介者らの日本人男性１人、フィリピン人女性１人を公

正証書原本不実記載、同行使で逮捕した。

【事例６】　フィリピン人らによる偽装認知事件（10月・徳島）

平成20年８月18日、フィリピン人女性が氏名不詳の男性との間にできた子供を日本人男性に認知さ

せ、自らは日本人の子供を養うという理由で定住者の在留資格を取得し、本邦に長期在留して就労す

るために、日本人男性との間にできた子供として市役所に認知届を提出した事件で､平成22年10月６日

までに、フィリピン人女性１人、日本人男性１人及び仲介者の日本人男性２人を電磁的公正証書原本

不実記録、同供用で逮捕した。

エ　旅券・外国人登録証明書等偽造

【事例１】　スリランカ人による運転免許証不正取得事件（１月・警視庁）

平成19年６月26日、不法入国したスリランカ人が、知人の永住資格を有する同国人から依頼され、外

国免許証を本邦の運転免許証に切替申請するに際して、知人になりすまして自己の写真を貼付して申請

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し、知人名義の運転免許証の交付を受けた事件で、平成22年１月13日、スリランカ人２人を有印私文書

偽造・同行使等で逮捕した。

【事例２】　日本人らによる証印偽造にかかる有印公文書偽造等事件（１月・神奈川）

不法残留中の中国人男性から依頼を受け、旅券に貼付する「在留資格変更認定」と題するシール式証

印様文書を偽造した事件で、１月20日までに、中国人１人、日本人３人を有印公文書偽造等で逮捕した。

【事例３】　インドネシア人による偽造有印公文書行使等事件（２月・静岡）

平成19年６月ころ、不法在留中でありながら日本国内で稼働することを目的に、偽造外国人登録証明

書を雇用主に提出した事件で、平成22年２月８日、インドネシア人３人を偽造有印公文書行使等で逮捕

した。

【事例４】　パキスタン人による公正証書原本不実記載等事件（６月・岡山）

平成19年７月20日、アフガニスタンの偽造旅券を使用して短期滞在の在留資格で不法入国していたパ

キスタン人が、市役所に対し偽名等使用による内容虚偽の外国人登録申請書等を提出した事件で、平成

22年６月28日、パキスタン人１人を公正証書原本不実記載等で逮捕した。

【事例５】　中国人らによる有印公文書偽造等事件（６月・大阪）

中国人男性２人が、在留資格が期限切れになることを危惧し、本邦における不法滞在を目的として、

中国国内のブローカーに内容虚偽の外国人登録証明書、旅券等の作成を依頼、後日、国際スピード郵便

（ＥＭＳ）を利用して偽造の外国人登録証明書、旅券等を入手しようとした事件で、６月30日までに、

中国人男性２人、仲介役の中国籍から帰化した男女各１人を有印公文書偽造等で逮捕した。

【事例６】　中国人による有印公文書偽造事件（10月・広島）

中国人男女が、在留資格が期限切れになることを危惧し、本邦における不法滞在、不法就労を目的と

して、中国国内のブローカーに内容虚偽の外国人登録証明書、旅券等の作成を依頼、後日、国際スピー

ド郵便（ＥＭＳ）を利用して偽造の外国人登録証明書、旅券等を入手した事件で、10月23日までに、中

国人男女各１人、日本滞在の中国人女性ブローカー１人を有印公文書偽造で逮捕した。

【事例７】　中国人による偽造有印公文書行使事件（11月・岡山）

平成20年９月ころ、中国気功整体治療院を開業するにあたり、不法在留であることを隠すため、同医

院を開業するアパートの賃貸契約の際に偽造の外国人登録証明書を提示した事件で、平成22年11月18日、

中国人１人を偽造有印公文書行使で逮捕した。

オ　不法就労助長事犯

【事例１】　ホテル経営法人及びチーフマネージャーによるベトナム人雇用事件（１月・茨城）

ホテルを経営する日本人男性が、平成18年１月９日から平成20年10月15日までの間、千葉県船橋市等

所在のホテルにおいて、不法残留のベトナム人男性を雇用し、報酬を与えて従業員として稼働させてい

た事件で、平成22年１月19日までにホテル経営法人及びチーフマネージャーを入管法違反（不法就労助

長）で検挙するとともに、ベトナム人男性を同法違反（不法残留）で逮捕した。

【事例２】　中国クラブにおける中国人雇用事件（４月・京都）

中国クラブを経営する男性らが、３月から４月までの間、京都市東山区所在の中国クラブにおいて、

留学等の資格で在留し、資格外活動の許可を受けていない中国人女性ら３人に、ホステスとして客の接

待をさせた事件で、経営者の男性ら２人を入管法違反（不法就労助長）で、中国人女性３人のうち１人

を同法違反（資格外活動）で逮捕するとともに、２人を在宅送致した。

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【事例３】　スナックにおける中国人等雇用事件（５月・三重）

スナックを経営する男性らが、３月から５月までの間、伊賀市所在の同店において、短期滞在の資格

で在留し、資格外活動の許可を受けていない中国人女性ら６人に、ホステスとして客の接待をさせた事

件で、経営者の男性ら２人を入管法違反（不法就労助長）で、中国人女性ら６人を同法違反（資格外活

動）で逮捕した。

【事例４】　社交飲食店における韓国人雇用事件（５月・宮城）

社交飲食店を経営する女性が、５月、仙台市青葉区内において、公安委員会から風俗営業の許可を受

けないで営業するとともに、就学の資格で在留し資格外活動の許可を受けていない韓国人男性を従業員、

不法残留のフィリピン人女性をホステスとして稼働させた事件で、経営者の女性については、風適法違

反（無許可風俗営業）及び入管法違反（不法就労助長）で、韓国人男性ら２人を入管法違反(資格外活

動、不法残留）で逮捕した。

【事例５】　暴力団幹部によるタイ人雇用事件（５月・神奈川）

土木建築会社を経営する暴力団幹部の男性が、２月から４月までの間、海老名市所在の同社において、

不法残留のタイ人男性を土木作業等の労働に従事させた事件で、経営者の男性を、入管法違反（不法就

労助長）で、タイ人男性を同法違反（不法残留）で逮捕した。

【事例６】　人材派遣会社による中国人雇用事件（６月・大阪）

中国籍から帰化した人材派遣会社の経営者が、平成19年１月ころから不法残留の中国人や同社社員と

して在留資格（人文知識・国際業務）を取得させた中国人等を工場に派遣し、単純労働させていた事件

で、経営者１人を入管法違反（不法就労助長）で逮捕するとともに、工場で稼働していた中国人４人を

同法違反（不法入国１人、不法残留２人、資格外活動１人）で逮捕した。

【事例７】　社交飲食店における中国人雇用事件（７月・宮城）

社交飲食店を経営する女性が、７月、仙台市青葉区内において、公安委員会から風俗営業の許可を受

けないで営業するとともに、留学の資格で在留し、資格外活動の許可を受けていない中国人女性ら３人

をホステスとして稼働させた事件で、経営者の女性については、風適法違反（無許可風俗営業）及び入

管法違反（不法就労助長）で、中国人女性ら３人は入管法違反(資格外活動）で逮捕した。

【事例８】　キャバレーにおけるフィリピン人雇用事件（８月・大分）

キャバレーを経営する男性らが、８月、宇佐市所在の同店において、興行の資格で在留し、資格外活

動の許可を受けていないフィリピン人女性を、ホステスとして客の接待をさせた事件で、経営者の男性

ら２人については、入管法違反（不法就労助長）で、フィリピン人女性を同法違反（資格外活動）で逮

捕した。

【事例９】　社交飲食店におけるフィリピン人雇用事件（８月・兵庫）

社交飲食店を経営する男性が、５月から８月までの間、西脇市所在の同店において、短期滞在の資格

で在留し、資格外活動の許可を受けていないフィリピン人女性ら２人に、ホステスとして客の接待をさ

せた事件で､経営者の男性ら２人については、入管法違反（不法就労助長）で、フィリピン人女性ら２

人は同法違反（資格外活動）で逮捕した。

【事例10】　派遣会社による組織的なベトナム人雇用事件（８月・愛知）

製造、人材派遣会社の日本人経営者らが、平成21年７月ころから平成22年６月ころまでの間、岡崎市

内において、不法残留のベトナム人３人を自動車部品製造加工の労働に従事させた事件で、経営者ら２

人を入管法違反等（不法就労助長）で逮捕等するとともに、稼働していたベトナム人４人を同法違反（不

法残留）で、それぞれ逮捕等した。日本人経営者らは、ベトナム人を雇用し、居室兼作業所としてアパ

ートの一室をベトナム人に貸し与えて自動車部品を製造させていた。

- 85 -

【事例11】　キャバレーにおけるフィリピン人雇用事件（10月・鳥取）

キャバレーを経営する男性らが、８月ころから９月ころまでの間、米子市所在のフィリピンキャバレ

ーにおいて、興行の資格で在留し、資格外活動の許可を受けていないフィリピン人女性２人に、ホステ

スとして客の接待をさせた事件で、10月10日までに、経営者の男性ら２人を入管法違反（不法就労助長）、

フィリピン人女性２人を同法違反（資格外活動）でそれぞれ逮捕した。

【事例12】　ＩＴ特区関連会社による組織的なカンボジア人雇用事件（10月・福岡）

ＩＴ特区関連会社を経営するマレーシア人らが、平成21年12月ころから、久留米市所在のスーパー倉

庫において、特定活動の在留資格（ＩＴ技術者）で入国させたカンボジア人男性３人を野菜の袋詰め等

の単純労働に従事させていた事件で、平成22年10月18日、同３人を入管法違反（資格外活動）で検挙、

同マレーシア人社長及びスーパー社長等日本人３人の計４人を同法違反（不法就労助長）で逮捕した。

【事例13】　パブにおけるフィリピン人雇用事件（10月・佐賀）

パブを経営する男性らが、鳥栖市所在のフィリピンパブにおいて、興行の資格で在留し、資格外活動

の許可を受けていないフィリピン人女性５人に、ホステスとして客の接待をさせた事件で、10月26日ま

でに、経営者及び従業員ら日本人男性２人、フィリピン人女性１人を入管法違反（不法就労助長）、フ

ィリピン人女性５人を同法違反（資格外活動）でそれぞれ逮捕した。

【事例14】　中国クラブにおける中国人等雇用事件（10月・京都）

中国クラブを経営する男性らが、９月から10月までの間、京都市東山区所在の同店において、資格外

活動の許可を得ていない中国人女性ら３人にホステスとして客の接待をさせた事件で、経営者の男性ら

２人については、入管法違反（不法就労助長）で、中国人女性ら３人を同法違反（資格外活動）で逮捕

した。

カ　その他の犯罪インフラ事犯

【事例１】　フィリピン人女性３人による不法残留幇助事件（２月・愛媛）

平成21年10月ころから、不法残留中のフィリピン人男性に宿泊場所、食料及び携帯電話等を提供して

いた事件で、平成22年２月16日、フィリピン人女性３人を入管法違反（不法残留）幇助で検挙した。

【事例２】　インドネシア人らによる出生届の虚偽届出事件（７月・愛知）

日本人男性とインドネシア人女性が偽装結婚し、平成20年８月14日、同女がインドネシア人男性との

間に生まれた子供を偽装結婚相手との間に生まれた子供として、虚偽の出生届を提出した事件で、平成

22年７月８日、インドネシア人女性１人、同男性１人及び日本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記

録、同供用で逮捕した。

【事例３】　中国人らによる虚偽出生届の提出事件（11月・警視庁）

日本人男性と中国人女性が偽装結婚し、平成19年７月10日、同女が中国人男性との間に生まれた子供

を偽装結婚相手との間に生まれた子供として、虚偽の出生届を提出した事件で、平成22年11月20日、中

国人女性１人及び日本人男性１人を電磁的公正証書原本不実記録、同供用で逮捕した。

【事例４】　フィリピン人による医師法違反事件（11月・埼玉）

平成21年４月ころから川口市内のアパートにおいて、フィリピン人、日本人らに無資格で美容整形等

を行っていた事件で、平成22年11月25日、フィリピン人を医師法違反で逮捕した。

【事例５】　日本人による道路運送車両法違反事件（12月・神奈川）

平成12年ころから相模原市内のアパートを拠点として、不法滞在者らに自家用自動車有償貸渡業の許

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可を受けずに、有償で車両を貸し渡していた事件で、平成22年12月６日、日本人男性を道路運送車両法

違反（無許可レンタカー業）で逮捕した。

(3) ヤ−ド関連事犯

【事例１】　ベトナム人による古物営業法違反事件（２月・兵庫）

２月15日、加古川市内のヤードに対して、古物営業法に基づく立入りを実施した結果、古物売買に

関して相手方の身分確認をせず、さらに古物台帳の備え付けやパソコン等による記録もなされていな

かったことから、同ヤードを経営するベトナム人１人を、古物営業法違反（身分確認義務違反・台帳

未記載）により検挙した。なお同ヤードについては、営業停止処分が下された。

【事例２】　タンザニア人らによる都市計画法違反等事件（６月・兵庫）

３月25日、神戸市長の許可や建築主事の確認を受けず、開発が制限されている市街化調整区域のヤ

ード内に、木造２階建て会社事務所を建築した都市計画法及び建築基準法違反により捜索・検証を実

施し、６月25日、同ヤードを経営するタンザニア人１人、当該建築工事を請け負った会社経営者の日

本人１人、同ヤード及び工事を施工した建設会社を同法違反により検挙した。

【事例３】　ナイジェリア人による盗品等保管事件（６月・千葉）

６月３日、千葉市からの不審ヤードに関する情報提供をもとに同ヤードを確認した結果、盗品自動車

２台を発見したことから、管理者であるナイジェリア人１人を盗品等保管で逮捕した。

【事例４】　タイ人らによる盗品等有償譲受け事件（６月・警視庁）

自転車盗の被害品を有償で譲り受けた盗品等有償譲受け事件により、６月14日、埼玉県内に所在する

ヤードに対する捜索を実施し、同ヤード内で稼働していたタイ人２人を盗品等有償譲受けで逮捕した。

【事例５】　インド人らによる出入国管理及び難民認定法違反事件（６月・栃木）

６月22日、県内のヤード施設に対する古物営業法による一斉立ち入りを実施し、２か所のヤードにお

いて、従業員として稼働していたインド人１人、ナイジェリア人１人を入管法違反（不法残留）でそ

れぞれ逮捕した。

【事例６】　ロシア人らによる盗品等保管等事件（６月・新潟）

６月３日、公正証書原本不実記載・同行使事件によりロシア人１人、日本人１人を逮捕するととも

に、同人等が経営するヤードの捜索を実施したところ、盗品自動車・家具等を発見、同ヤードで寝泊

まりするロシア人３人を盗品等保管で逮捕した。

【事例７】　ナイジェリア人による大麻取締法違反等事件（７月・兵庫）

７月27日、三木市内のヤードに対して、使用済自動車の再資源化等に関する法律違反（無許可解体）

容疑により捜索を実施し、その際、ヤード敷地内において大麻草（29株）が栽培されているのを発見

したことで、同ヤードを経営するナイジェリア人１人を大麻取締法違反で逮捕し、その後、同人を古

物営業法違反被疑者として再逮捕した。

【事例８】　ベトナム人による産業廃棄物不法投棄事件（８月・静岡）

４月、静岡県浜松市内の湖岸に断熱材等の産業廃棄物が不法投棄された事件で、８月12日までに、

ベトナム人経営の廃品回収・輸出会社のヤードを捜索するとともに、同社従業員等のベトナム人３人

を廃棄物処理法違反（不法投棄）等で逮捕した。

【事例９】　台湾人、中国人らグループによる高級オートバイ窃盗事件（９月・大阪、兵庫）

平成21年６月ころから兵庫県内等において発生した高級オートバイ対象の窃盗事件で、平成22年９

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月までに、窃盗、同幇助等で、台湾人４人、中国人４人、日本人１人を検挙するとともに、兵庫県下

等におけるオートバイ盗事件67件（被害総額約6,770万円）を解明した。このグループでは、首謀者で

ある台湾人が役割を分担して高級オートバイを窃取し、盗品をヤード（倉庫）に持ち込み、分解、梱

包していた。中国人は、実行犯の居住アパート、犯行車両、倉庫を準備して窃盗に荷担していた。

【事例10】　ロシア人らによる倉庫荒し事件（８月・岐阜）

平成21年９月ころから、岐阜県下において発生のスタッドレスタイヤを狙った連続倉庫荒し事件で、

平成22年８月13日までに、ロシア人２人を窃盗で逮捕するとともに、被疑者が盗品タイヤを運び込ん

でいたヤードの捜索を実施し、タイヤ426本を押収した。

【事例11】　台湾人らによる覚せい剤取締法違反事件（10月・福岡）

10月15日、福岡県内のヤードに対する覚せい剤取締法違反事件による捜索により、経営者の台湾人１

人と、その妻である日本人１人を覚せい剤取締法違反（共同所持）で逮捕した。

【事例12】　ベトナム人らによる古物営業法違反等事件（11月・北海道）

11月24日、北海道下所在のヤードに対する古物営業法違反（無許可営業）容疑の捜索により、ベトナ

ム人１人を同法違反で逮捕するとともに、同ヤードで稼働していたベトナム人２人を入管法違反（不法

残留等）で逮捕した。

【事例13】　アフリカ系外国人グループによる広域自動車盗事件（12月・千葉、山形、警視庁、神奈川、

茨城）

平成20年７月ころから関東及び東北地区において発生したクレーン付きトラック等対象の自動車盗

事件で、平成22年12月末までに、窃盗、盗品等運搬・保管等で、ウガンダ人14人、ナイジェリア人１

人及び日本人32人を逮捕し、１都５県にわたる自動車盗等1,210件を解明した。このグループは、首謀

者であるウガンダ人が、主にクレーン付きトラック等の車種を指定し、実行犯役である日本人グルー

プが自動車を窃取、ウガンダ人が管理する千葉県内のヤードで盗難車両を隠匿、解体等し、不正に海

外に輸出していた。

２　凶悪事件

(1) 殺人事件（強盗殺人を含む。）

【事例１】　中国人らによる殺人、死体遺棄事件（２月・兵庫）

平成20年10月30日ころ、神戸市内の雑居ビルにおいて、中国語学校アルバイト講師として稼働する日

本人女性の頭部を殴打した上、頸部を圧迫する等して殺害し、土中に埋めた事件で、平成22年１月26日

までに中国人１人、日本人２人を死体遺棄で逮捕し、平成22年２月12日、既逮捕者のうち中国人１人、

日本人１人を殺人で逮捕した。

【事例２】　フィリピン人による殺人事件（４月・三重）

４月18日、鈴鹿市内のマンションにおいて、知人のフィリピン人男性の腹部等を出刃包丁で刺し殺害

した事件で、翌19日、フィリピン人男性を殺人で逮捕した。

【事例３】　中国人による殺人未遂事件（４月・警視庁）

３月15日、渋谷区内の路上において、クラブ内での飲酒客同士のトラブルから、日本人男性客の頸部

等をはさみで突き刺すなどした事件で、４月28日、中国人の暴力団組員を殺人未遂で逮捕した。

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【事例４】　中国人による殺人、殺人未遂事件（５月・埼玉）

５月３日、川口市内のマンションにおいて、交際をめぐるトラブルから、中国人女性の胸部等をナイ

フで切りつけたほか、同居人の中国人男性の頸部等を突き刺した事件で、同日、中国人男性を殺人未遂

で逮捕（後に殺人で起訴）した。

【事例５】　中国人夫婦間における殺人事件（５月・警視庁）

２月10日、府中市内の被疑者方において、離婚話のもつれから中国人妻の頸部、腹部等を刃物で刺し、

頸部を圧迫するなどし殺害した事件で、５月15日、中国人夫を殺人で逮捕した。

【事例６】　中国人による殺人未遂事件（８月・岡山）

８月14日、岡山市内のアパートにおいて、交際をめぐるトラブルから、中国人女性の頸部を包丁で切

りつけた事件で、８月15日、留学生の中国人男性を殺人未遂で逮捕した。

【事例７】　ブラジル人による殺人未遂事件（９月・静岡）

９月２日、浜松市内のアパートにおいて、交際相手と異性間とのトラブルから、日本人男性の頸部を

カッターナイフで切りつけた事件で、同日、ブラジル人男性を殺人未遂で逮捕した。

【事例８】　ロシア人による殺人事件（９月・北海道）

９月21日、稚内市の埠頭に停泊中の貨物船内において、船員同士の口論から、ロシア人男性の頭部付

近をバットで殴打し、腹部付近を足蹴りするなどし殺害した事件で、９月22日、船員のロシア人男性２

人を殺人未遂（後に傷害致死で起訴）で逮捕した。

【事例９】　中国人研修生による殺人事件（10月・愛媛）

９月27日、西条市内の被害者方敷地内において、日本人男性の左胸部等を包丁で多数回にわたり突き

刺すなどした事件で、10月１日、技能実習の中国人男性を殺人で逮捕した。

【事例10】　クロアチア人家族間における殺人、傷害事件（11月・警視庁）

11月11日、江東区内の被疑者方マンションにおいて、家庭内の不和から、日本人妻の背部等を刃物で

刺したほか、長男を鼻口閉塞により窒息死させた事件で、同日、夫で実父のクロアチア人男性を殺人で

逮捕した。

(2) 強盗事件

【事例１】　中国人グループによる昏酔強盗等事件（１月・警視庁）

平成21年12月29日、文京区内のスナックにおいて、客にアルコール濃度の高い酒を飲ませ昏酔状態に

させ、キャッシュカード等を窃取し、同カードで預金を下ろした事件で、平成22年１月27日、中国人男

女５人を昏酔強盗等で逮捕した。

【事例２】　韓国人らグループによる強盗致傷事件（４月・警視庁）

３月16日、中央区内の会社事務所において、覆面マスクを被った４人組が押し入り、拳銃様のものを

突きつけ脅迫、傷害を負わせるなどして現金等を強取した事件で、４月９日までに韓国人１人、日本人

３人を強盗致傷で逮捕した。

【事例３】　ブラジル人によるコンビニ強盗事件（５月・山梨）

５月４日、中巨摩郡昭和町内のコンビニエンスストアにおいて客を装った南米系外国人が拳銃様のも

の及びスタンガン様のものを示しながら現金等を強取した事件で、同日、ブラジル人１人を強盗で逮捕

した。

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【事例４】　中国人らグループによる逮捕監禁・強盗等事件（６月・警視庁、千葉）

平成21年12月29日から平成22年１月30日までの間、前後３回にわたり、東京都荒川区内のマンション

及び千葉県柏市内の駐車場他１カ所において、日本人女性３人、中国人女性１人に対し、いずれも粘着

テープ等で顔面及び両手足を緊縛し、車両に連れ込むなどし、現金等を強取、車内に監禁等した事件で、

６月12日までに中国人男性２人、暴力団組員を含む日本人男性４人及び日本人女性１人を逮捕監禁、強

盗等で逮捕した。

【事例５】　中国人による強盗致傷事件（10月・大阪）

10月２日、堺市内の中古本等販売店において、女性店長に刃物を突きつけるなどして脅迫し、現金を

強取した事件で、同日、中国人男性を強盗致傷で逮捕した。

【事例６】　韓国人グループによる強盗等事件（10月・警視庁）

１月22日、大田区内の一般住宅に押し入り、被害者に対し電気コード等で手、足を緊縛、暴行するな

どした上、現金及び腕時計等14点（時価合計28万円相当）を強取した事件で、10月13日、いずれも韓国

人男性３人、同女性１人の４人を住居侵入、強盗で逮捕した。

【事例７】　中国人による強盗強姦事件（10月・香川）

１月30日、高松市内のアパートに侵入し、日本人女性を脅迫の上、現金を要求するとともに、両手首

を紐で緊縛するなどの暴行を加え、姦淫した事件で、10月27日、大学研究生の中国人男性を強盗強姦で

逮捕した。

【事例８】　ブラジル人らグループによる強盗致傷事件（11月・警視庁）

９月１日、町田市内の路上において、通行人女性の頸部を両腕で締め付け失神昏倒させ、現金等を強

取した事件で、11月８日までに別件強盗致傷事件も含め、ブラジル人男性１人、日本人男性２人及び日

本人女性１人を強盗致傷で逮捕した。

【事例９】　中国人らグループによる強盗致傷事件（11月・警視庁）

７月29日、文京区内の一般住宅に押し入り、日本人女性を脅迫の上、現金等を要求するとともに、両

手首、両足首等を紐で緊縛するなどの暴行を加え、現金等を強取した事件で、11月22日、中国人男性３

人を強盗致傷で逮捕した。

３　窃盗事件

(1) 組織的侵入盗事件

【事例１】　コロンビア人らグループによる広域窃盗事件（２月・警視庁）

平成21年11月ころから都内及び千葉県等において連続発生した一般住宅対象の空き巣事件で、平成22

年２月８日、コロンビア人４人、メキシコ人１人を窃盗で逮捕した。

【事例２】　中国人グループによる窃盗事件（５月・愛知）

平成21年９月ころから愛知県内で発生の一般住宅対象の連続空き巣事件で、平成22年５月19日までに、

中国人７人を窃盗、盗品等無償譲受け等で逮捕した。

【事例３】　フィリピン人らグループによる広域出店荒し、事務所荒し等事件（７月・警視庁）

平成15年ころから都内、関東、中部地区において発生したリサイクルショップ、会社事務所等対象の

出店荒し、事務所荒し事件で、平成22年７月までに、フィリピン人３人、首謀者の暴力団幹部を含む日

本人９人を窃盗、盗品等処分あっせん、覚せい剤取締法違反等で逮捕するとともに、１都４県に及ぶ出

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店荒し、事務所荒し等合計221件（被害総額約１億2,000万円）を解明した。この窃盗組織は、大半の者

が覚醒剤を使用しており、盗品を質屋等に売却するなどして覚醒剤の購入費を稼いでいた。

(2) 組織的自動車盗事件

【事例１】　ウガンダ人グループによるワゴン車等対象の広域自動車盗事件（６月・愛知、茨城）

平成21年ころから愛知、茨城県内において発生のワゴン車等対象の自動車盗事件で、平成22年６月３

日までにウガンダ人９人を窃盗等で逮捕し、県下における自動車盗事件等136件（被害総額約２億5,500

万円）を解明した。

(3) すり

【事例１】　ベトナム人による広域すり等事件（３月・埼玉）

平成20年７月ころから平成21年11月までの間、埼玉県ほか関東３県下の大型スーパー等で連続発生し

た買い物客を対象としたすり等事件で、平成22年３月16日までにベトナム人２人を窃盗で逮捕し、87件

（被害総額約280万円）を解明した。

【事例２】　中国人による窃盗事件（３月・警視庁）

３月18日、埼玉県さいたま市内の駅ビル内において、女性の手提げバッグ内から財布を抜き取り窃取

した事件で、同日、中国人１人を逮捕した。

(4) その他の窃盗事件

【事例１】　ベトナム人によるコンビニエンスストア対象の広域万引き事件（３月・埼玉）

平成21年10月ころから埼玉・群馬・神奈川県内において連続発生したコンビニエンスストア販売の化

粧品等対象の万引き事件で、平成22年３月までにベトナム人１人を窃盗で逮捕するとともに、万引き

40件（被害総額約104万円）を解明した。

【事例２】　ブラジル人らグループによる広域部品ねらい、盗品故買等事件（７月・愛知、静岡、警視庁）

平成21年７月ころから、静岡、愛知県内において、自動車の窓ガラスが割られカーナビ等が窃取され

る連続部品ねらい事件で、平成22年７月21日までに、ブラジル人窃盗グループ12人（うち少年１人）、

盗品故買屋グループの日本人２人を窃盗、盗品等有償譲受け等でそれぞれ逮捕した。盗品故買屋グル

ープは、ブラジル人窃盗グループから買い取ったカーナビ等をインターネットで販売していた。

【事例３】　ベトナム人グループによるショッピングセンター対象の広域万引き事件（９月・長崎）

平成21年11月ころから、長崎県内において連続発生したショッピングセンター対象の万引き事件で、

平成22年９月16日までに、ベトナム人３人を窃盗、盗品等保管で逮捕した。

４　カード犯罪

【事例１】　ナイジェリア人による偽造クレジットカード使用詐欺等事件（１月・警視庁）

平成21年12月20日、神奈川県内の衣料品店において、偽造クレジットカードを使用してブルゾン等の

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商品を詐取した事件等で、平成22年１月29日、ナイジェリア人１人を不正作出支払用カード電磁的記録

供用、詐欺等で逮捕した。

【事例２】　中国人グループによる電磁的記録不正作出・同供用、窃盗事件（５月・警視庁）

不正に入手した他人名義のクレジットカード情報を使用して、インターネット通信販売業者に同名義

人になりすまして粉ミルク等の商品を注文し、窃取した事件で、５月11日、中国人６人を電磁的記録不

正作出・同供用及び窃盗で逮捕した。

【事例３】　台湾人による電磁的記録不正作出・同供用、詐欺事件（10月・大阪）

平成21年10月ころから平成22年５月ころまでの間、関西、関東及び九州地区の家電量販店等において、

偽造クレジットカードを使用して、携帯ゲーム機、ビデオカメラやＴシャツ等の商品を詐取していた事

件で、10月15日までに、偽造工場を摘発するとともに、台湾人２人を電磁的記録不正作出・同供用及び

詐欺で逮捕した。

【事例４】　ナイジェリア人による電磁的記録不正作出・同供用、詐欺等事件（10月・警視庁）

３月ころから４月ころまでの間、関東地区の大型量販店等において、偽造クレジットカードを使用し

て、携帯ゲーム機等の商品を詐取していた事件で、10月18日までに、ナイジェリア人１人を不正作出支

払用カード電磁的記録供用、詐欺等で逮捕した。

【事例５】　中国人らグループによる偽造クレジットカード使用詐欺等事件（10月・警視庁）

３月ころから９月ころまでの間、埼玉県及び都内の家電量販店等において、偽造クレジットカードを

使用して、デジタルオーディオプレーヤー等の商品を詐取していた事件で、10月27日までに、偽造工場

を摘発するとともに、中国人１人、日本人５人を不正作出支払用カード電磁的記録供用、詐欺等で逮捕

した。

【事例６】　中国人らグループによる偽造クレジットカード使用詐欺等事件（11月・警視庁）

平成21年12月ころ、都内の大型量販店等において、偽造クレジットカードを使用して、ゲーム機等の

商品を詐取していた事件で、平成22年11月３日、偽造工場を摘発して偽造クレジットカード64枚、生カ

ード154枚等を発見、押収するとともに、中国人３人を不正作出支払用カード電磁的記録供用、詐欺で

逮捕した。

【事例７】　台湾人グループによる偽造クレジットカード使用詐欺等事件（11月・大阪）

８月16日、18日の両日にわたり、大阪市内のブランド品販売店等において、偽造クレジットカードを

使用して、腕時計等の商品を詐取していた事件で、11月10日までに台湾人５人を不正作出支払用カード

電磁的記録供用、詐欺で逮捕した。

５　その他の刑法犯

【事例１】　フィリピン人ら夫婦による生活保護費不正受給詐欺事件（１月・大阪）

外国人でも生活保護費を請求できる制度を悪用し、市役所に虚偽の無収入申告をして、生活保護費約

100万円を不正受給した事件で、１月21日、フィリピン人妻、日本人夫を詐欺で逮捕した。

【事例２】　韓国人らによる偽造有価証券輸入事件（２月・愛知）

平成20年12月７日、国際スピード郵便（ＥＭＳ）を利用し、中国国内の空港から偽造の有価証券であ

る株主ご優待券を不正輸入した事件で、平成22年２月22日、日本人５人、韓国人１人を偽造有価証券輸

入で逮捕した。

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【事例３】　中国人夫婦による生活保護費不正受給詐欺事件（５月・大阪）

外国人でも生活保護費を請求できる制度を悪用し、市役所に虚偽の無収入申告をして、生活保護費約

510万円を不正受給した事件で、５月17日、中国人夫婦２人を詐欺で逮捕した。

【事例４】　フィリピン人らによる組織的な海外療養費等不正受給詐欺事件（６月・愛知）

海外療養費の制度を悪用し、全国健康保険協会等に内容虚偽の診療等療養費を申請して、療養費等を

不正受給した事件で、６月30日までに日本人２人、フィリピン人１人を詐欺等で逮捕し、詐欺等144件

（詐取金総額約2,900万円）を解明した。

【事例５】　暴力団組員らによる振り込め詐欺事件（６月・大阪、埼玉、千葉、石川）

平成21年５月ころから同年８月までの間、関東、関西方面の住民に対し、警察官、銀行協会職員等を

装って電話を架け、キャッシュカードを詐取し、預金を引き出すなどした事件で、平成22年６月７日ま

でに暴力団組員を含む日本人７人、中国人１人を詐欺、窃盗等で逮捕し、６都府県下における詐欺等30

件（被害総額約6,300万円）を解明した。

【事例６】　ペルー人による自動車ローン利用の詐欺事件（８月・愛知）

平成19年11月から平成22年５月までの間、愛知県内等において、ペルー人が、内容虚偽のオートロー

ン契約に基づく自動車販売を装い、中古車販売店から車両購入代金立替金を詐取した事件で、８月20日

までに、詐欺等でペルー人１人を逮捕するとともに、中古自動車販売店７社にかかる37件（被害総額約

3,000万円）を解明した。

【事例７】　ブラジル人グループらによる集団的な職業安定資金融資等不正受給詐欺事件（９月・静岡）

職業安定資金融資制度を悪用し、融資受給適格者であると偽り、金融機関等に不正に入手した職業安

定資金融資対象者証明書等による融資資金を申請して、融資金を不正受給した事件で、９月１日までに、

ブラジル人10人を逮捕した。

【事例８】　会社経営の中国人による競売入札妨害事件（９月・警視庁）

平成21年３月ころ、東京都内の競売物件ビルにおいて、裁判所の執行官が競売調査をする際、同ビル

内に中国人留学生ら数十人を居住させ、内容虚偽の賃貸借契約書等を示すなどして、競売を妨害した事

件で、平成22年９月15日、中国人１人を競売入札妨害で逮捕した。

【事例９】　韓国人グループによるパチンコ店対象の広域詐欺（売付）事件（11月・島根）

全国のパチンコ店を対象に不正なイベント用ポスターを代金引換郵便制度を利用して送りつけ、代金

を詐取していた事件で、11月９日までに、韓国人３人、日本人２人を逮捕等するとともに、220件（被

害総額213万4,000円）を解明した。

【事例10】　パキスタン人による申請費用等名目の詐欺事件（11月・警視庁）

平成22年11月ころから数回にわたり、就労ビザや永住権取得等申請費用等を名目に海外での就労を希

望する女性から現金を詐取した事件で、11月19日、パキスタン人１人を詐欺で逮捕した。

６　集団密航事件

【事例１】　韓国人による集団密航事件（11月・岡山）

韓国人の貨物船乗員が、倉敷市内の岸壁から韓国人２人を集団密航させた事件で、11月11日までに、

韓国人乗員男性１人を入管法違反（集団密航者を本邦に入らせる罪）、不法入国した韓国人男性２人を

同法違反（不法入国等）でそれぞれ逮捕した。

- 93 -

７　薬物事犯

(1) 密売・所持・使用事犯

【事例１】　コロンビア人男性による麻薬等営利目的所持事件（１月・警視庁）

繁華街で麻薬等密売をしていたコロンビア人男性を麻薬及び向精神薬取締法違反並びに大麻取締法違

反(営利譲渡)で逮捕するとともに、同人の自宅からＭＤＭＡ約14,000錠のほか、コカイン、乾燥大麻等

を押収した。

【事例２】　元暴力団組長らによる覚醒剤密売事件（２月・兵庫、愛媛）

ナイジェリア人の密売人から覚醒剤を仕入れて、密売を繰り返していた元暴力団組長の男らを麻薬特

例法違反(業としての譲渡)で追送致した。

【事例３】　イラン人グループによる覚醒剤密売事件（３月・愛知）

覚醒剤末端乱用者の突き上げ捜査から、県内で覚醒剤等を密売しているイラン人密売グループの密売

人ら２グループ３人を覚せい剤取締法違反(営利目的所持)で逮捕するとともに、それぞれのグループか

ら覚醒剤等の違法薬物や携帯電話、現金等を押収した。

【事例４】　イラン人グループによる覚醒剤等密売事件（３月・警視庁）

覚醒剤等を密売していたイラン人グループの指示役４人と密売人７人を覚せい剤取締法違反（営利

目的譲渡）等で逮捕、取引していた客31人を同法違反（所持、使用等）で逮捕するとともに、覚醒剤

約188グラムや乾燥大麻724グラムなど数種類の違法薬物を押収した。さらに、主犯格のイラン人に対

し麻薬特例法違反（業としての譲渡）を適用し、薬物犯罪収益として特定した234万3,071円を没収保

全した。

【事例５】　中国人による覚醒剤等の大量所持・密売事件（４月・神奈川、埼玉）

投資・経営の在留資格を有する中国人が、母国から密輸した大量の覚醒剤等を所持、密売していた事

件で、中国人５人を覚せい剤取締法違反（営利目的所持等）、大麻取締法違反（営利目的所持等）で逮

捕するとともに、立り回り先のマンション等において覚醒剤約2,282グラム、同原料約170グラム、ケタ

ミン錠剤約3,000錠、犯罪収益金約2,300万円等を押収した。

【事例６】　イラン人による覚醒剤等密売事件（５月・滋賀）

イラン人薬物密売グループの密売人を特定して捜索した結果、バッグ内に密売用に小分けした覚醒剤

を所持していたイラン人の男を覚せい剤取締法違反(営利目的所持)で逮捕するとともに、覚醒剤約354

グラムを押収した。さらに、同人の自宅等関連場所から、乾燥大麻約477グラムや合成麻薬249錠等を押

収した。

【事例７】　ナイジェリア人及び暴力団幹部らによる覚醒剤大量所持事件（７月・兵庫、愛媛）

覚醒剤の取引情報により張り込み捜査を実施したところ、駅前で覚醒剤を譲り渡そうとしていたナイ

ジェリア人男性ほか２人と、覚醒剤を譲り受けようとしていた暴力団幹部の男ほか２人等を覚せい剤

取締法違反（営利目的共同所持）で逮捕するとともに、覚醒剤約1.5キロ及び現金1,938万円を押収し

た。

【事例８】　イラン人グループによる覚醒剤密売事件（９月・滋賀）

イラン人密売組織の活動拠点等の捜索により、密売グループの首謀者であるイラン人男性ほか１人

を覚せい剤取締法違反（譲渡）で逮捕するとともに、大麻を隠し持っていたイラン人密売人男性ほか

１人を大麻取締法違反（所持）等で逮捕した。

- 94 -

さらに、密売に関与していたと認められる中国人男性ほか１人を入管法違反（資格外活動）で入国

管理局に引き渡した。

【事例９】　イラン人グループによる覚醒剤等密売事件（10月・警視庁）

東京都内のホテル等で覚醒剤等を密売していたイラン人男性ら９人を覚せい剤取締法違反（営利目的

譲渡）等で逮捕するとともに、同グループから覚醒剤約83.7グラムや乾燥大麻約133グラム等の違法薬

物を押収した。また、同グループの客23人を覚せい剤取締法違反（譲受）等で逮捕した。

【事例10】　タイ人による覚醒剤密売事件（11月・神奈川）

タイ人の密売人を特定して捜索した結果、千葉県内において、平成22年11月25日までに覚醒剤を所持、

密売していたタイ人や暴力団周辺者ら関係被疑者12人を覚せい剤取締法違反（営利目的所持）で逮捕す

るととともに、覚醒剤約86グラムを押収した。

【事例11】　イラン人グループによる覚醒剤密売事件（11月・警視庁）

東京都内のコンビニエンスストア付近において覚醒剤等を密売していたイラン人男性ら４人を覚せい

剤取締法違反（営利目的譲渡）等で逮捕するとともに、密売拠点のマンションから覚醒剤約46.5グラ

ムや乾燥大麻約34.2グラム等の違法薬物を押収した。また、同グループの客20人を覚せい剤取締法違

反（譲受）等で逮捕した。

【事例12】　イラン人らグループによる覚醒剤等密売事件（11月・警視庁）

イラン人らグループの密売人が、東京都内において、覚醒剤を所持、密売していた事件で、密売人で

あるイラン人２人、中国人２人を覚せい剤取締法違反（営利目的所持等）、大麻取締法違反（営利目的

所持等）で逮捕するととともに、これまで自宅等関係先の捜索において小分けにした覚醒剤約102グラ

ム、大麻等約87グラム等を押収した。また、密売人と取引をしていた末端乱用者20人を検挙した。

(2) 密輸入事犯

【事例１】　台湾人による覚醒剤密輸入事件（２月・北海道）

台湾から航空機を利用して覚醒剤約２キロを密輸入した台湾人１人を覚せい剤取締法違反（営利目的

輸入）等で逮捕した。

【事例２】　シンガポール人女性による覚醒剤密輸入事件（２月・福岡）

カンボジアから航空機を利用して韓国経由で覚醒剤を密輸入したシンガポール人女性を覚せい剤取締

法違反(営利目的輸入)で逮捕するとともに、覚醒剤約2.2キロを押収した。

【事例３】　台湾人男女による覚醒剤密輸入事件（３月・北海道）

台湾からの団体ツアー客を装い航空機で覚醒剤を密輸入した台湾人男性と同女性を覚せい剤取締法違

反(営利目的輸入)で逮捕するとともに、覚醒剤約１キロを押収した。

【事例４】　オーストリア人による覚醒剤密輸入事件（４月・愛知）

タイから航空機を利用して覚醒剤約460グラムを密輸入したオーストリア人１人を覚せい剤取締法違

反（営利目的輸入）等で逮捕した。

【事例５】　ナイジェリア人男性による覚醒剤密輸入事件（４月・大阪）

ナイジェリアから航空機を利用して覚醒剤を密輸入したナイジェリア人男性ほか１人を覚せい剤取締

法違反(営利目的輸入)で逮捕するとともに､それぞれが体内に隠匿していた覚醒剤約1.5キロを押収し

た。

- 95 -

【事例６】　台湾人による覚醒剤密輸入事件（４月・富山）

台湾から航空機を利用して覚醒剤約486グラムを密輸入した台湾人２人を覚せい剤取締法違反（営利

目的輸入）等で逮捕した。

【事例７】　ベルギー人男性による覚醒剤密輸入事件（５月・千葉）

ベナン共和国から航空機を利用してフランス経由で覚醒剤を密輸入したベルギー人男性を逮捕すると

ともに、覚醒剤約2.0キロを押収した。

【事例８】　メキシコ人女性２人組による覚醒剤密輸入事件（６月・千葉）

メキシコから航空機を利用して覚醒剤を密輸入したメキシコ人女性２人を逮捕するとともに、それぞ

れから覚醒剤約2.0キロを押収した。

【事例９】　アメリカ人男性による覚醒剤密輸入事件（７月・岡山）

ガーナ共和国から航空機を利用して覚醒剤を密輸入したアメリカ人男性を覚せい剤取締法違反（営利

目的輸入）等で逮捕するとともに、覚醒剤約2.9キロを押収した。

【事例10】　ドイツ人男性による覚醒剤密輸入事件（10月・広島）

アラブ首長国連邦から韓国経由の航空機を利用して覚醒剤を密輸入したドイツ人男性を覚せい剤取締

法違反（営利目的輸入）等で逮捕するとともに、覚醒剤約2.2キロを押収した。

【事例11】　台湾人らによる覚醒剤密輸入事件（10月・愛知）

香港から航空機を利用したツアー客を装い、覚醒剤を密輸入した台湾人女性ら６人を逮捕するととも

に、覚醒剤約1.8キロを押収した。

【事例12】　中国人らによる船舶利用の覚醒剤密輸入事件（12月・北海道、神奈川、岡山）

中国から貨物船を利用して室蘭港に覚醒剤を密輸入した船員の中国人男性ほか１人を覚せい剤取締法

違反（営利密輸入）で逮捕、覚醒剤を受け取った日本人男性を同法違反（営利目的所持）で逮捕する

とともに、覚醒剤約５キロを押収した。

(3) その他の薬物事犯等

【事例１】　ベトナム人グループによる大麻栽培等事件（６月・兵庫）

兵庫県朝来市内で大麻草を栽培していたベトナム人ら男女12人を大麻取締法違反（営利目的栽培・土

地付き建物及び車両提供・栽培予備）で逮捕するとともに捜索先の埼玉県内において大麻を所持してい

たベトナム人男女６人を同法違反（共同所持）等で逮捕した。

【事例２】　イラン人らによる覚醒剤製造事件（６月・警視庁）

鼻炎薬等に含まれる成分を原料として覚醒剤を製造していたイラン人男性ほか１人を覚せい剤取締

法違反（営利目的製造等）で逮捕するとともに、同人らにメタノールを提供していた獣医師の男を毒

物及び劇物取締法違反（無登録授与）で逮捕した。

【事例３】　嚥下による覚醒剤密輸企図者による急性薬物中毒死事案（11月・大阪）

覚醒剤の包みを嚥下して密輸入しようとしたガーナ人男性が、入国審査中に逃走を図ったものの、確

保後に意識不明となり、搬送先の病院で死亡した。

司法解剖の結果、胃と腸から覚醒剤の包み80包が摘出され、死因は急性覚醒剤中毒によるものと認

められた。

- 96 -

８　その他の特別法犯

【事例１】　中国人による職業安定法違反事件（１月・警視庁）

平成21年11月12日ころ、求職中の中国人に対し、無許可、有料で職業を斡旋した事件で、平成22年１

月18日、中国人２人を職業安定法違反（無許可有料職業紹介）で逮捕した。

【事例２】　中国人による電気通信事業法違反、偽計業務妨害事件（１月・山口）

平成21年７月１日から10月１日までの間、埼玉県内のソフトウェア会社において、無届けで国外から

代理サーバーを介して国内のゲームサーバーコンピュータに接続させるなどした事件で、平成22年１月

19日、中国人１人を電気通信事業法違反（届出義務違反）等で逮捕した。

【事例３】　韓国人による入管法違反事件（１月・神奈川）

平成20年中に他人名義旅券を行使の上、入国審査の際、テープ状の偽装指紋で外国人生体情報認証シ

ステムを通過、不法入国した事件で、平成22年１月25日、韓国人女性２人を入管法違反で逮捕した。

【事例４】　ブラジル人による薬事法違反事件（２月・富山）

平成19年３月ころから平成21年12月ころまでの間、愛知県内の拠点において、医薬品販売業の許可を

受けずに、業としてインターネットを利用してブラジル製の医薬品を販売していた事件で、平成22年２

月10日、ブラジル人１人を薬事法違反（医薬品の無許可販売）で逮捕した。

【事例５】　暴力団組員が関与する日本国旅券不正取得未遂事件（２月・宮城）

平成21年５月18日、外国人に日本人名義の旅券を不正取得させる目的で、外国人本人の写真を貼付し

た申請書をパスポートセンターに提出した事件で、平成22年２月25日までに、日本人男性２人、日本人

女性１人及び日本人名義旅券の不正取得を首謀した暴力団組員１人を旅券法違反等で逮捕した。

【事例６】　パキスタン人による偽造旅券使用の不法入国事件（３月・千葉）

マレーシアから航空機を利用してメキシコの偽造旅券を使用して不法入国した事件で、３月１日、パ

キスタン人１人を入管法違反（不法入国）で逮捕した。

【事例７】　中国人によるインターネット利用の商標法違反事件（３月・警視庁）

平成21年９月15日、青森県弘前市の拠点において、インターネットショッピングサイトを利用し、偽

エコバッグを販売していた事件で、平成22年３月24日、中国人２人を商標法違反で逮捕した。

【事例８】　中国人による偽造旅券使用の不法入国事件（４月・千葉）

偽造中国旅券を使用し、中国から航空機を利用して不法入国した事件で、４月26日、中国人女性１人

を入管法違反（不法入国）で逮捕した。同女は、退去強制歴があり、外国人生体情報認証システムでの

指紋照合により看破したものである。

【事例９】　ペルー人による偽造旅券使用の不法入国事件（５月・奈良）

ペルー人男性がドミニカ共和国政府発行の偽造旅券を使用し、韓国から航空機を利用して不法入国し

た事件で、５月７日、同人を入管法違反（不法入国・不法在留）で逮捕した。同人は、平成15年ころか

ら、同偽造旅券を使用して出入国を繰り返していた。

【事例10】　バングラデシュ人による不正アクセス禁止法違反等事件（８月・警視庁）

平成21年12月ころから平成22年６月までの間、都内に設置されたサーバコンピュータに対し、不正に

入手した他人のＩＰ電話機のユーザーＩＤとパスワードを使用して不正にアクセスするとともに同サー

バコンピュータに対し、海外等の電話番号に架電、通話して通話料金の支払いを免れていた事件で、８

- 97 -

月９日、バングラデシュ人を不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反、電子計算機使用詐欺で逮捕

した。

【事例11】　中国人女性らグループによる売春防止法違反等事件（８月・千葉）

性風俗店経営の中国人女性が、営業禁止地域において、中国人女性に売春等をさせていた事件で、８

月23日までに、中国人女性経営者を含む従業員、デリヘル嬢等中国人15人、韓国人１人、ブラジル人１

人及び日本人６人を売春防止法違反、風適法違反でそれぞれ逮捕するとともに、同デリヘル嬢と偽装結

婚していた日本人男性ら２人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用、同風俗店での売上金の中から、

みかじめ料名目で受け取っていた暴力団幹部１人を組織的犯罪処罰法違反（犯罪収益等収受）で逮捕し

た。

【事例12】　バングラデシュ人による偽造旅券使用の不法入国事件（９月・愛知）

平成20年４月ころ、本邦に在留資格を「家族滞在」と偽装の上、偽造旅券を使用して不法入国した事

件で、平成22年９月２日、バングラデシュ人の男性（偽装長男、次男）２人、女性（偽装妻）１人を入

管法違反（不法入国）で逮捕した。

【事例13】　ブラジル人による児童ポルノ公然陳列事件（９月・愛媛）

ファイル共有ソフトを利用する不特定多数のインターネット利用者に公然陳列する目的で、９月27日、

広島市内のアパートにおいて、児童ポルノのデータ画像を記憶、蔵置させたハードディスクを内蔵する

パソコンを所持していた事件で、同日、ブラジル人男性１人を児童買春、児童ポルノに係る行為等の処

罰及び児童の保護等に関する法律違反で逮捕した。

【事例14】　中国人による薬事法違反事件（９月・神奈川）

６月29日から８月17日までの間及び９月29日、横浜市内の輸入雑貨店において、医薬品販売業の許可

を受けずに、業として同所において中国製の医薬品を販売していた事件で、９月29日、中国人女性１人

を逮捕した。

【事例15】　フィリピン人による日本国旅券不正取得事件（９月・茨城）

平成21年12月21日、他人名義の偽造旅券で不法入国したフィリピン人が日本人になりすまし、旅券を

不正取得させる目的で、同人の写真を貼付した申請書をパスポートセンターに提出した事件で、平成22

年９月30日、フィリピン人男性１人を旅券法違反等で逮捕した。

【事例16】　中国人によるインターネット利用の商標法違反等事件（10月・神奈川）

５月13日及び８月23日、インターネットのオークションサイトを利用し、偽ブランドのサングラスを

販売していた事件で、10月18日、中国人１人を商標法違反、不正競争防止法違反で逮捕した。

【事例17】　中国人によるインターネット利用の商標法違反等事件（10月・警視庁）

10月20日、インターネットのオークションサイトを利用し、偽ブランドの財布を販売していた事件で、

同日、中国人男女２人を商標法違反で逮捕した。

【事例18】　暴力団組員が関与する日本国旅券不正取得事件（11月・徳島）

３月29日、外国人に日本人名義の旅券を不正取得させる目的で、氏名不詳の写真を貼付した申請書を

パスポートセンターに提出した事件で、11月４日までに、日本人男性１人及び日本人名義旅券の不正取

得を指示した暴力団組員１人を旅券法違反等で逮捕した。

【事例19】　韓国人による外国為替及び外国貿易法違反事件（11月・宮城）

平成21年８月９日、仙台空港から航空機で韓国に渡航する際、支払い用の現金を携帯する旨の申告書

等を提出、届出することなく、許可を受けずに出国した事件で、平成22年11月18日までに韓国人を外国

為替及び外国貿易法違反（支払手段等の無許可携帯輸出）で検挙した。

- 98 -

資　料

入国者の推移（法務省統計）

不法残留者数（法務省統計）

- 99 -

国籍・出身地別外国人登録者の推移(法務省統計)

在留資格別(日本人の配偶者等)・国籍・出身地別外国人登録者の推移

在留資格別(留学)・国籍・出身地別外国人登録者の推移

- 100 -

在留資格別(就学)・国籍・出身地別外国人登録者の推移

在留資格別(研修)・国籍・出身地別外国人登録者の推移

在留資格別(定住者)・国籍・出身地別外国人登録者の推移

在留資格別(永住者)・国籍・出身地別外国人登録者の推移

- 101 -

- 102 -

- 103 -

- 104 -

中国

ブラジル

韓国

ベトナム　フイリピン　ペルー

タイ

コロンビア　中国(台湾) アメリカ　その他

19,809 7,231 2,819 2,318 1,764 1,159

564

422

375

256

240 2,661

14,025 5,243 2,531 1,502 1,507

442

430

157

339

152

167 1,555

168

61

19

12

16

11

10

3

3

7

26

31

15

3

5

3

1

1

3

111

39

13

3

15

7

7

1

3

4

19

3

1

1

1

0

23

6

3

3

1

2

1

3

4

846

211

94

122

20

73

36

23

4

9

44

210

10,474 3,735 2,274 1,133 1,391

231

295

93

300

98

61

863

747

498

31

44

8

26

17

7

2

23

7

84

96

29

3

6

2

2

11

3

2

38

1,694

709

110

185

70

99

61

28

30

22

46

334

5,784 1,988

288

816

257

717

134

265

36

104

73 1,106

3,672 1,314

48

522

205

556

100

186

19

22

17

683

327

163

6

90

35

12

8

13

144

73

17

22

4

26

1

1

80

28

14

4

4

7

7

16

738

63

132

39

19

81

10

51

15

27

37

264

823

347

71

139

29

38

24

12

2

21

11

129

中国

韓国

フイリピン　ベトナム　ブラジル　ペルー

タイ

アメリカ　中国(台湾)

イラン

その他

11,858 4,657 1,394 1,128

799

730

402

363

188

166

121 1,910

6,710 2,740

675

464

608

515

289

110

130

89

25 1,065

191

70

14

19

16

27

10

3

5

1

26

32

15

5

3

3

1

1

4

133

49

5

15

14

21

7

1

2

1

18

4

1

1

1

1

0

22

5

3

1

3

2

1

3

4

938

251

135

87

24

98

38

31

40

8

8

218

3,457 1,516

292

201

488

260

171

38

37

46

4

404

522

251

61

70

7

26

14

9

5

12

6

61

103

34

13

3

1

4

7

3

2

36

1,499

618

160

84

72

100

49

26

41

23

6

320

5,148 1,917

719

664

191

215

113

253

58

77

96

845

3,189 1,145

459

516

138

38

80

177

14

21

38

563

517

304

113

44

4

1

23

10

2

16

90

53

18

1

4

1

12

1

68

24

3

5

3

12

7

14

538

44

25

63

21

91

10

37

26

24

54

143

746

347

101

36

29

69

22

12

10

10

2

108

来日外国人検挙状況 （ 罪種等別 / 国籍・地域別 / 降順 ）

◇ 検挙件数

◇ 検挙人員

総検挙件数

刑

法

犯

風　適　法

特　別　法　犯

殺

人

強

盗

放

火

強

姦

総 数

入　管　法

そ　の　他

特　別　法　犯

入　管　法

そ　の　他

風　適　法

売　防　法

銃　刀　法

薬物事犯

総検挙人員

粗　暴　犯

窃　盗　犯

知　能　犯

風　俗　犯

殺

人

強

盗

放

火

強

姦

総 数

凶　悪　犯

そ　の　他

凶　悪　犯

売　防　法

銃　刀　法

薬物事犯

そ　の　他

粗　暴　犯

窃　盗　犯

知　能　犯

風　俗　犯

刑

法

犯

- 105 -

- 106 -

- 107 -

- 108 -

- 109 -

- 110 -