日本経済新聞

10月23日(火曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

コンテンツ一覧

・原田泳幸・日本マクドナルドHD社長の経営者ブログを10月24日に掲載します
・ビジネスリーダーの公式ツイッターアカウントを開設しました。ビジネスパーソン必読の最新記事を配信します

Financial Times

[FT]欧米はシリア不介入政策を転換せよ(社説)

2012/10/23 14:00
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
印刷

(2012年10月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 シリアの内戦は近隣諸国に飛び火し、先週末にはレバノン治安警察の情報部門トップが殺害された。ヨルダンやトルコの国境付近でも緊張状態が続いている。アサド大統領の政権維持に向けた激戦が政情不安をあおっているのは明らかであり、欧米諸国が不介入姿勢を続けるのも困難になりつつある。

■方針転換を迫るだけでは効果なく

シリアの内戦は激化している(10月22日、ダマスカス)=ロイター
画像の拡大

シリアの内戦は激化している(10月22日、ダマスカス)=ロイター

 欧米諸国は長い間、シリア内戦に対して難しい政策を取ってきた。アサド大統領に退陣を求めるものの、長期化する厄介な内戦に引きずり込まれることを恐れ、積極的に動こうとはしなかった。残念ながら、その結果、アサド大統領は戦闘態勢を維持し、反体制派も過激化した。今や、シリアは危険な手詰まり状態のなかで多くの死者を出し、近隣諸国もこの泥沼に巻き込まれている。

 アサド大統領に方針転換を迫っても無駄だった。大統領は継続的にロシアやイランの支持を受けており、軍事的に優勢になる見込みがないのに内戦を長期化させる動機になっている。また、ロシアの国際社会との対立も国連主導の介入を妨げている。

 その結果、気の向かない選択肢を消去法で選ぶことになる。国際社会が内戦を傍観するという選択は過激分子を巻き込んで紛争地域をさらに拡大する恐れがある。一方、シリアの反アサド勢力に口先だけでない支援をするという選択もある。

 これは決して簡単なことではない。ロシアやイランとの紛争を引き起こす危険を高めるばかりか、反体制派の軍備を増強させるだけで終わる可能性もあるからだ。

■積極介入に向けた地ならしを

 この内戦を終結に向かわせるには、欧米諸国が積極介入するための地ならしをする必要がある。これはシリアに軍隊を派遣するのではなく、反体制派の武装化を支援するという意味だが、一朝一夕にできることではない。欧米諸国が最新鋭の兵器を供給する場合、反体制派と公的な関係を結ばなければならないし、供給した兵器がどう使用されるか監視し、終戦後に回収する必要もある。こうした介入を正当化するために、トルコやアラブ世界など地域のリーダー的存在との間で幅広く議論しておくことも重要だ。

 不介入政策はすべての国が順守する場合のみ信頼し得るが、明らかにシリアには当てはまらない。アサド政権はイランやロシアから軍事的・財政的支援を受けており、反体制派はサウジアラビアやカタールの支援を得ている。内戦が膠着状態にあるのに、国際社会が傍観者の立場で懸念を表明するだけでは、内戦の長期化や地域の過激化を助長する危険を高めるばかりだ。今こそ方針転換の時だ。

(c) The Financial Times Limited 2012. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

「ビジネスリーダー」の週刊メールマガジン配信中

人気記事をまとめてチェック >>設定はこちら

有料プランに登録すると、朝夕刊もご覧になれます。

無料読み放題受付中![10月10日~10月28日]

小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
印刷

【PR】

【PR】

Financial Times 一覧

中国の太陽電池メーカーの業績が悪化している(浙江省永康市の太陽電池工場)=ロイター

ロイター

[FT]生存競争が始まった中国太陽電池業界

(2012年10月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 中国の太陽電池大手、尚徳電力(サンテックパワー)の創業者である施正栄氏が逆境に立たされている。かつては中国一の資産家だったが、同氏が築き上げ…続き (10/23)

シリアの内戦は激化している(10月22日、ダマスカス)=ロイター

ロイター

[FT]欧米はシリア不介入政策を転換せよ(社説)

 シリアの内戦は近隣諸国に飛び火し、先週末にはレバノン治安警察の情報部門トップが殺害された。ヨルダンやトルコの国境付近でも緊張状態が続いている。…続き (10/23)

米大統領選の第2回テレビ討論会で握手するオバマ大統領=右=とロムニー候補(10月16日、ニューヨーク州ヘンプステッド)=AP

AP

[FT]米大統領が逃れられない「9.11」の呪縛

 2001年9月11日以降で3度目の米国大統領選挙は終盤に入った。しかし、ツインタワー(世界貿易センタービル)への攻撃が投げた影は、今でもほとんど薄れていない。…続き (10/23)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

10/23 15:00更新 ビジネスリーダー 記事ランキング

リーダーのネタ帳

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について