【野口陽、大谷聡】東京電力が福島第一原発事故後、青森県東通(ひがしどおり)村に対し、7600万円を支払っていたことが朝日新聞の調べでわかった。東電は東通原発(同村)の建設費として処理したが、経済産業省は「寄付金に近い」と判断している。
東電は事故後、同じ名目で隣の同県六ケ所村にも約2億7千万円を支払っていた。東電は今年5月、賠償に伴うコスト削減策として寄付金の廃止を表明しており、両村への支出について「寄付金とは異なる」と説明している。
朝日新聞が入手した東通村の資料によると、東電は2010年度末に6100万円、11年度末に1500万円を同村に支払った。村はこれをアワビの種苗やヒラメの稚魚の購入費などに充てたという。
東電は東北電力とともに同村との間で、少なくとも07年度以降について、村の漁業振興事業に対し助成をすることで合意。助成額を年度ごとに話し合う内容で、総額は決まっていなかったという。東電は助成を「原発建設に伴う各漁協との補償交渉の過程でまとまった」とし、原発建設費として処理した。