原子力規制委:透明性「後退」指摘も 発足1カ月

毎日新聞 2012年10月17日 23時44分

 東京電力福島第1原発事故を踏まえた原子力規制委員会が19日に発足1カ月を迎える。原発の再稼働判断では田中俊一委員長(67)は「政治的判断には関与しない」との立場を崩さず、推進側からの独立姿勢は堅持している。しかし、取材制限も多く、透明性の確保では前身の経済産業省原子力安全・保安院より後退したとの声が出ている。【西川拓、中西拓司】

 「(原発再稼働で)政治(家)はいろいろ言うが、我々には安全規制というミッションがある。独立性を緩めればその基盤が崩れ、規制と推進を分けた意味がなくなる」。田中委員長は17日の記者会見で強調した。

 規制委は、各省庁の規制行政を一本化。原子力推進サイドから分離し、より独立性の高い「3条委員会」として先月19日発足した。

 規制委が直面する最大の任務は、原発の運転について科学技術的に判断する「安全基準」の策定だが、再稼働をにらむ首相官邸や経産省からの圧力が高まる可能性がある。今月3日には「(電力事情など)経済的観点を含めた再稼働判断や、地元への説得・合意形成は電力会社や経産省が担当すべきだ」とする見解を公表。こうした動きをけん制した。

 ほかにも課題は多い。月内には防災重点区域の範囲拡大などを柱とする原子力災害対策指針を策定するほか、その後もシビアアクシデント(過酷事故)対策の法規制化作業▽「40年廃炉ルール」の検討▽関西電力大飯原発などの活断層現地調査−−などが待ち構える。すべて保安院が積み残した「宿題」だ。

 田中委員長は「六十何年生きてきたが、こんなに仕事をしたのは初めて」と振り返ったが、いずれも独立性を維持できるかを問う試金石となる。

 一方、「透明性」については疑念を抱かせるケースが相次ぐ。先月26日、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」記者の会見参加を拒否していたことが発覚。原子力規制庁は当初「政党機関紙は報道を事業としていない」と説明したが、翌週には「保安院時代の会見出席状況を勘案した」と一転して出席を容認。今月10日の定例会には、傍聴者席に私服警察官がおり、傍聴者の抗議で退席する騒ぎがあった。規制庁は「会議の静穏な運営が目的」というが、規制委に相談せずに警察官の出動を要請したという。

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